手を取り合い、救うは宇宙! - トランスフォーマー ギャラクシーフォースの感想

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トランスフォーマー ギャラクシーフォース

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手を取り合い、救うは宇宙!

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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
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目次

プラネットフォースよ、概念すら変える奇跡を見せたまえ

本作のキーアイテム「プラネットフォース」は、トランスフォーマーにとっての創造主・プライマスのスパークの欠片。4つに分けられたそれらをチップスクウェアというアイテムにはめ込み、更にそれをプライマスに授けることによって、やがては全宇宙を無にしてしまうグランドブラックホールを完全消去することさえ可能となる。ただ、これは厳密には違う意味合いがある。

そもそもグランドブラックホールとは、正義と悪の力関係のバランスが崩れたことで生じた歪みである。正義と悪の力関係のバランスが乱れたことで発生したグランドブラックホールは、"時間"を消してしまうという超常現象のような存在であり、トランスフォーマーの科学力でも太刀打ちできない。
科学力で太刀打ちできないのも仕方ないだろう。なにせ、発生した原因は科学的なものではないのだから。もはや概念の乱れによるものといえる。概念が乱れてしまった世界は、消してしまおう。そういう意思が働いたかのようにも見えるが、グランドブラックホールは意図的に発生したものではない為、何者かの意思の介入というのは無かったと考えるのが妥当だろう。
中盤ではギャラクシーコンボイのマトリクスを4つ目のプラネットフォースの代わりとしてグランドブラックホール消滅作戦が行われたが、いかにマトリクスの力といえど、(スーパースタースクリームの邪魔があったとはいえ)成功していたかどうかは疑わしいところである。
最終的には4つ揃ったプラネットフォース、それらを束ねるチップスクウェア、合体戦艦ノアを得たプライマスによってグランドブラックホールは消滅することになるのだが、その後にセイバートロン星に植物が芽生えるなど、プラネットフォースに秘められた力にはまだ謎がありそうである。
ちなみに、演出からすると、スピーディアのプラネットフォースが太陽、アニマトロスのプラネットフォースが自然、ギガロニアのプラネットフォースが機械、地球のプラネットフォースが自然と機械の融和を促していると思われる。

異なる進化、異なる掟

本作ではセイバートロン星と地球の他に、スピーディア、アニマトロス、ギガロニアという惑星が主要舞台として登場する。独自の進化を遂げているスピーディア、アニマトロス、ギガロニアのトランスフォーマーたちには、それぞれの星ならではの掟が存在している。
速さに特化した進化を遂げたスピーディアでは、速き者がリーダーで、ニトロコンボイも速さ以外に関心が無いような雰囲気を見せていた。
荒々しい大自然の中で進化したアニマトロスでは、力だけがリーダーとなりうる素質だった。フレイムコンボイの信条と過去が特にそれを物語る。
プラネットXの襲撃を受け、惑星そのものを巨大化させることで対抗したという歴史を持つギガロニアでは、過去を振り返らないことを求められた。
ギャラクシーコンボイたちは、そんな星々の掟に時には従い、時には背いて、プラネットフォースへと近づいていく。基本的に掟を守ろうというスタンスで行動したのは、ひとえに正当性を得た上でプラネットフォースを手に入れようとした為であろう。
そんな星々の掟の中で、作中で唯一破られることになったギガロニアの掟は、「捨てた街には立ち入るな」。このような掟ができたのは、スターシップ「パンゲア」とその中に秘匿されていたプラネットフォースに襲撃者が辿り着けないようにする為の、メガロコンボイたちの祖先の作戦だったのかもしれない。ギガロニアのどこかにワープを不可能にする特殊な防衛システムが設置されていたことからも、
特にプラネットXの者たちに対する対抗意識と防衛意識があったことが考えられる。
(もっとも、時代の流れと共に忘れられていったようではあるが…)
今回はギガロニアに関することを重点的に取り上げたが、序盤~中盤の主要舞台となったスピーディアやアニマトロスにおいても、掟を守ろうとしたが故に起きた葛藤や戦いは多いので、それぞれの掟に込められた意味を考えてみると、より楽しめるだろう。

忘れてはならない、子供たちの存在

ギャラクシーフォースに限らず、人間が登場するトランスフォーマー作品において共通するもう一つのテーマが、人間とトランスフォーマーの交流である。
特にマイクロン伝説、スーパーリンク、ギャラクシーフォースは人間側の活躍も重点的に描かれているポイントとなっており、本作においてもコビーたちのおかげでギャラクシーコンボイたちが窮地を脱したケースが少なくない。逆もまたしかりで、日常パートも交えながら彼らの交流、心情変化や精神面の成長を見ていくことも、本作の醍醐味といえよう。
人間側の主人公といえるコビーはもちろん、ローリやバドも彼に負けない活躍を見せている。中でもフレイムコンボイのエピソードでは、彼女たちの存在なくして語れないほどの重要性を持っている。
みんなどこかで頑ななところがあるトランスフォーマーたちにとって、「柔軟な発想」が持ち味である人間の子供たちとの出会いは、大きなターニングポイントになっているといえる。
それまで自分たちが考えたこともなかったようなことを、子供たちは教えてくれるし、見せてくれる。妙なわだかまりを持たずに接してくれる。
だから、サイバトロンにとって子供たちは信頼のおける頼れる仲間となったのだ。
そして何より、地球という故郷を持つ彼らもまた、サイバトロンにとっては救わねばならない大切な命である。小さな命を守れずして、どうして大きな命を守れるのか……そういう信念を、ギャラクシーコンボイが持つに至ったのは、ひとえに子供たちとの触れ合いと彼らの活躍によるところが大きいだろう。
視聴者の中には子供たちの存在を軽く見ている者もいるようだが、ギャラクシーコンボイを初めサイバトロン戦士たちを成長させたキッカケのひとつに子供たちの存在があることを、忘れてはいけない。

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