現実味ギリギリの剛速球マンガ！ - GO ANd GOの感想

数ある野球漫画の中でも大好きな作品です。

岡山から東京の野球名門校、芳陽高校に特待生として入学した新田英吾の野球部の生活を1年生の夏までを描いた作品。個人的に弱小高の奇跡の成り上がりみたいなのより、そこそこの強豪校を舞台にリアルな野球を描いた作品が好きで、そうした作品は当時少なかったので見入りました。（今であれば「ダイヤのA」がありますが…）

主人公新田とライバル奈倉は別格とし他のキャラクターは現実にいても何の不思議もない現実的な能力で試合内容も非常に理論的です。また寮生活の描写も男だけの世界や雰囲気がよく表れているので野球経験者がより楽しめる作品だと思います。

この作品の見どころはやはり主人公新田の成長です。入学当初は速球はめちゃくちゃ速いがコントロールが悪く、ストライクが入る日と入らない日がある始末。キャラクターとしても先輩に敬語を使わず、金髪、岡山弁出まくり、エロい、ともはや田舎のヤンキーです。というより野球がなければただのヤンキーでしょう。このキャラは変わらないですが、野球の技術は捕手蟹江との練習や日々のトレーニング、フォームの修正などで進化を遂げていきます。こうしたところも野球学生の参考になるところもあります。

新田のストレートのみでバッターを空振りにきってきってきりまくる描写は痛快です。新田のストレートは他の投手と違って回転量が落ちずボールが落ちないのでどのバッターも分かっていても当たらないという設定も◎。

東京都大会決勝戦、つまり甲子園をかけた試合で８巻を要しています。決勝の相手にも１年生の怪物投手奈倉がいるのですが通常はこの投手をどう打ち崩すかを描くのですが、この作品はそれだけでなく逆に相手が新田をどう攻略するかが相手目線でも多く描かれており、試合展開も手に汗握る緊迫した試合で面白いです。先に述べた通り、この二人に対するバッター達は現実にいても全くおかしくない選手たちばかりです。その選手たちが現実離れした怪物をどう攻略するかが野球通からみた見どころではないでしょうか。

決勝前に中学編が始まり、なぜ新田が野球を始め岡山から東京の芳陽高校に入学したのかが描かれており、新田が高校入るまでなぜ技術的に未熟で超名門高に入学していないかが分かりなるほどとなります。

主人公が金髪なのはキャラを確立させるためとはいえ現実味がないのではないかというところ、伏線であった中学時代の正捕手竹宮との対戦が甲子園で見れなかったのが個人的には残念でした。