個人的には大好きだが、器用貧乏ゆえに打ち切られたジャンプ漫画 - クロス・マネジの感想

どうせ打ち切られるなと思っていたら打ち切られたジャンプ漫画

『弱小女子ラクロス部のマネージャーとなった主人公が、ヒロインといい感じになりながらクラブを立て直していく』と言うあらすじ。

テーマがラクロス部ということや主人公がマネージャーと言った多少の目新しさはあるが、いかんせんパッとしない設定。絵の巧さも勢いも平均的な打ち切り漫画の枠を出ていない。ストーリーも、素材を除けば先が分かってしまうような典型的な筋道。分かりやすすぎるキャラ設定。

おそらく、連載が始まった当初から打ち切られると思っている読者も多かっただろうし、私もそう思ってた。

だが、私は割と毎週楽しみにしていて好きな作品だった。

ラクロスとマネージャーと仲間と笑顔と

新しいスポーツの素材で漫画を読むとき、『ルールが分からない』『どれだけ難しいか想像できない』という壁がある。この作品はルール説明が分かりやすく行われており、呼んでいてルールに戸惑うことは無かった。ラクロス自体を知らなくてもスイスイ読める。

また、『マネージャー』という仕事にもうまくスポットを当てていた。日々の雑務はもちろん、仲間同士の問題に対してどう処理するのか、ラクロスの試合にはどうやったら勝てるのか。それらを主人公が悩みながら成長しながら解決していく課程がキチンと描かれているので、呼んでいるこちらも一緒に一喜一憂できる。

また、主人公やヒロイン以外のチームメイトも分かりやすすぎるキャラ設定であるが、その分親しみが湧く。それぞれ個性、長所や悩みを丁寧に描き、主人公がそれに真っ向に向き合っていることがよく分かる。最初は「なんだこのよくありそうなチームメイトは」という感想から、このチームメイトじゃなきゃ駄目だと言うほど思いがこめられてしまう。途中で打ち切られたのでキャラ全員を深く掘れていなかったのが残念極まりない。

そして、個人的にこの作品で一番好きな箇所は、ヒロインの笑顔である。

本作品のヒロインは基本的に笑顔が多いが、中でもラクロスの楽しさに浸っている時の笑顔は格別である。とっても可愛い。私はこの一枚でハートをぶち抜かれた。先ほど絵柄は平均の域を出ないと描いたが、ここだけは個人的に満点を与えたい。数あるジャンプ打ち切り漫画の中でもブッチ切りで可愛いヒロインである。

どれもそこそこ面白いが、中途半端で終わってしまった

この漫画の残念な点は、漫画の焦点が一つに絞りきれてなかった事である。

『ラクロスの魅力を伝える物語』『マネージャーの素晴らしさを伝える物語』『スポーツを通じた主人公とヒロインの恋愛ストーリー』『個性的なキャラクターが出てくる群集劇』

この漫画は一体どれなんだ。

おそらく、どれにでもなれる可能性はあっただろう。実際、全てがそこそこのクオリティで描かれていた。

だが、所詮はそこそこ。突き抜けたものは無かった。あれもこれも器用貧乏となってしまい、何を楽しめば良いのかわからなかった。

どれか一つに的を絞って描いていれば、もっと面白さが伝わって連載が続いていたかもしれないと思うと、残念でならない。

たまーに思い出したときに読みたい作品

5巻という程よいボリュームに大体の要素が詰まっているので、さっくり読むには良い作品。手持ち無沙汰なときにこの作品が目についたら、ちょっと読み始めていつの間にか終わっている感じである。