共存について考える - もののけ姫の感想

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もののけ姫

4.674.67
映像
4.75
脚本
4.44
キャスト
4.44
音楽
4.81
演出
4.50
感想数
9
観た人
31

共存について考える

4.54.5
映像
5.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.5
演出
4.5

目次

大迫力の映像が伝える、共存することの難しさ

完璧とも言えるくらいかなり迫力のあるシーンが、たくさんあり、目を休めることが出来ない程でした。今までのジブリのイメージと少し違う未知の世界が描かれているように感じました。一体ここで何が起こっているのだろうとはじまりのシーンから目が離せません。例えばゆっくりとストーリーが進む話もあれば、この作品のように最初から大きな衝撃を感じる作品があると思います。なぜこのような事態に陥ったのか、そんな疑問を視聴者に投げかけているようです。普通ではないことが今起きていることを私に伝えているようでした。少年のアシタカを追いかけきていた動物は、村を襲ったタタリ神でしたが、タタリ神を倒すために戦うアシタカの姿はとても逞しく見えました。あんなに大きな体の化け物に向かっていく姿はカッコイイと思いましたし、正義感に溢れている少年だなと感じました。人を恨みタタリ神になることは悲しいことだと思いました。巨大な姿に気持ち悪い見た目で体全体から血を流している姿はアシタカが退治することで元の姿に戻りますが、その姿が悲しい姿をしていて見る事が辛くなるほどでした。イノシシも力強い感じがしますが、タタリ神に取り憑かれた姿は、命を亡くしたイノシシが必死に助けを求めてアシタカに向かっていくようにも見えました。イノシシの悲しい思いがヒシヒシと私に伝わってくるようで、少し怖かったです。一体何が起こっているのか、見ている側を画面から離れさせないように仕向けていると感じました。イノシシは鉄の塊が体に打たれ痛々しい姿をしていて悲しかったです。鉄を作るために、動物の住む自然を破壊することは間違っていると思います。そのため、動物から恨まれ山犬に育てられたという人間のサンもエボシを恨むことは仕方ないと感じました。

誰でも住処を潰されたり荒されたら怒りが湧いてきます。動物たちは、どうしてもエボシのやり方が許せなかったのでしょう。それは私も同感です。自分を守るために自然を破壊し、動物の命を狙う彼女のやり方では、戦争のように争いが起こるのは目に見えています。なぜ、動物を殺さなければならなかったのでしょう。一緒に共存することは考えなかったのだろうか。そうすればどちらも争うこともなく、タタリ神という化け物も現れなかっただろうと感じました。みんな傷つかないように話し合いをするべきだったのです。

”もののけ姫”(サン)とアシタカの存在

山犬に育てられたというサンという少女の存在も気になりました。”もののけ姫”と呼ばれていた彼女は、アシタカの存在により少し気持ちが揺らいでいた場面を見て、やはり人間同士だから分かり合えるのかなと思いました。彼女は、人間を憎んでいましたが、アシタカも人間で、もののけ姫と呼ばれているサンも、人間なのです。人間が人間を憎んでいるということになります。サンは人間への憎しみがとまらずにタタリ神になりそうになりますが、アシタカによって自分を取り戻すことが出来て、アシタカは、サンにとってかけがえのない大切な人間へと変わっていったのだと思います。でもサンは、アシタカの事は好きでも人間のことは絶対に許せなかったのだと思います。本当は自分も人間だと気付いていたからこそ、森や動物を潰そうと考える人間が許せなかったのではないでしょうか。

後半でアシタカがサンに人間の世界で一緒に生きようと言いましたが、お互い人間でサンは森で暮らす動物ではないということを教えてくれたアシタカをサンは、少しずつ信じることにしたのだと感じました。

人間にとっての幸せとは一体何なのか。自分が幸せでいられるなら他を犠牲にしても良いのか。そんなことは絶対に許されません。争いが必ず起きて犠牲がでるでしょう。この作品のように争いが起きてしまってからでは手遅れになるかもしれません。共存するということは難しいことかもしれませんが、だからと言ってエボシのような行動に出ることは最悪の事態を招くと強く思います。

''もののけ姫”の特別感、今までとは違うジブリの世界

”もののけ姫”といえば、大人気ジブリの作品の一つですが、その魅力とは一体何でしょうか。サン、アシタカのキャラでしょうか。アシタカの外見は、普通ですし、正義感は強いと思います。サンは、女性らしくて可愛いというよりは、活発な少女という印象を受けました。私がここまでこの作品が人気が出たのは、キャラクターというよりもストーリー性を評価されたのではないかと感じます。もちろん、アシタカやサンも無くてはならないのですが、森林の映像、迫力あるシーン、湖が透明で透き通っているなど、本来の自然の姿に目を奪われました。ストーリーも、生きることや共存というテーマで受け入れ易く、共に考えてみる気持ちになることが出来ました。

ジブリ作品では、あまりないような無残な映像が多く見られるというところも、この作品だけだと思いました。人が次々と命を落とし争い、イノシシの焼け死んだような姿も気味が悪かったです。ジブリではあまり見られないような映像になっていると感じました。それがまた新鮮に感じました。

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他のレビュアーの感想・評価

もののけ姫以前と後

ついこのあいだ、残念ながらも引退を発表されてしまった宮崎監督。説明の必要すらないでしょうが、このもののけ姫はそんな宮崎監督を代表する作品の一つです。しかし、この作品が発表される前と後では彼の評価というかイメージは大きく異なったような気がするのです。もののけ姫以前の彼の評価としては、巨匠であることは間違いなくもどこか子供向けアニメを作る監督というイメージが一般的であったような気がします。もちろんこれは必ずしも正しくはありません。トトロやラピュタといった作品も大人も十分楽しめる作品でありますし、紅の豚や火垂るの墓など完全な大人向け作品、いや名作もあったのですから。しかしこの評価ももののけ姫の大ヒットとその出来ばえで大きく変化しました。もののけ姫でこれでもか、と彼の主張を見せられたことで私を始めとした宮崎アニメの表層しか知らなかった人間の目を覚まさせる結果となったのです。この感想を読む

5.05.0
  • kurioukuriou
  • 96view
  • 388文字

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