ロボが人間以上に人間らしい存在
最初に
1話100秒アニメというのが、斬新なアニメ作品です。
短い時間ではありますが、畳みかけるように、詰め込んでくる内容がギャグアニメならではないでしょうか。畳みかけていますが、体感的には、物語のテンポが良く感じて、決して詰め込んでいる印象は強くありません。
また、ショートアニメらしく、登場人物も絞り込んでいるので、話の展開が分かりやすいことに好感が持てます。また、作画はフルCGなのでしょうが、とても美しいのも印象的です。
その恩恵を受けているのが、最も受けているのは少女の存在ではないでしょうか。少女は、とても可愛いです。しかし、ロボと少女の二人で暮らしているように見受けられますので、家族構成自体は謎に包まれたままです。そして、少女自体の存在感は大きく扱われていないことが残念でなりません。
ただ、「ロボと少女(仮)」は優秀なアニメ作品であると認めざるを得ないと思います。
元家電の中古ロボ(笑
不思議な存在感を醸し出す、「ロボと少女(仮)」というアニメ作品における主人公です。元々は家電だったそうですが、どんな家電だったのか、明かされないままに最終回してしまいました。人工知能を搭載したコミュニケーションロボットだったのかもしれませんが、頭部が飛ぶ設計は、よく分からないままに機能だけが別用途に使用されています。
他には特別な機能が備わっていない点が、シンプルな存在だといえます。
ただ、この主人公ロボの一番の特徴は、そのモチベーションの高さにあるのではないでしょうか。勢いだけは素晴らしく、何事にも前向きに突っ走る姿が、「ロボと少女(仮)」の面白さなのだと思います。
また、人間に必要とされたいと思っているようで、仕事に対しても一生懸命です。元家電のロボなので、当然のことのように感じます。しかし、誰かに必要とされたいと考えている部分が、一番人間らしいと思えるところのように思います。人間も一人では生きていけず、誰かと関わりを持ちながら生きていくものだと思います。また、誰かに必要とされたとき、面倒な気持ちはあっても、本心は嬉しいものではないでしょうか。
面白いのですが、一生懸命のところが可愛くて好感をもてるところが、主人公ロボの魅力なのだと思います。
挫折することも多いですが、その部分を支えて応援しているのが少女の役割となっています。一生懸命だけではなく、挫ける弱さまで持ち合わせているのも人間らしいように感じます。
ロボと少女は、良いコンビなのだと思います。
アニメを観る前は、少女は、性格が悪くて、キツい発言をするキャラクターなのだと思っていました。そして、ロボに対し、無茶ぶりすることで笑わせるアニメなのか、と予測していましたが、全然違う内容だったので驚かされました。
最近は、そういう路線のアニメ作品が多いことから、勝手にそのように思っていましたが、まさかの癒し系だったので意外に感じました。
1話完結のスタイル
「ロボと少女(仮)」というアニメ作品は短いアニメ作品であるにもかかわらず、基本的には1話完結のかたちをとっています。最後の話だけは、3話に渡って続く展開になっていました。しかし、その1度限りだったのではないでしょうか。後を引かない、という点で素晴らしいものではないでしょうか。
逆に、100秒という短い時間のアニメ作品なのに、完結させられる構成で毎回まとめられたものだと感心させられます。そこには徹底された想いを感じられ、作品づくりに手抜きがないように思います。
工事現場で働く話が好き
主人公ロボが、現実に打ちのめされ挫折していたので印象に残っているのは、工事現場で働いている場面です。優秀な重機が登場することで、ビル解体においては作業が捗る結果になり、主人公ロボの存在が危うくなりました。この場面は、会社で働くサラリーマンなどを彷彿とさせるものがあり、優秀な人材がいれば、代わりは幾らでもいることを示唆しているように感じられました。
挫折した主人公ロボに、少女は優しく励ましたことによって、主人公ロボはパワーアップを果たします。重機より強力な破壊力を備えた、頭部飛ばしには驚かされるものがありました。見た目からは考えられないパワーを出力していることに、「そんな馬鹿な」と心の中でツッコミしてしまうのです。
灰ビルとはいえ、頭部を飛ばすことで、破壊できてしまうほどの破壊力を発揮して、その話は爆発オチで締め括られました。
最後の爆発オチは置いておいたとしても、人間社会を反映した話だったので、パンチが効いている良いネタだと思わされました。
最終回のオチ
黒幕のアンドロイドが改心して、人間たちの為、一生懸命に働く姿が微笑ましい終わり方でした。破壊されて終わってしまっては、とても悲しい結末です。これまでの印象を壊してしまうものだったように思えてなりません。
そういった部分まで、制作スタッフが考えられていたのか、知る術はありません。
しかし、作品全体の印象と、結末の着地が合致したものであり、納得できる締め括り方で満足させてくれる内容であることは間違いないです。
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