作品全体がコミカルでポップな感じ - HELLSの感想

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HELLS

5.005.00
映像
5.00
ストーリー
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キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

作品全体がコミカルでポップな感じ

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
4.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

全ての要素がうまく融合

アニメでは多くの要素があると思います。画風や登場人物、そして背景・設定など、全ての要素がコミカル路線という方向で統合されており、良い作品に仕上がっています。

画風はフラッシュアニメを想像してしまうほど、配色のバリエーションがないことが印象的で独特のタッチだと思っていました。特に登場人物の肌の色や、髪の色など、基本的には単色で描かれています。影の部分には、影となるように、基本色に黒を混ぜた色を使っていますが、単色に影を示す二色で表現されており単調といえば単調です。

配色が単調な画風ですが、その分、登場人物の動きに躍動感があり、デフォルメなどの技術をうまく使われています。

とてもセンスの良い作画のように感じられ、好感が持てます。

また特徴的なキャラクターが多く、物語の展開や背景も独特な世界観があります。それらに作画がうまく合致しており、アニメーションとしての質は非常に高いと感じます。

Hells」というアニメ作品のアニメーションタッチが、もっと色んな作品に活用されれば面白いと思います。別の登場人物、別の物語で制作されたら、どのような作品に仕上がるのか、とても興味があります。

起承転結

このアニメ作品において、「起承転結」が感じられず、ギャグマンガにように進行・展開が早いのも特徴といえるでしょう。「起承転結」ではなく、「起転転転転結」というように展開が二転三転しているように思います。

あまりに早い展開で、色んなものを詰め込んでいるので観ていて疲れます(笑

観終えた後の疲労感は大きかったですが、他の皆さんはどのように感じるのでしょうか。私と同じような疲労感を感じるのか、それとも別にそんなことも感じないのか、気になる点ではあります。

 

打ち出された宗教色

天国と地獄という概念は仏教のような気がしますし、アダムやイブといった設定はキリスト教、イスラム教、聖書の中の概念であるように思います。

「地獄」といった考え方は、冒頭の部分から物語の礎となる設定です。しかし、途中から、いきなり別の宗教要素が入ってくることから、支離滅裂な感じがします。しかし、アダムとイブ、そして、カインとアベルについての話や展開には、大きなアレンジが加えられています。これは、原作者の方が、物語を構成していく上で意図的に行ったアレンジなのでしょう。

しかし、アベルが人間の心の醜い部分を強調していく、このアニメ作品において、とても違和感がありました。アレンジの方向や内容に、少し無理があったように感じます。(※どのように無理があったのか、事項で書きますので、今は棚上げさせて頂きます)

また、宗教色が強くなってきたと思ったら、意志や想いの強さという部分に焦点があたり、宗教色が非常に薄くなっていきます。意志・想いの強さが「言霊」という言葉の力に変わっていき、仏教の色が強くなっていきます。

このように転々と展開や、強調する部分が変わってくることが「起転転転転結」と感じさせる原因のように思います。これは意図的なものなのか、結果的にこうなってしまったのか、気になる部分です。

 

大きな愛情を受けたアベル

前項で棚上げしたアレンジの無理な部分について、考えていきます。九頭龍(くずりゅう)先輩こと、アベルのことですが、アダムとイブの愛を大きく受けて育っています。息子である兄のカイン、弟のアベルで比較しても、弟のアベルが受けた愛情は大きかったのではないでしょうか。

それなのに、弟のアベルが愛情に飢えていて、世の中や人間に恨みをもつ描写になっています。その部分の必然性に疑問を感じさせます。兄のカインに対して、恨みをもって復讐を企てるところは理解できるのです。

兄のカインは、弟のカインの存在のせいで、親の愛情を受けることができなくなりました。正しい表記は、弟のアベルに対して両親の愛情が大きく、兄のカインに向いた愛情が極端に少なくなってしまった、ということなのでしょう。そして、兄のカインはその嫉妬心から、弟のアベルを殺めてしまう、というのも極端な話のように思います。そして、この話の流れなら、弟のアベルは死ぬ直前まで、両親の愛情を受けて育っていたと思うのです。

自分のことを殺した兄カインを恨むまでは理解できても、嫉妬などの醜い感情をもった人間全体を滅ぼそうとすることが、大きな飛躍だと思うのです。その描写が、どうにも腑に落ちない部分であり、考えてほしい展開だったように思います。

 

想いの強さ、プラス感情とマイナス感情の葛藤、そして人間同士の争いという部分が、この作品におけるメッセージ性だったように思います。そして、それは世の中、現実社会の摂理であるといえるでしょう。如何に前向きになり、ポジティブシンキングで人生の困難に立ち向かっていけるか、という部分が強調されていたように感じます。

 

最後に、スティーラなど学園の生徒たちが卒業して転生できたハッピーエンドは良い結末だったのではないでしょうか。

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