これでも長編アニメと呼べるのでしょうか!?
前作シリーズからの継承
アニメ本編が、時間枠が一気に10分ほどに設けられました。一般アニメ作品においては、1話の半分ほどの時間枠ですが、元々30秒ほどの「絶体絶命でんぢゃらすじいさん」からすると、一気に20倍になった計算になります。
当然のことながら、お笑いのネタみたいな要素の強かった前シリーズと比べて、話の展開が構成されていました。正直、10分のアニメ本編に耐えうる内容になるのかな、という疑問を浮かべたのは事実です。途中の展開から、ドロ試合感は否めませんでしたが、ひとつの形にはまとまっていたように思います。
また、ノリと勢いで突っ走るお笑いの形態は継承されており、音量が大きくもないのに、うるさく感じさせる印象は同じでした。ただ、高いテンションが続いて疲れてしまいます。前作は30秒ほどのアニメ本編だったので、疲労感もありませんでした。しかし、約10分の間、あのテンションが続くと疲労感は大きいです。時間枠を拡大したことにより、改めて見えてきた事実だと思います。前述では、ドロ試合と形容しましたが、そう思わせる部分はそこにあるのかもしれません。
また、続編がでるようであれば、改善するべきことではないでしょうか。
また、「じいさん」がボケるのに対して、「孫」がツッコミを入れるスタイルは継承されており、構図が覆ることはありませんでした。たまには、逆の展開があっても、斬新で面白い映像になるるのではないでしょうか。
ぜひ原作者に、ぜひ制作スタッフに、提案してみたいことです。
そして、「じいさん」の無茶苦茶ぶりも継承されており、「絶体絶命でんぢゃらすじいさん」というアニメ作品らしさをそのまま感じることができました。しかし、それが消えてしまってはアニメ作品そのもののイメージを覆してしまうことになるのかもしれません。ここで感じることは、たまには「じいさん」が真面目になっても面白いように思います。「真面目か!」とツッコミを入れる「孫」の姿を想像してしまいます。そして、「真面目じゃいけないのか?」とツッコミ返す「じいさん」は面白い映像ではないしょうか。
構図が継承されている、徹底されている、といえば聞こえが良い表現なのかもしれません。
しかし、悪い表現を用いれば、ワンパターンともいえます。
そして、その展開に飽きてしまう印象が否めないと振り返ることができます。
他アニメの影響・要素
前作シリーズには無かった要素として、他アニメ・マンガを扱ったネタで笑わせようとしていることが伺えます。
鳥山明先生の作品「ドラゴンボール」のスカウターネタ、戦闘力で笑いを誘っている場面がありました。これは間違いなく、前作シリーズには見られなかった傾向です。他にも、「サンダーバード」を意識した乗り物や、前作シリーズのネタと同じ展開をさせる「天丼」の手法も用いられていました。
アニメ本編の時間が長くなったことに伴い、描かれる内容や笑いの方向にも、変化・進化を感じとることができます。おそらく、一瞬の出オチの使い方をするネタは、もっと多くの他アニメ・マンガ作品のネタを扱っているのだと思います。見れば見るほど、見返す回数を重ねることで、多くの作品のネタが使われていることに気付ける形式になっているのかもしれません。
そういった見返すことで、新しい発見や気付きをできる構図にしていることも進化だと捉えられるように思います。
登場人物について
面白い手法だと思います。「絶体絶命でんぢゃらすじいさん」という作品において、新しい登場人物を乱発させるようなことはありません。むしろ、「使い捨て」という表現がアニメ本編でされています。新しい登場人物を続々と投入するのではなく、その話・その場面だけの登場人物が多くて、二度目の登場がないのです。
登場人物を乱発すると、管理が難しくなります。
「使い捨て」と言い切ることで、新しいネタ・人物を投入させつつ、その後、登場させないと言い切るアニメ作品は斬新です。出番や登場頻度を考えなくて良いので、優れた手法だといえます。ギャグアニメでしか成立しないことですが、清々しさを感じさせるものだと思います。
私自身、原作マンガを読んだことありません。しかし、インターネット上のフリー百科事典「ウィキペディア」を参照すると、多くの登場人物について記載されています。しかし、アニメ本編を観ても、誰のことか分からない人物が多く並んでいます。そこが、原作マンガとアニメ作品の違いといえるのかもしれません。
制作スタッフは意図的に、原作マンガの登場人物をアニメ本編に登場させていないのでしょうか。
それは同時に、原作マンガの魅力をアニメ化しきれていないことの表れのように思います。そして、先に新しい登場人物を乱発させないことを記載しましたが、原作マンガにおいては様子が少し違うように見受けられます。
アニメ作品の「絶体絶命でんぢゃらすじいさん」と、マンガ作品の「絶体絶命でんぢゃらすじいさん」では内容が違うことが伺える事実です。
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