物語最後のオチは強烈なシッペ返し - みずいろの感想

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みずいろ

5.005.00
映像
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ストーリー
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音楽
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物語最後のオチは強烈なシッペ返し

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

ほのぼのとした作風

アニメ全編を観通しても、1時間要しないので短いOVA作品だといえます。そして、短い時間の中にほのぼのとさせてくれるので、肩の力を抜いて観させてくれるのも良いのではないでしょうか。

短いアニメ作品といえば展開が早いイメージがあります。ほのぼのとは相反しているようにも思えますが、二つの要素を実現させていますので感心させられます。アニメ本編での展開の早さがしっかり計算されているのと、登場人物のキャラクターの合わせ技が、短いアニメ本編時間でほのぼのさせることを実現しているのだと思います。また、演じている声優の役割もキャラクターに合わせ、ゆっくりの言い回しをしている点も良い方向に作用しているように感じられます。

好感なのは詰め込み過ぎておらず、適度な内容量にまとめられていることも大きいです。そして、驚かせてくれる場面もあり、悲しい気持ちにさせてくれる場面もあり、短い内容でも物語としての完成度は高いものに仕上がっていると思います。

 

特に特徴がない主人公!?

とてもモテモテである主人公片瀬 健二(かたせ けんじ)が気に入らないです。外見はイケメンに描かれていましたが、設定ではイケメンで女子にモテモテという様子は見受けられませんでした。特に、義妹である片瀬 雪希(かたせ ゆき)、幼馴染の早坂 日和(はやさか ひより)に想われている描写が強かったのではないでしょうか。

ただ、主人公の特徴と呼べるものが皆無です。特徴と呼べるほどの馬鹿でもないですし、頭が良いわけでもないようです。スポーツをしている様子もなく、運動神経においては未知数です。本当にこれといった特徴が設定されていない主人公であり、アニメの登場人物としては気の毒に思えるほどです。

それを物語っているのが、フリー百科事典のウィキペディアでの「みずいろ」登場人物の項目、主人公の健二の記載事項が一行で終わっています。むしろ、他の登場人物に関する記載事項の方が、圧倒的に文字数・内容量が多いです。

しかし、これには製作スタッフの意図的ものを感じられます。

敢えて、主人公の個性・特徴を弱くしているのは、観る側の気持ちを主人公に投影させることを狙ったものではないでしょうか。観る側は、自分が主人公だと思って、主人公に自分を重ねることで、モテモテな主人公に対する負の感情が消えます。むしろ、自分自身がモテモテになっている気持ちすら抱くことができるように思います。元ネタはゲームコンテンツであり、きっとプレイヤーは主人公である健二の行動を決定して進めていくものなのでしょう。すなわち、それはアニメ本編であっても、同じ視点で観るべきなのだと考えられます。

また、主人公である健二の特徴を強いて挙げれば、不用意な発言で女の子を傷付けてしまうことがあることでしょうか。しかし、男性であれば、誰でも思い当たる節があることで、特徴とはいえないのかもしれません。逆説的に考えれば、男性であれば、誰でも健二に自分自身を投影できることでもあると思うのです。

そういう観点で楽しんでいくアニメ作品なのかもしれませんね(笑

 

義妹の想い

健二に向けた雪希の気持ちは相当に強いことが伺えます。家事全般の全て受け持っており、健二の為に、毎日料理している姿は素晴らしい女性像です。一般的な理想の女性像であり、女房層なのだと思われます。

それを毎日続けられるという事実が、雪希の気持ちの強さの表れなのだと思います。

そして、しっかり者で真面目な部分も、雪希の存在感を強くしています。外見面でいえば、身長は低く、黄色いリボンが特徴的です。小さく可愛い女性は、男性からみれば守ってあげたい存在に映るのではないでしょうか。そういった部分を制作スタッフが意図的に狙っていることは間違いないでしょう。

現実社会では、なかなか出会うことのできない理想像のひとつを具現化した姿なのではないでしょうか。

 

幼馴染の想い

幽体離脱してまでも健二の元に訪れるのだから、日和の想いの強さも雪希に負けてはいないことが伺えます。そして、雪希とは違い、胸の大きいキャラクターであることも見逃せない点ではないでしょうか。日和は、登場人物の中で、最も胸の大きい女性なのです。胸の大きさは、女性らしさの象徴とも考えられますので、敢えて強調している部分なのでしょう。

また、天然キャラである点も、男性目線からすれば守ってあげたい対象に映ることでしょう。ここでも制作スタッフの意図的なものを感じとることができます。

ただ、記憶が演出をしていますが、おそらくは記憶のない演技をしていただけなのであろうと思います。幽体離脱をしていたのであれば、記憶を失う理由は特に挙げられません。きっと、日和は、健二と雪希の本当の気持ちを知る為、記憶がない演技をしてとぼけていたように受け取れます。

 

オチが喜劇らしい結末

日和を幽霊として登場させ、実体を最後の最後まで登場させなかったのは、観る側に感情移入を促す仕掛けだったのだと思います。日和が死んでしまっており、本当に幽霊として登場していたのであれば悲しいお話として結末していたのでしょう。

しかし、悲しい気持ちで締め括らず、笑える展開で終わったことは喜劇以外のなにものでもないもののように思います。

日和が死んでしまっており、願いを叶えることができなかったから、心残りがあったから、幽霊として登場したことに同情させられるものがあります。幽体離脱が前提だったのであれば、これほどの感情移入はできなかったと思うのです。最後のオチとして、病院で治療を受けており生きているという事実は、肩すかしを食らうものの立派なオチとして成立しています。

短い時間のOVA作品ですが、観て損はない物語だったように感じております。

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