原作ファンからみた実写化
主演の二人のハマり方
もともと原作が大好きで何度も読み返した作品だったので、実写化されるのは嬉しくもあり心配でもありました。ですが、主演の二人、瑛太さんと松田龍平さんの両方好きな役者さんで、過去の出演作品もたくさん観ていて演技力は間違いないキャスティングだったので、連続ドラマからしっかり見て映画も楽しみにしていました。結果、満足いくものでした。瑛太さんが多田啓介の役作りのために怠惰な生活を続けて付けたというお腹の肉にはびっくりしました。私の姉は多田がカッコよすぎると文句を言っていましたし、原作のキャラクターとは2人ともイメージがズレてはいますが、お二人とも持ち前の独特の雰囲気を生かして、人生を諦めた、それぞれ重い過去をしょった悲しい人物像が上手く表現されていたように思います。
脇を固める役者さんたち
主演の二人は期待通りだったのですが、残念だったのはルル役の片岡礼子さんです。美しすぎて全然違うキャラになってしまっています。ハイシー役の鈴木杏さんより圧倒的に不細工でないといけないんです。ルルは年齢的にも見た目的にも社会的にも終わってる女なはずです。そこに象徴される悲しい裏社会の現実があったはずです。あんな綺麗な人に演じさせちゃダメだと思います。素晴らしかったのは本上まなみさん。我が道を行くキャリアウーマン三峯凪子役がドはまりでした。相手に合わせないトークテンポ、凛とした佇まい、不思議に無表情な女性を見事に表現していました。
脚本と大事なセリフ
全般にわたってほぼ原作通りのセリフでストーリーが展開していくのですが、一か所だけどうしても納得いかなかったシーンがあります。一番の山場の瑛太演じる多田啓介の独白シーンです。どうしてそれまで原作通りに進んでいたのに、一番大事なシーンを大幅変更したのでしょう。「俺は信じた。バカだと思うか?」が「ふざけんなよ。信じれるわけないだろう。」に変更されたのはどうしてなんでしょう。意味がまったく逆になっちゃってます。観てる側の多田に対する同情心が半減してしまいます。「愛してたんだ」が「好きだったんだ」になっていたのはどうしてなんでしょうか。瑛太さんの演技力なら説得力のある「愛してたんだ」が絶対に出来たはずです。ものすごく軽くなってしまっています。人生を投げ出したほどの大事件を語っているシーンなんだから、「好きだったんだ」じゃ足りません!このシーンこそ、原作を尊重してほしかったです。
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