世界観の面白さ - サカサマのパテマの感想

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アニメレビュー数 2,474件

サカサマのパテマ

4.304.30
映像
4.50
ストーリー
3.50
キャラクター
4.00
声優
4.25
音楽
4.50
感想数
2
観た人
2

世界観の面白さ

4.64.6
映像
5.0
ストーリー
3.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

豊かな発想力

劇場版アニメ「サカサマのパテマ」という作品からは、原作者の発想の豊かさを感じられます。なかなか重力が逆に作用するという発想ができるものではありません。そして、重力を逆に作用させることで、アニメーションとしても面白い映像と世界観を描き切っているように思えます。空に落ちる、なんて考えもしないことを考える機会になりました。どんな理屈なのか、明確にされることはありませんでした。しかし、それはそれで無理矢理に当てはめた理由付けにしかなりません。それよりも、重力が逆に作用することにより面白い世界観を描きたかったのだと思います。同じような重さの人間が抱き合うことで、重力が中和される様子や、天井を歩くという一般的な考え方、捉え方では理解できない感覚を想像するだけで面白かったアニメ作品だと思います。ただし、劇場版アニメとして、それだけで約90分の本編時間を制作するには、無理があったように感じられます。短編アニメで制作するには充分な内容だと思いますが、90分ほどの劇場アニメとしては、少し内容が足りなかったように思います。物語の本筋部分は、重力を逆に作用することを利用して、考えられた内容のように感じられます。物語本編部分の面白さには欠けるように思えるのです。せっかく世界観は面白いものなのに、それを活かしきった物語に仕上げきれなかったことが残念です。単純に地上人と地底人の争い、という構図であり、それを解決する物語性でしかなかったように思います。民族間や種族間における価値観の違いや、相互理解という要素もなく、当たり前だと思っていることに疑問をもつことを強調している内容でしかなかったのではないでしょうか。もっと打ち出すメッセージ性があっても良かったように感じられるのです。

弱い恋愛要素

主人公のエイジと、ヒロインのパテマによる物語展開がメインです。しかし、この二人の年齢が学生という設定からか、恋愛に発展していく様子は感じられませんでした。むしろ、恋愛よりは興味の対象として、お互いを見ていた感じが強いのではないでしょうか。二人の恋愛劇を強調させた方が、物語として面白いものになったと思いますし、観る側として感情移入ができたと思うのです。しかし、実際には違った為、重力が逆に作用する世界観のみが強調されてしまったように感じました。捕らえられたパテマを救うとき、エイジがパテマに恋心を抱いて、大切な存在だと認識していれば、助け出そうとするエイジをもっと応援できたように思えます。また助け出したときの達成感も強いものになったのではないでしょうか。エイジは、どちらかというとパテマより、死んでしまった父親の面影を心の中に秘めていたのだと思います。また、パテマも妙な世界に足を踏み入れてしまったという気持ちが強かったように感じられました。また、パテマと幼なじみなのであろうポルタの存在も、アニメ本編の中では邪魔でした。ポルタの存在は、エイジとパテマの恋仲を形成するには阻害要因としかなりません。たいして役に立った人物でもなかったので、要らなかった登場人物だったのではないでしょうか。

最終的にはどんな世界に!?

アニメ本編の終わった後の展開を考えてしまいます。やはり、エイジとポルタは結ばれるような展開になるのでしょうか。しかし、重力が逆に作用する同士、恋愛の障害は大きいように思います。天井の高さがいい加減でないと、キスするにも、具合が悪いです。さらに技術が進むことで、さらに重力を逆に作用させる発明がされるのでしょうか。元々は、重力を反転させてしまったことで、世界の大部分が滅んでしまった様子が描かれていました。すなわち、アニメ本編による世界観では、さらに逆転させることも不可能ではないことを指しているのではないでしょうか。エイジが地底側の人間になるのでしょうか、逆にパテマが地上側の人間になるのでしょうか。先のことを考えてしまうと、色々と妄想が膨らんでしまいます。しかし、そんなことを色々と観終わったあとに考えてほしかったようにも感じられます。だからこそ、エイジとパテマの恋愛要素を強く打ち出さなかったのかもしれません。それは観る側に委ねられた要素と考えることができます。ただ、いえるのは、エイジとパテマはお似合いのカップルになりそうだということです。そして、世界観においても、地底に住む方も空を眺めて生活することができそうな環境で物語が締め括られていました。これからは、空や雲、星空を楽しんで生活することができるのだと思います。そして、地上ではおかしな考え方が教育されていましたが、直ちに撤廃されてほしいです。悲劇があったからこそ、空を飛ぶことを危険思想だと認識するのは、あまりにも極論すぎると思うのです。そして、おそらくは今現在より未来であろう世界観の物語です。明らかに地上人の技術レベルは、今の時代より進んだものが描かれていました。しかし、技術レベルは進んでも、文化レベルは退化しているように感じられ、相反しているように思えました。

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サカサマのパテマ考察!アイガ人と地底人について

「空」だと思っていたものは・・・この作品を視聴した後の率直な感想として、とても面白かった。ありそうでなかった発想。なるほど、そういうことだったのかと。全てが「サカサマ」だったのだ。視聴後に頭の中で色々と整理する必要があるなと思った。まずは最終的に判明した「アイガ人の住む世界」と「地底人の住む世界」の位置関係から整理しようと思う。パテマたちが落ちていったと描写されていた「空」は、実は人工的に作られたものだった。中盤でエイジとパテマが共に空へ落ちていくシーンがあるが、その先には無機質な空間が広がっていた。無数の明かりが灯っており、人気はない。パテマたちが乗り物に乗って脱出を試みようとしていたときに、足を着けていられないほど熱くなっていた。この空間の正体は「人工照明」であり、この世界の最も下層に位置するものだ。ラストシーンでサカサマ人がパテマたち地底人ではなく地上に住むアイガの人たちだと判明...この感想を読む

4.04.0
  • まゆたまゆた
  • 3795view
  • 3189文字
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