逆ハーレムの代表作 - 花ざかりの君たちへの感想

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花ざかりの君たちへ

4.384.38
画力
4.25
ストーリー
4.13
キャラクター
4.13
設定
3.75
演出
3.88
感想数
4
読んだ人
5

逆ハーレムの代表作

4.54.5
画力
4.5
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
3.5

目次

女の子が男装して男子校へもぐりこむ逆ハーレム

芦屋瑞稀は佐野泉の高跳びの姿にあこがれていました。しかし佐野泉はなぜか高校で陸上競技をやめてしまっていた…そこで彼にどうしても会いたくて、どうしてももう一度高跳びをやってほしくて、瑞稀は単身アメリカから日本へやってくるのです…と、ここまでわかる。しかし、なぜ男子校に女子が男子生徒としてもぐりこめる?!ここは完全にファンタジーですよね…なんでそういう判断になるかなーとしてなんで認められちゃうのかなー??そして高跳びをさせたいっていう理由だけじゃないもんね。恋だなー…思い切りの良さは日本人にないアメリカの特徴を出してるって感じでしょうか。

とりあえずリアルかどうかを言っちゃうと元も子もないので置いときます。逆ハーレムは憧れのドリームですからね…ただ、この中で千里みたいにオネエというか、同性愛ありの人物も登場しているので、なんかそのへん時代だなーって思いました。オネエ・ニューハーフの人とかが肯定的に捉えられはじめた時期なのかなーと。前からボーイズラブってあったけどね。オープンな感じがよかったです。そして好きなもんは好きなんだ!という正直な気持ちがいいですよね。さわやかに仕上がってるなーと思います。舞台が男子校なのでむさくるしいところあるかなーと思いきや、とても綺麗なところを描いてましたね。友情だったりスポーツだったり、恋に正直なところとか、まさに男の子のいいところを集めてくれているというか。全部で23巻も続いた作品ですが、同じ寮生の絆みたいなものもたくさん見せてくれて、一人一人のエピソードが余すことなくあるので楽しいです。個人的には萱島くんでしょう。こんな人いたらなー絶対寮生活が楽しいに違いない。 

佐野のいったいどこがいいのか

いろいろなマンガを読んでて思うんですけど、なんでこう主人公ってダメ男が多いのか…だからダメ男好きの女子ばっかりなんだよ日本!(笑)すごくかっこいいのに、自分に自信がなかったり何かに勝手に縛られてふさぎこんじゃってたり。だいたいそういうのじゃないですか、男どもって。そして女子の一途な思いにぶつかられてもやもやしたものがどんどん溶けてワンランク上に上がるんだよなー…人間の世の中は男と女の2種類しかありませんから、お互いに足りないとこ補って大きくなるのはわかりますけどね。ビシーッと決まった人って付き合うには物足りなかったり、自分との釣り合い考えちゃったりするのかもしれないです。

さんざん悩みまくって困らせた佐野ですが、佐野をいちおうかばっておくと、ケガしたあとの現役復帰って、怖いんですよ。これは個人的な経験で分かるんですけど、フラッシュバックしたり、ケガをかばって積極的な攻めができなかったりするんです。そういう苦悩に打ち勝ってまでその競技をやりたいかどうか?って考えるんですよね。これはわかるなー…そして佐野はチャンピオンだったじゃないですか。そこで落ちぶれたなーみたいな言葉って完全にプライドを傷つけるし、最高のパフォーマンスが出せないかもっていう不安に直結しちゃうんでしょうね。逃げたくなるよね…そこを瑞稀が、寮生のみんなが、陸上部のみんなが、支えてくれるようになるまでっていうのは胸が熱くなるものがありました。いい話だ。

そして本気になったかっこいいやつは、もう本当にかっこいいやつになってしまうので、横から何を言われようが、完全体です。紆余曲折を知ったうえでここまでくるともう惚れてもしかたないわ… 

中津。君が一番だ

そして毎度のごとく、当て馬のような存在の中津君。中津と瑞稀が結ばれる姿を何度想像したことか…君のほうが断然かっこいいと私は思っているよ!なんで横恋慕ってこんなに胸が熱くなるんでしょう…だいたい、クールな奴とムードメーカー的明るさの奴が用意されてるじゃないですか。そしてクールな奴がだいたいおいしいところ持っていくんですよね。なにしろクールな奴ほどギャップが激しいから!ギャップ萌に弱いということをもう認めざるをないでしょう。女子はギャップに弱すぎる!

中津は瑞稀が男であることに全然気が付いてなくて、それで本能で好きになっちゃってたわけですが、佐野よりも前から好きで、タイミングさえあってたら完璧だったけど…瑞稀は佐野しか見えてないし…女子はすぐに夢中になって周りが見えなくなって、周囲の忠告も無視で向かって言っちゃうからな~…いろんなマンガを読んできたけど、中津ほど応援したい人はいませんでした。キャラクター最高だし。佐野よりも断然男らしさも持ってると思っています。

女であるとわかってて残しておくのは…男だから

最初から瑞稀が女だってこと、けっこうばれちゃってたじゃないですか。それでも学園においてもらってたのは…かわいいからですよね。間違いない。だって普通無理じゃん、一緒に生活するとかやばいでしょうよ。そんな優しい男の子なんてたくさんいませんよ!男なんて狼ばっかりなんだからね!!

それでもまぁ確かに、男子校の中に一人ポツンと女の子が現れたとして、どうやって扱ったらいいのかわからないみたいな態度は、汚くなくて、誠実だなと。怖い展開がなくてよかったとも思います。そして、瑞稀の性格がかわいいだけじゃなくてすごく良かったし、これならかわいい系男子でもいいか、と思えますね。読み進めていけば案外と納得できます。瑞稀みたいな友達いたら、うれしいと思いますし。

男子校のみんなが本当にいいやつで、いい学校ですよね~こんな感じで高校生活送れたらどれほど楽しいんでしょうか。女子高って本っっっっ当にいいことないと思うので…怖すぎですもん、女子のみなさん(笑)。こんな学校だったら男子校に性別隠してでも入りたいかもしれないです。友情に熱くて、スポ根で、やることはきっちりやりながら遊んでて。爽やかに描いてて、気持ちがいいです。あーこんな学校に入りたい。

最後はいい感じで終わって一安心

最後は、芦屋瑞稀が女であることをばらして退学していく…ということですけど、全然悲しくなくて、みんながわかっててくれて去っていく姿はよかったですね。物語の最後まではこのままうまく卒業しちゃうのかなと思いましたが、そううまくはいかないっていう…ただ、これって完全に「今度は俺が会いに行くから」っていう話作りたかったんだろうって思いました。アメリカから日本へ何も知らずにやってきて、ただ佐野に高跳びをさせたくて奮闘し、そして跳ぶ決意をさせてくれた瑞稀。今度は日本からアメリカへ、佐野が瑞稀を迎えにいくよっていう…いい形で終わりましたね~ごちそうさまって感じです。

他の寮生のサブエピソードも笑えたり、ちょっとせつなかったり。千里の恋も、難波先輩の恋も、萱島くんの想いも…それぞれのイケメンたちのストーリーは、応援したくなるものばっかりでした。個人的にはやっぱり萱島くんみたいなオーラを読める人と友達になりたいですね。彼がいれば女子の世界は百人力だな…ちょっと黒いことを考えてしまった…(笑)登場人物一人一人は、イラストがとてもきれいなので、イケメン具合&かわいさ具合がしっかりと伝わってきます。繰り返し読むたびににやにやできますよね。ドラマ化もされたときはいったいこの世界観をどう表現するの?!どうなるの?!って思ったけど、実写版も相当良かったし、いい話です。

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男子校に女子一人と言えばこれ

数々ある逆ハーレムの代表なんといっても、逆ハーレム・イケメンパラダイスと言えば「花ざかりの君たちへ」。男子校に突如として飛び込む芦屋瑞稀。理由は綺麗な高跳びを飛んでいた日本人の男の子に会いたかったからというだけの理由。何とも理由が謎だけれど、確かな行動力・一生懸命さには心打たれるものがあり、かわいさも非常に魅力だ。作者の中条さんの絵がこれまたうまいのなんのって…たいていの男装した男の子の場合、男の子に寄ってしまって全然風貌が変わってしまうか、見た目がまんま女の子っぽくてもろバレな仕上がりになってしまうかなのに、芦屋瑞稀は見事にちょうどいい感じなんだよね。ただ少し古い漫画なので、瑞稀が女の子っぽい恰好をしたときの服装が何ともダサい感じ…そりゃーひと昔前なのだから仕方ない…。男の子の格好のときはすっごく似合っているんだけどね。愛蔵版のまとまった「花ざかりの君たちへ」では、巻頭にカラーで何枚...この感想を読む

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ころころ変わるキャラクター達を見る。高校生、15~18歳の時は、大人でもない子供でもないという曖昧な年頃は、多くの作品で取り上げられる年代だと思います。この年頃の子たちを見ている時、一瞬一瞬が違って見える場面があります。ある時は「お、大人の意見を言ってるな」、また見てみると「あれ、子供みたいに無邪気だな」とその時によって見える姿が変わるように思えるのです。ころころと変わりながらも大人に近づいていく彼らを見るのは、楽しいと思います。この作品はそんな彼らを、瑞稀という「男の子に変装した女の子」という特異な視点から見ることにより、何気ない日常はこんな風に出来ていて、成長していく彼らを見ることが出来るのではないかと考えます。飛び込む勇気とは何か。主人公・芦屋瑞稀は、憧れである佐野泉を追いかけて、遠くアメリカから桜咲学園まで転入してきます。物語の中で女子1人の環境を助けてくれる人にも出会います。...この感想を読む

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  • pipinpipin
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