何度でも、何度でも。出会えたことに、ありがとう!と言える、いのちの絵本。 - 葉っぱのフレディの感想

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葉っぱのフレディ

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文章力
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ストーリー
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何度でも、何度でも。出会えたことに、ありがとう!と言える、いのちの絵本。

5.05.0
文章力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
5.0
設定
4.5
演出
5.0

目次

命について、生きること、死にゆくことを、考えさせられる絵本。

この世の中の生きとし生けるものの中で、わたしたち人間が、一番、「死」について鈍感なもの、それは植物ではないだろうか。親が、子が、友が死んだとき、飼い猫が、飼い犬が死んだとき、わたしたちは、涙するだろう。もうあなたがいないと生きていけない、とさえ思うだろう。しかし、庭の木の葉の最後の一枚が落ちたとて、わたしたちは何も思わない。今朝、きれいな花を咲かせたチューリップがしぼみ、花びらが落ちてしまっても、「死」と直結できない。だけど、長い冬の寒さに耐えた枯れ木に、小さな緑が芽吹いているのを見つけたら、「もうすぐ春だね」「命って、素敵だね」と、自然の生命力にほっこりさせられる。植物は、不思議だ。そんな植物、葉っぱのフレディが主人公のストーリー。

大人のための絵本のさきがけかも・・・・。

わたしの認識不足かもしれないが、この本がきっかけとなり、大人のための絵本が世にたくさん送られることになったのではないか、と思う。子供のための絵本ではなくて、大人が童心に返って読む絵本ではなく、いろいろな経験を経てきたからこそわかる、そんな絵本。いや、なにも知らない子供は、もう既に知っている。真っ当な子供の感性は、経験不足でも未熟でも、ページをめくるたびに猛スピードで理解していく。経験と知識豊富な大人よりも、ずっと早く。「ナンバーワンより、オンリーワン」「ありのままで~」大人長い年月をかけてようやっと気づくことを、子供たちはずっと前から知っている。大人になるうちに、残念ながら忘れていき、そしてまたチャンスがあれば出会うのだろう。この本もそういった経過をたどり、今、大人が読み、親が子に読んでやり、そして、子が一人で読む。それはまるで、落ち葉がくるりくるりと自由に円を描くように、くるりくるりと人々の手に渡っていく。そして、丸い輪のようにずっと続いていくのだろう。この名作を、今、手にとれたチャンスに感謝したいと思う。それが、何度目か、なら、なおさらうれしいではないか。

「いのちは永遠に」。生きることは、変化すること。死とは、引越しすること。そして、生命は、続いていく。

葉っぱのフレディを自分に置き換えて読んでみる。物知りの親友ダニエルやアルフレッド、ベン、クレア・・・身近な人に置き換えてみる。すると、本当に、彼らは人間そのものなのだ。短くてはかなき人生そのものなのだ。その中で、彼らは、遊び、学び、そして自身の役割を知り、それを全うする。わたしたちも、こうありたいものだ、と思う。そして、「死」は終りではなく、続くための「場所替え」なのだと教えてくれる。生まれてくるときの恐怖はまるで覚えていないくせに、わたしたちは、不思議と死ぬことへの恐怖心は知っている。今を精一杯生きることが、逆に死への恐怖が払拭させるのだ、と理解できる。生命って、すばらしい。がんばろう。ありがとう。そんな素敵な言葉にあふれた、不朽の名作だ。

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