ただのラブストーリーではない!
性格や価値観の違う二人の成長していく姿
天才的な才能の持ち主でカリスマ性、名声や富を手にし、公私ともに充実しているかのように見える主人公。彼の無意識に人を馬鹿にして傷つけてしまうデリカシーの無さや、幼少期に経験したある出来事からの人間不信なところは、ヒロインである夏井真琴が現れ大きな悩みの壁となる。
ヒロイン真琴の努力家で真面目、でも不器用。というキャラクターはどこにでもいるような、親しみある人物像で、特に若者は感情移入もしやすい。また、主人公の率直で包み隠さない的を射た鋭い意見は、言われる側は傷ついてしまっても、そのごもっともな指摘にどこか爽快感がある。
性格や価値観が極端に正反対な二人だが、お互いに欠落していた大切なものを補い合い成長していく姿は、恋愛の進展と同様に人としての心の変化も楽しめる内容の一つである。
現代版「プリティーウーマン」
インターネットで検索しても調べることのできない「恋の法則」「女心」などといったルールや目に見えないものに振り回されながらも、主人公は真琴と向き合うことでより人間らしく成長していく姿は、視聴者の心を温かくする。
また、東大卒の秀才であるヒロイン真琴に関しても、学校では教えてくれない、辞書を引いても載っていない、決まったルールや答えのない「就職活動」という戦場に悪戦苦闘していた。いくら勉強ができても、記憶力が良くても、「自分らしさ」というものを見つけられずにいた真琴は、現代の若者と重なる部分があるのではないだろうか。自分の信じた道をどんどん進んでいく、天才的な主人公に刺激を受け、必死に追いかけていく真琴だったが、より密接な関係になるにつれて、ポテンシャルの違いに後ろめたさを感じる真琴だったが、徐々に「自分にしかできないこと」を自分なりの方法で見つけていく姿もまた、就職氷河期の中もがく若者への前向きなメッセージであるように思える。
ITというものをより身近に感じることができるドラマ
「面白いことがしたい・誰にもできない新しいものを作りたい」と思う気持ちが強かった主人公も、物語の終盤では、「人々の生活を豊かにするもの」を作るために、社員一丸となり、協力し合い、新しいプロジェクトに専念する。本作は単なるラブストーリーではなく、ネット社会であるこの世の中、ITが限られた専門分野の中だけで生かされている手段であるのではなく、人と人との心を繋げる大切な架け橋としてあり続けるべきものだと考えさせられるドラマである。
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