父・和馬とかなえ先輩について - たまゆら ~もあぐれっしぶ~ (第2期)の感想

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たまゆら ~もあぐれっしぶ~ (第2期)

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
4.00
感想数
1
観た人
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父・和馬とかなえ先輩について

4.54.5
映像
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
4.0

目次

亡き父の面影と写真部のエピソード

本作はOVA,TV第1期からの続編でTVシリーズの第2期であり、主人公たちの高校2年生の1年間が描かれる。大きな核となるのは主人公ぽっての父を巡るエピソードと、ぽってが創部した写真部に関するエピソードである。そこでここでは、父・和馬および写真部に入部した三谷かなえについて述べてみたい。

 父・和馬が亡くなった原因について

父・和馬はぽってが高1になる5年前、つまり小学4年生(雛飾りが「お父さんが亡くなる直前」というさよみのセリフがあることから、五年生に進級前に亡くなったものと推測される)のときに亡くなっている。父の死因については、もはやストーリー上では全く触れる必要がない状況になっている。なぜ亡くなったか、ということより、亡くなったという事実が重要な要素だからだ。だからこそここでは、あえてその父の死因について検討してみたい。ぽって父はなぜ亡くなってしまったのか。作中から読み取れることは、病死ではないということだ。病死ならば、死期がある程度分かるから、あれほどの悲しみにはならない。何の前触れもなく目の前からいなくなってしまったからこそ、ぽっては4年以上も深い悲しみに落ちてしまうことになったのである。病死ではないとしたらどうしてなくなってしまったのだろうか。それに関する情報は作中にはほとんどない。先に書いた通り、なぜ亡くなったかは重要なことではないため、亡くなった原因に関する描写がないからである。それでも、情報がないわけではない。重要な情報は、お父さんとお母さんとのなれ初めのエピソードにある。お母さんがバイクでのツーリングをしている途中に崖から落ちそうになっていたお父さんを助けた、というのが二人のなれ初めである(CDドラマより)。つまり、お父さんはかなり無茶をするタイプの人のようである。加えて、みんなにさやしい性格で、かおるもさよみも、いろんなところに連れて行ってくれるぽってのお父さんのことが大好きだったと言っている。このことから考えられるのは、3パターンであろう。まず考えられるのが、いい写真を取ろうとして、危険であることに気付かずに事故に合ったパターン。崖から落ちそうになった再来のようなパターンで、珠恵さん(お母さん)のように助けてくれる人が現れずにそのまま亡くなってしまった、というわけである。もう一つのパターンは誰かを助けて身代わりになったというパターン。交通事故にあいそうな子供を助けて自分は車に、とか、おぼれている人を助けて自分の方がおぼれてしまった、とかというパターンである。心優しいお父さんのことである。十分に考えられるパターンであろう。最後の1つは完全に外部の原因の不慮の事故。乗っていた乗り物が事故に巻き込まれるパターン。別作品だが同じ父親が亡くなる『ももへの手紙』の父の死の原因は船の事故、このパターンである。さて、本作のぼっての父の死の原因であるが、どれも考えられるところだが、ここでは最初のパターンとしてみたい。一度母(妻)に助けてもらったという既成事実があるからである。家族を持つようになって極力控えてきた無鉄砲さが、ほんの少し間がさして出てしまった、と言うことではないだろうか。

 写真部に入る前のかなえ先輩

次は写真部に入ってくれたかなえ先輩の、写真部に入る前の様子を想像していきたい。そこから、作中で触れられていないかなえ先輩の行動について考えてみたい。中学時代までは何かに打ち込むこともなく、人から少し褒められた写真を始めたかなえ。憧憬の路でぽってを撮影、それをコンテストに応募している。そもそもどうして応募したのだろうか。当時のかなえの性格ではあまり考えられないはずだ。ただ、何もとりえのない自分をどうにかして変えたい、という思いはあったとは考えられる。写真部も作ろうとはしていたのだから。そこに、“私たち展”というきっかけをもらったのだと考えられる。自分が写真に収めた人が展覧会を開いているのを目の当たりにして、自分も、という思いになったのだろう。写真部の扉を開く裏で、扉を開けようと葛藤している場面があったが、それと同じことが写真を応募するときにもあったことは容易に想像できる。ポストの前で「出すよ出すよ」などと言っているかなえが目に浮かんでくる。コンテストに入選してしまい、ぽってに断わりもなく応募してしまったことを気にしていたかなえはぽってに会って謝ろうとしていた。それは第3話でぽってと出会って最初に謝罪したことからも想像できる。それまでのストーカーのような行動は、謝りたいけどどうしたらいいか分からないまま様子をうかがうだけになった結果であろう。突然出てきて謝るのも変だし勇気がいるしで、なかなか踏み出せなかったと考えられる。ぽってがかなえ先輩に会う時の練習をしたのと同じように、かなえの方も謝罪の練習をたくさんしたのであろう。かくしてめでたく二人は出会い、竹原南高校写真部第1期生として活動していくことになるわけである。

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