腐女子のデビュータイトル
打ち切りだったのか?
ガンガンにて人気連載であった原作のアニメ化です。原作が途中でありまだカノンと対立しているところだったのでどのような展開になるのかと思われましたが、このアニメ版はまことに残念なことになんともうやむやなラストシーンを迎えます。もっと独自性のある展開にして、原作と違ったストーリーでもよかったのに続けてほしかった、非常にもったいないと思います。この中途半端な終わり方に納得ができず今までマンガを読んだことのなかった方も原作へのめりこむという、良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが確実に原作ファンは増えたという効果がありました。最初は流行りの推理ものか、と思わせてブレードチルドレン関連の大きな渦に飲み込まれていくといったストーリーですが、いったいブレードチルドレンとは何だったのか。これからどうなってしまうのか。鳴海歩くんが異様なまでにコンプレックスを抱いている歩くんのお兄さんはいったいどんな人でどうなっているのか。主題歌はいまだにカラオケで盛り上がる人もいるオープニングテーマと、当時大人気であったヒステリックブルーの隠れた名曲であり、解散後も本人たちにより演奏もされたカクテルという曲でした。エニックスとっておきの看板作品をもとに、声優陣も素敵な方々がそろっているので総体的に見るとかなり豪華な内容であったように思われます。後半はオリジナル性のある展開が見受けられたものの、物語の始まりから基本的な流れ、カノンくんと対立するという局面はほとんど原作に沿ったものです。ただひよのちゃんが主人公よりも実は圧倒的年上であったという後付け感の否めない原作展開(原作の絵を描いている方の作者も途中で知ってびっくりしたという)と異なり主人公の一つ上の女子高生先輩で終結するということから、原作と比較すると異常に子どもっぽいという違いは大きいです。まだ子どもでなければあんな恥ずかしい歌は歌えません。曲の終わりまで聴いたことのない方は一度サウンドトラックか何かで聴いてみることをおすすめします。特に原作をラストまで見届けた方には聴いてほしいです。かなり面白いです。
アニメならではの見どころ
エンディングの映像はブレードチルドレンの主要人物たちが仮面だの目隠しだのを身に着けたかなり色っぽい雰囲気に仕上がっており、アイズくんの絡みににいたってはもうカンペキに狙っているとしか思えません。ボーイズラブ好きが歓喜必須どころか、あの数十秒がきっかけで新しい価値観が芽生えてしまった方も少なくないことでしょう。人の価値観は数秒で変わってしまう移ろいやすいものではありますが、大企業が何千万も投資して少しでも関心を持ってもらおうと広告戦略を打つのですから、短時間で人の心を打つというのはものすごいことです。ちょうどチャンネル切り替えてエンディングだったら、どんな作品に思われるか分かったものではありません。しかしオープニングに関しては健全そのものであり爽やかな仕上がりでした。この落差はいったい何なのでしょう。パソコン技術を誰でも多少身に着けている現在とは事情が異なりますので、当時にしてオープニング映像は技術を駆使した斬新な仕上がりであったと思われます。技術うんぬんというよりは演出の発想が斬新であり、ただ派手に動かすアクションだけが"見せる”ということではないのだな、とひどく感心したのを覚えています。音楽に合わせた画面の切り替えは、今見てもかっこいいものです。
ステキな登場人物しかいない
目の保養です。主人公たちの通っている学校は超有名進学校であり、近いからという理由だけで入学した歩くんをはじめ登場人物はたいていみんな頭がいい。主人公も相当上手にピアノを弾きこなしますが、十代にしてピアニストとなり世界を飛び回る美少年ピアニストまでもがわざわざ仲間たちと集結して主人公に嫌がらせチックなことをしてくれます。美少年がピアノを弾くのはそれだけですごく良い絵ですが、他の作品にはなぜかあまり見受けられません。美少女はよく弾いているのですが不思議なものです。もともと可愛らしい繊細な絵柄ですが、アニメだということで典型的なアニメ塗りとなり絵柄の雰囲気はガラッと変わっています。しかしそれはそれで素敵に思える魅力がキャラたちにあります。ヒロインの声優さんの声は特にとても可愛らしく、聞いていてこっぱずかしくなるようなほのぼのとした歌まで収録しています。ひよひよの~、といったくだりは憧れる人の真似をしたがる多感な思春期の視聴者には闇が深い黒歴史を生んだことでしょう。血のつながっていない勝気に見えるけど実は脆いお姉さん、ロリっ子らしく見えるけど年上っ子やなかなか素直になれない優等生妹キャラなど男性受けがガッチリよさそうな陣営がそろっているのですが、アイズくん鳴海歩くん筆頭に美少年の見せ場がそれよりも多いこと、原作を掲載するガンガンなどエニックス雑誌の読者には女性が多かったことから女性の視聴者の方が多かったように思われます。
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