最高の下剋上 - 学校のカイダンの感想

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ドラマレビュー数 1,147件

学校のカイダン

4.004.00
映像
3.83
脚本
3.83
キャスト
3.67
音楽
3.67
演出
4.00
感想数
3
観た人
9

最高の下剋上

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

主人公がどんどん強くなる

このドラマの主人公のツバメは今までに見たことないくらいのすごく頼りないというか自分に自信のない感じがものすごくありありと伝わってきました。こういう役って今まではどちらかというと男性が演じていたことが多いと思うんですが、女性っていうのはあまり見たことなかったのでどことなく新しさを感じました。学校の底辺近くにいる女の子が突然生徒会長にさせられて、どんどん学校のトップへ昇りつめていく様子は見ていて爽快でした。しかもただ昇っていくだけじゃなくて周りの信頼もちゃんと得たうえでなので、だれからも認められる存在になっていくっていうのはなかなか見ていて気持ちよかったです。雫井さんの力を借りながらでも彼女自身が本来持っている強さみたいなのがどんどん出てきて、いつしか彼の言葉がなくても周りを動かせるだけの自信を持てたっていうのは自分に自信がないという子たちの励みになったと思います。そもそも一人の子が学校に革命を起こそうっていう発想にいたるのがすごいんですけどね。普通に生徒会長になって学校のために・・・っていうのじゃなくて革命ですからね。今までの学校の概念を変えてくれるいいきっかけになったドラマなんじゃないでしょうか。

学校を舞台にしていながらも内容は社会にも通じるものがあると思います。ただただ毎日を過ごすのではなくて、自分たちのためになることをすべきだというメッセージ性のこもった学園ドラマになっていたと思います。

周りへの影響力のすごさ

今回はスピーチ力のすごさを検証するためのドラマと言っても過言ではなかったのではないでしょうか。毎回、雫井さんがツバメに指示する言葉の数々はどれも言葉に重みと説得力があって言葉がどれだけの力を持っているのかというのがありありと分かるような演出が多くされていました。スピーカーを持って全校生徒の前でスピーチする姿は最初は恥ずかしそうに自信なさげだったのに回を増すごとに自信が持てるようになったのかとても堂々としていました。スピーチライターっていうものがどんなものかっていうのは何となく想像はできていましたが、テレビを見ている私ですらその言葉に心を動かされました。普段何気なく発している言葉もちゃんと意味を持たせれば人の心を動かせるし、下手すれば集団の心も動かせるほどの大きな力を持つんだということを知ることができました。きっとヒトラーとかリンカーンもそうやって市民たちの心を動かしていたんですね。そう考えるとスピーチライターってすごい職業ですよね。言葉の持つ影響力を最大限に活用できるような文の構成であったり、話し方であったりを熟知しているわけですから。私もなれるならなってみたいなってちょっと思っちゃいましたね。

団結力のなせる技

ツバメの周りにどんどん人が増えていってついには全校生徒皆が彼女を認め、信頼してついていくと一致団結した後の行動力はすごかったですね。まさか学校に立てこもっちゃうなんて思いもよりませんでした。学生だからできる無茶なのかもしれませんが、生徒全員でそんなに力を合わせて何かをするなんて行事以外であるんだなってぼんやり思いました。やっていることは普通じゃないのかもしれませんが・・・。というかあそこまで盛大にやれるだけの勇気があるのもすごいですよね。みんなでやれば怖くないとはまさにこのことだと思いましたね。目的に向かってみんなで頑張るって大事なことですよね。

それだけみんなの心が一つになると大きなことができるんだっていうのを改めて実感させられた作品です。私もあの中の一員になってみたいなと思いましたよ。あれも青春の一つですよね。みんなであれだけ大きなことをやり遂げたんだから絆も深くなってそれこそいい学校になること間違いないと思います。一人では絶対にできないことも人が集まればいとも簡単にできちゃうんですね。そんな当たり前なことだけどそれがどれだけすごいのかっていうのを教わった瞬間でした。学生じゃなくなって数年たちますがまた学生に逆戻りしたくなる気分にさせられちゃいました。

理事長と雫井さんの関係

ドラマの後半で出てきたこの2人の関係性には薄々気づいてはいました。だって雫井さんの家には制服が大切そうに置いてあったし、理事長と会った時も初対面って感じじゃなかったから何かあるなとは思ってました。雫井さんが書いた文集も大事にとってたし、確かに雫井さんの事件をもみ消したっていうことはあったけど、彼女はきっと雫井さんを見捨てたわけではないと思います。彼自身がいつか立ち直ってまた学校に戻ってきてくれるのをただただ信じていたのではないでしょうか。やり方は確かに間違っていたのかもしれませんが、彼女なりに学校を守ろうとしての行動だったのでしょう。そう考えると根っからの悪というわけではなかったと思います。むしろいい方向に導こうとしていただけなのではないでしょうか。周りからすればそれはやってはいけないことだと分かっていてもそれが彼女なりの精一杯できることだったとすれば責めることはできないのではないでしょうか。同時に雫井さんも彼女を憎んでいると言いながらも心のどこかで自分は見捨てられたんだという悲しみのふちに立っていたんだと思います。そんな二人を救ったツバメはまさに救世主だと思いますよ。お互いに話せばわかり合えたのにそれをしないまま時間だけが過ぎていって、溝はどんどん深まるだけだったと思います。ほんとそう考えるとツバメの存在は大きかったんじゃないでしょうかね。

師弟関係から

雫井こと伊勢崎さんはもしかしたらツバメに最初から惹かれていたのかもしれません。昔の自分になかった強さを彼女から感じたんでしょうね。たまたま彼女と出会って自分の復讐のために利用していたとはいえ、それだけの理由でずっと力を貸し続けられるものなんでしょうか。そこには復讐心だけじゃなくてツバメならほんとに学校をよくしてくれるかもしれないという期待を込めていたからというのもあるのではないでしょうか。口では散々ひねくれたことばかり言っていますが、元は優しい人ですから。心に嘘はつけませんよね。ツバメもそんな伊勢崎さんと接していくうちに最初は嫌な人、変人程度にしか思っていなかったと思いますが、関わっているうちに人となりが分かってきて、本当は優しい人だっていう本来の伊勢崎さんを見抜いたからこそ惹かれたのかもしれません。

お互いに素直じゃない所がありますからね。あの最後のスピーチがなかったら二人はあのまま離れ離れになって終わってしまっていたと思います。

ツバメのあのスピーチはほんとに胸にガツンと来ましたね。今まで伊勢崎さんから教わってきたスピーチ力と彼女の強い思いがこもった感動のスピーチでした。あれで心を動かされない人はいないですね。だからこそ理事長も自分の犯した過ちを反省する意味も込めて学校を去ったのだと思います。でもいつかどこかで伊勢崎さんと再会して昔のようになれたらいいですね。

最後には伊勢崎さんが復学して二人で登校。いつものふざけ合いながらもお互いすっきりした感じでこれからの学校生活に希望を見出しているのがとてもよくわかる素敵な終わり方だったと思います。

きっとこれからの2人はうまくやっていけるでしょうね。ツバメも伊勢崎さんもお互いいい刺激をしあって高め合っていけるいい関係性を築いていけると思います。

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今の教育現場が抱える課題

私は学校のカイダンに秘められたメッセージを改めて聞く必要があると思う。昨年放送され話題を博したドラマ、学校のカイダンその見どころはなんと言っても最後の演説シーンだろう。しかし、その見どころをただの見どころとして見て、それによって彼女が学校のカイダンを駆け上がっていくのをただ痛快だなと思って聞いているだけでは、もったいないと思い今回このレビューを書いた。新しいエレベーター教育今の学校の体質このドラマは、今、私たちが抱えている「新しいエレベーター教育」の問題に一石を投じているような気がしてならないのである。「エレベーター教育」という言葉自体は、もちろん昔からある言葉だし、昔から言われてきたことだ。今は、そんな言葉より、「ゆとり世代」や、「さとり世代」のような言葉の方が一般的かもしれないが、それでも私は、「新しいエレベーター教育」は、確実に存在すると思うのだ。今回のドラマで言えばプラチナ枠の...この感想を読む

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