PCゲームやってないと飲み込めない~
色んなコンテンツからの影響
オープニング曲の出だし部分ですが、アニメ「不思議の海のナディア」そっくりそのままです。意図的にそうしたのか、と考えてしまうほど同じように感じられます。
しかし、両作品における共通点はないように思えます。強いて挙げるなら、作品タイトルに「海の」という言葉が付けられていることでしょうか。そう考えると、意図的に似せる目的が分かりません。きっと、アニメ制作に関わったスタッフに「不思議の海のナディア」が好きな方がいたから、そのイメージを「蒼い海のトリンティア」に取り込んだように思います。
アニメの内容は、「鉄人28号」「プラレス3四郎」と重なる印象があります。ロボットのようなもの、このコンテンツの中では「ゴーレム」と呼称されています。人間が操作、指示を出して闘わせる内容は同じように感じます。
ただ、このOVAアニメ作品では気になる点があります。元ネタであるPCゲームは、荒廃した都市を再生させていくシュミレーションゲーム、ギャルゲームといった側面の強い内容だったようです。しかし、OVAアニメ作品では、そのような印象をもつことができません。元ネタのゲームが好きな方から、このOVAアニメ「蒼い海のトリスティア」を観たとき、期待に応えられる内容ではなかったのではないでしょうか。OVAアニメを観た後で、元ネタのPCゲームのことを知りましたが、この事実に違和感がありました。
元ネタの存在は!?
元ネタが都市の再生計画を立てるシュミレーションゲームだったのであれば、もっと違った内容でアニメ制作されるべきだったように思います。どちらかといえば、ゴーレムを対決させることに比重を置いた内容になっていますので、本当にこれで良かったのか、謎に包まれています。
また、内容そのものは、世界感や背景の説明要素が薄いので、ゲームをされている方、そして、小説などを読んでいる方に向けられた内容のように思います。しかし、元ネタのゲームとは方向性が明らかに違うので、このアニメ作品の存在意義はよく分からないです。
逆に、アニメを観る方をゲームユーザーに絞っていないのであれば、もっと世界感や背景の解説が入っていないと、観ていて理解に悩んでしまいます。観ている方を置き去りにしてしまっている感じが強いので、描き方が違うのではないか、と感じてしまいます。ターゲット層の絞り込み、それに合わせた内容作りという点で中途半端になっている気がします。
元ネタのゲームユーザーからすると、内容に満足できない可能性が高いのではないでしょうか。元ネタを知らない一般人からすると、ゴーレムや自立型アンドロイドなど、その存在の定義が分からず、物語だけが進行してしまうように感じさせるのではないでしょうか。
作品のメッセージ性
OVAアニメは全2話で構成されている時間の短い作品です。主人公ナノカに強い敵対意識を抱えている先輩の存在に焦点を当てると、「蒼い海のトリスティア」というアニメ作品のメッセージ性が見えてくるように思います。
この先輩は、主人公ナノカに対する感情が強過ぎて、足元が見えていません。浮き足立った状態で、二回のゴーレム対決が描かれています。同じことを二回繰り返していることは、制作スタッフの強調させる意図的なもので描かれているように受け取れます。
また負の感情であることも、アニメ作品の中で強調されている印象が強いです。負の感情に取り付かれ、周囲が見えていないことで、他人にも利用されてしまっています。本来、自分で作り上げたゴーレムであれば、管理は自分自身で徹底しなければならない、という前提で考えなければなりません。しかし、容易く先輩の作り上げたゴーレムは、他の者によって改造されてしまっています。これは、自分自身を見失っていない状態ならば、気付いたことであり、阻止できたことなのではないでしょうか。
結果として、先輩のゴーレムは悪用されてしまい、街に甚大な影響を与えてしまっています。エンジニアからすれば、有り得ない失態と考えることができます。10年に一人の逸材、100年に一人の逸材という言葉が出てくるように、本来は優れたエンジニアなのでしょう。しかし、その能力を活かしきれていないことで、主人公ナノカに勝てないという部分は大きいのはないでしょうか。
感情に捕らわれ、自分自身を見失ってしまうと、本来の実力が発揮できないことを示唆しているように思います。
そして、先輩自身は自分の力を過信しており、主人公のナノカを見下しています。主人公のナノカは、天然キャラでおっちょこちょいの部分が前面に出ています。確かに、本来の実力を見定めることが難しい人物像だと思います。
しかし、先輩は主人公のナノカの実力を認めることをしないと、一生挑み続けても、勝つことはできないでしょう。
戦いにおいて、敵のことを知ることは基本中の基本だと思います。そして、それは自身が見下している存在、主人公ナノカの実力を認めることと同義です。格上の相手との勝負、格下の相手との勝負では、その性質は全く違うものでしょう。
「認める」ということが、ストーリーの名から汲み取れる強いメッセージ性なのではないでしょうか。
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