漫画でいえば同人誌のような位置付けなのか!? - たれまゆの感想

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たれまゆ

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声優
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音楽
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漫画でいえば同人誌のような位置付けなのか!?

2.82.8
映像
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.0
声優
1.0
音楽
3.0

目次

自主制作アニメという分類

正直、自主制作アニメというジャンルで初めて観た作品なのかもしれません。それだけに衝撃は多く感じたアニメ作品です。

まずは、アニメ本編の時間が5分以内でまとめられている点が衝撃的でした。短編アニメと呼ばれる作品も多い中で、圧倒的にアニメ本編に時間が短いのは驚きです。ただ、昔を思い返せば、フラッシュアニメ職人と呼ばれる方がいて、笑える動画や感動する動画、ほのぼの動画を制作される方がいました。その延長線にあるジャンルと考えれば、不思議ではないでしょうか。

他にも、聴覚という点では効果音や物音、音楽で構成されており、声が一切ない部分にも驚かされました。自主制作であるということは、個人で制作されたアニメだということなので、声優が起用されることもないのでしょう。しかし、声がなくても映像だけで、ここまでの表現ができることに驚かされます。頭の中で勝手に、キャラクターがどんなことを話しているのか、想像させるような内容です。

当然のことながら、コストをかけて制作されたアニメ作品ではないことは明らかです。しかし、個人で制作されたアニメでも、ここまで作れてしまうことも凄いことだと思います。アニメ制作する環境が、一般的に普及してきている背景はあるのでしょうが、完成度の高いアニメーションに仕上がっていると思います。

 

近所の悪ガキども

主人公のお姉さんを以後、「たれまゆ」と呼称させて頂きます。「たれまゆ」に向けて、水鉄砲を一斉射撃して、追い回す悪ガキどもが冒頭に描かれています。この部分は、「起承転結」でいえば、「起」に相当する場面です。

何気ないように見える部分でも、実はアニメ本編において、重要な役割を担った場面なのだと思います。この部分がないと、アニメ本編における一番のドラマチックな展開が活かされません。それだけ、制作者のメッセージは、この悪ガキどもに委ねられていると考えることができます。

 

「たれまゆ」の正体

「起承転結」の「承」に該当する部分は、「たれまゆ」の正体を徐々に明らかにしています。普通のお姉さんに見えて、実は凄い能力をもっており、観る側を驚かせる仕掛けになっているのが憎い演出ではないでしょうか。しかも、作品タイトル「たれまゆ」は、お姉さんを指していることは、物語の冒頭で明らかです。「たれ」という言葉が、「たれまゆ」の存在を侮らせるようにも思います。

映像としては、最も派手で驚かされる場面なので、「起承転結」の「転」も兼ねているのかもしれません。

また、巫女さんの格好をしていますので、神聖な存在であることも示唆しているように感じます。

しかし、巫女さんの格好が、観る側に対してのフェイントの要素にもなっており、次の展開で、驚かせる仕組みにもなっています。

 

神輿で担がれる「たれまゆ」

この部分は、「起承転結」でいう「転」に該当するところだと思います。確かに、映像的には水を操ることで恵みをもたらせる場面の方が派手です。しかし、神輿で担がれる「たれまゆ」は、「たれまゆ」自身が神さまであることを指す明確な場面です。

これまで、巫女の姿をして水を操っていました。本来、巫女とは神さまに仕える立場であることを示すものではないでしょうか。しかし、ここでは神さまに仕える存在ではなく、「たれまゆ」自身が神さまであることを明らかに示唆しているのです。

実は、この場面で「たれまゆ」の正体を明らかにしていることは、物語の構成上、観る側を驚かせるものだと考えられます。

なので、私は、この場面が「起承転結」でいう「転」にあたる部分なのだと思います。

 

物語の結末について

物語結末の場面になって、冒頭に出てきた悪ガキどもが再度登場します。「たれまゆ」は冒頭場面で、水鉄砲の一斉射撃を受けていますので、同じことをされると思って悪ガキたちに身構えてしまいます。

しかし、悪ガキどもの真意は水鉄砲で「たれまゆ」を射撃することではなく、「たれまゆ」とお祭りを楽しむことにありました。子供たちのことを悪ガキと表現していましたが、実は、悪ガキではなかったというオチで締め括られています。

何気ない日常が描かれた、ほのぼのとした作品という印象が強いです。しかし、そこに込められた製作者のメッセージは、思い込みや最初の印象で決め付けてしまってはダメだということなのではないでしょうか。

どうしても、派手な映像や、神さまだった「たれまゆ」というストーリー性に意識を向けてしまいます。しかし、制作者のメッセージは、その脇を支える子供たちに託されていたのだと思います。だからこそ、子供たちの存在は、このアニメ作品において重要な役割となっており欠かせないものだと考えられます。

また、二面性を見せることで、二面性のギャップの大きさに比例して良い印象を抱かせるものに仕上げられているのだと思います。

ほのぼのとしたアニメ本編で、制作者の意図的な狙いを感じられる部分だと思います。

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