「あなたを愛しているけど、それ以上に自分の事をもっと愛しているの」―サマンサの言葉から学ぶ素敵な大人女性に必要なエッセンス - セックス・アンド・ザ・シティの感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

「あなたを愛しているけど、それ以上に自分の事をもっと愛しているの」―サマンサの言葉から学ぶ素敵な大人女性に必要なエッセンス

4.54.5
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
3.0
演出
4.3

目次

SATC最年長にして最強の肉食キャラ。サマンサ・ジョーンズという女性

「50歳おめでとう!」。作中ラストで他のキャストに祝われ、バースデーを楽しむサマンサ。彼女は本作において最年長かつ最強の男好きキャラだと言えるでしょう。

年下の恋人とのユニークな夜の営み、隣人たちの性行為への好奇心。ドラマシリーズを知らない方も、彼女がいかに若々しく肉食的な女性であるかということは一目瞭然であったはず。

一方、そんな彼女からは意外にも、大人の女性にとって必要な生き方を多く学ぶことができます。

男性に媚びることなく愛される。年を経ても変わらず魅力的な女性でいるためのエッセンスをご紹介します。

友達を心から大切にする

サマンサの最大の特徴は性的好奇心ですが、第二の特徴は「友人たちからの信頼の厚さ」です。

キャシーが結婚式に失敗して失意のどん底にいたとき、最も近くで彼女を見守っていたのがサマンサでした。みんなが慌てる中、計画してしまったハネムーン用の南国リゾート旅行を友人のみの気晴らし旅行に変更したのも彼女のはからいです。

キャシーが少し立ち直って冗談を言えるようになったとき、いち早くその変化に気づいたのも彼女でした。心から友人たちを愛しているからこそ、いつ出向いても歓迎されるのですね。

そんなサマンサですが、お仕事はPR会社の社長。派手な洋服や恋人との豪勢なお遊びに一瞬軽い印象を受けますが、実は社会的に非常に自立し成功している女性だと言えるのです。

友達から非常に頼りにされ、いつどこに突然現れても歓迎される女性は必ず存在します。みなさんの周りにも、彼女のような頼れるお姉さん系の友達はいませんか?年齢に関係なく中身が成熟しており、同世代や年下から尊敬されうる女性は男女問わず多くの人から愛されるものです。

愛情と恩を忘れない

多くの恋愛遍歴と性経験を持つサマンサ。その好奇心はいくつになっても若々しい秘訣です。

隣人たちの営みや誘いにほだされ恋人以外の男性と危ない関係に陥りそうになりますが、本作では必死に自制心を保とうとして太ってしまいましたね。これは彼女にとって最大のピンチでした。

それでもサマンサの理性を繋いでいるもの・・・それは、恋人への愛情と恩でした。昔自分の辛い時期にそばにいて助けてくれた彼を今度は自分が支える。性に奔放でありながら、人間として大切にすべき情は決して忘れないからこそ、恋人は彼女のもとを去ろうとしなかったのです。

自分が何を与えてもらったか、何を与えられるのか。もらったものと返すものを忘れず、人間関係に真摯に向き合うことができる大人の女性は、誰からも好かれるのです。

自分を見失わない

サマンサの言動で今回最も筆者の心に残ったのが、タイトルにもある「あなたを愛しているけど、それ以上に自分の事をもっと愛しているの」という言葉でした。

上で書いた通り、恋人を心から愛し付き合う限り一途でいようと努めていた彼女でしたが、性に対する我慢の限界が訪れていることもわかっていたのですね。

「自分らしさ」を見失いそうになったとき、人は決断を迫られ、悩みます。「これでいいのか」、「自分のしたいことは本当にこれなのか」という悩みです。たいていの人は、決断することにおびえて現状維持のままやり過ごしてしまうものですが、サマンサは違いました。

愛しているからこそ、きっぱりと言い放つのです。「私らしくいるために別れさせて」と。

相手より自分を取るというのは、一見エゴのように聞こえがちです。しかし、筆者にはサマンサの決断がエゴには全く見えず、むしろ愛情表現のように感じられました。あのまま自分をごまかして彼と付き合っていたら、いつか彼もそのことに気づき、罪悪感を感じるようになっていたでしょう。

サマンサがはっきり言ったことで、彼は「恋人として一緒にいる」以外にも彼女を愛す方法があることを知ったはずです。

恋人に合わせることができなくなったとき、自分らしさを忘れそうになったとき。

苦しくても自分らしく生きる選択をすることがお互いのためになることを、サマンサは教えてくれています。

常にしたいことをする

本作において、サマンサが自分の年齢を気にしてネガティブな発言をすることはほとんどありませんでした。

それは、常に今の自分に満足しているから。いつの日も「今が一番輝いている」と思っているのです。

他の主要キャラと比べても、彼女の服装や言動には老いがありません。着たいものを着て、食べたいものを食べ、好きな人と眠り、愛し合う。常に自然体の気持ちをとても大切にしています。

もし彼女が「もう50代だから落ち着いて田舎で暮らすことにするわ」なんて言ったら、キャシーやミランダやシャーロットはどんな反応をするでしょう。きっと、「私達の親友・サマンサじゃないわ」と思うに違いありません。

友人たちを一歩リードし絶対的な信頼を置かれている彼女に、諦めやごまかしの生き方は似合いません。いつの日も世間や社会ではなく、自分の心の物差しを大事にしている女性は男女問わず愛されます。

まとめ

サマンサから学ぶ素敵な大人の女性になるための4つのエッセンスは、文字だけ見ればとってもベーシックです。しかし、これをずっと続けると考えたとき、どうでしょうか。あなたは数年後も、常にこの条件が当てはまる女性でいられますか?簡単なようで意外と継続が難しい心構えではないでしょうか。

そんな風になれないと思う人は、疎遠になってしまった友達や嫌な別れ方をしてしまった恋人に謝罪と感謝の気持ちを少しだけ伝えることからはじめてみましょう。

本作とサマンサの物語は、人として愛されるために大切な「真摯な生き方」を教えてくれます。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

仕事30%恋70% アラフィフたちの日常

全世界に旋風を巻き起こした『セックス・アンド・ザ・シティ』『セックス・アンド・ザ・シティ(以下S.A.T.S)』の名前は、海外ドラマや映画を観たことのない人にも知れ渡っているほど有名だ。サラ・ジェシカ・パーカー演じるライターのキャリー・ブラッドショーは、ニューヨークに住む人々の恋愛と性生活を綴ったコラム「SEX and the CITY」を連載している。彼女のネタ元になっているのは、友人の性生活と自身の体験談。キャリーの目を通して起こった様々な恋愛や性の「問題」を、友人たちのアドバイスや経験を通して結論に至らせる、という話になっている。ドラマはこのような流れで、基本的には一話完結型のストーリーだ。では映画はどうなのかというと、ドラマ版とはやや構成が違う。何故なら、主人公であるキャリーがついに結婚することになったからだ。これまで他人の恋愛事情や性生活と向き合い、コラムを書く形で物語の語り手となっていたキャリーが...この感想を読む

4.04.0
  • すらりすらり
  • 208view
  • 2018文字
PICKUP

女の本音は怖くない

主人公たちと四人の男キャリー・ブラットショーの恋人であるビッグ(ジョン・ジェームズ・プレストン)。サマンサ・ジョーンズの恋人であるスミス・ジェロット。シャーロット・ヨークの夫であるハリー・ゴールドブラット。ミランダ・ホップズの夫であるスティーブ・ブレディ。この四人の男たちは主人公たちの心の支えでありながら悩みの種でもある。ドラマから4年の月日が経ったあとに上映されたこの映画。ドラマを見続けていたファンにとっては待望の映画化であり、ドラマを見たことのない人でも楽しめる映画に本作はなっている。言わば女の本音を描いたこの作品は女性にとっては痒いところに手が届く映画であり、男性にとっては女の本音が垣間見える貴重な映画と言えるかもしれない。最近の日本は少子高齢化に伴い結婚する人の率もぐっと下がり、一生独身という人も少なくはない。もちろんそれは悪いことではないし、それぞれの人が持つ選ぶ権利の中に当て...この感想を読む

4.54.5
  • 梗野梗野
  • 217view
  • 2010文字

やっぱり四人は最高!

大人気ドラマの映画化一本目の作品。全編通してセックスアンドザシティファンとしては最高!!!の一言。ドラマより数十倍グレードアップしたコスチューム類や音楽、メキシコの青い海など、映像も素晴らしく、豪華な作りです。キャリーがVogueでウェディングドレスの撮影をするシーンなんて、女子は悲鳴ものの美しさです。(実際のVogue編集長アナウィンターも出てましたね。イネドはどうしたの!?って位太ったおばあさんになってました…)また、その豪華さだけで終わらない。今回取り扱っているテーマ、ストーリーは、実は悲しい事の連続で四人は完全に打ちのめされてしまう事も。それでも四人は支え合いながら、自分らしく生きるためにまた立ち上がります。結婚に不安のあるビッグはそのまま結婚式場から立ち去ってしまい、絶望したキャリーはビッグの話を聞く事なく道の真ん中でブーケを叩きつけて決別…。このシーンは内容的には酷だけど、俳優陣の演技...この感想を読む

5.05.0
  • まのんまのん
  • 81view
  • 644文字

感想をもっと見る(4件)

関連するタグ

セックス・アンド・ザ・シティが好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ