大きな秘密を抱えた主人公
黒羽快斗(怪盗キッド)と工藤新一(コナン)の類似点
この作品は、一見みると名探偵コナンの工藤新一かと誤解するくらい良く似ています。そのワケは、同じ作者が描いているからです。名探偵コナンは良く見ているので知っていましたが、この作品は知らなかったので、てっきり名探偵コナンだと勘違いしてこの作品を見るようになったのが最初でした。工藤新一と似ているこの作品の主人公が、黒羽快斗です。彼はマジックが大好きな高校生で、今は亡き父黒羽盗一は世界的に有名なマジシャンでした。しかし、マジック中に事故が起きて亡くなってしまいます。快斗はそれが真実だとずっと信じていました。父の付き人が言うには、本当は父は殺されたのだというのです。しかも世間を賑わせていた怪盗キッドが快斗の父であったと衝撃的な事実を伝えられます。マジックの最中に事故死したと8年間思っていた快斗は、どんな気持ちだっただろうか。事故死と殺しでは全く違い過ぎます。この事実を知り落ち込む彼の表情には怒りさえ感じとれました。なぜ父は殺されなければならなかったのか。なぜ自分はこんな辛い気持ちにならなければいけないのか、事故死だとそのまま思っていたら何事もなく危険な思いや悲しい思いをすることもなかったのに、、。事実を知らされた快斗は自ら怪盗キッドとなり、父の死について突き止めようと必死になりました。父を殺したのは一体誰で、何のために父は死ななければならなかったのか。快斗の怒りと悲しみはこの問題が解決するまでなくなることはないでしょう。
また似ている点でいうと、2人とも世間には言えない”大きな秘密”を抱えています。快斗は、父の後を追い”怪盗キッド”であるという事実。世間で騒がられている怪盗キッドの正体は、実は高校生のマジック大好きな男の子、黒羽快斗であるということです。同じクラスの幼なじみの中森青子(刑事の娘)にもそのことは伝えていないのです。快斗キッドの衣装を纏い、父の死の真実について答えを探し続けているのです。
コナンでは、江戸川コナンは、実は高校生名探偵の工藤新一が姿を変えた姿であるという事実。新一は、幼なじみの毛利蘭(探偵の娘)とデート中に男に襲われ薬を飲まされ、体が小さくなってしまったのです。気付いたら高校生から小学生へと変わっていた新一は、蘭にもその事実を隠し生活しています。
主人公が秘密を抱えていること、目的に向かって事件に立ち向かい前向きに過ごしているということ、幼なじみの女の子がいること、、このように、この二作品には類似点が多数あることが分かります。
”まじっく快斗”と”名探偵コナン”との相違点
マジックを題材にしているので、名探偵コナンとは少し違っていてコナンよりも現実味が薄い印象を受けました。マジックを使っていたり、怪盗キッドは空を羽ばたいてみたり、魔法使いのような印象がありました。ストーリーは、サスペンス的な要素があり続きが気になります。快斗の父が殺された理由も気になります。謎めいた展開が興味深かったですが、マジックを使う姿はあり得ないようなシーンが結構あるため現実味が欠けているという印象を持ちました。快斗が追っている組織的なグループは、不老不死のパンドラを探し続けているというストーリー内容も現実的内容ではありません。名探偵コナンでは、そういった点はなくかなり現実的で実際に起きそうな殺人事件が多いです。快斗は組織が探し続けているパンドラを見つけ出して破壊することが狙いなのです。父が亡くなった8年前にきっと奇妙な出来事があったに違いないと感じ、なぞを解きながら父に一体何があったのか快斗は答えを探し続けるのです。父が残した怪盗キッドの白いスーツだけが知っている真実を追い続けます。
父からの言葉”ポーカーフェイス”でいる事の意味
快斗は普段ごく普通の高校生ですが、かなりマジックが上手で、クラスの人を驚かせたり楽しませたりしていました。その姿は非常に楽しんでいるように見えます。彼はマジックと共に生きているんだということが伝わってきました。快斗の父が有名マジシャンであったように、彼は父の姿を追いかけているのでしょう。マジックをしている姿がたまに寂しそうな表情を見せると、父のことを思い出しているのだろうとこちらまで悲しくなります。快斗の前向きな思いが私たち見ている側を勇気づけてくれるようでした。本当は自分の好きなマジックを父にもっと教えて欲しかったでしょう。いまではそれは叶いませんが、彼は父から幼い頃にある事を言われました。それは、『ポーカーフェイス』でいることが重要だということです。マジシャンに大事なことは、どんな時もポーカーフェイスで立ち振る舞うことが重要な鍵となるのです。相手に自分の心を読まれてはいけない、どんな苦しい時もその気持ちが相手に伝わらないように演技をし続けるのは、難しいことですが、父のような有名なマジシャンになるには、それが一番大事だと言いました。その言葉を今でも覚えている快斗は父のことが大好きだったんだろうと感じます。何歳になっても子供にとって親は偉大であり、一番近くに居て欲しい存在なのだろう。
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