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助け合うことの大切さと、言葉で正直に言うことの大切さを描いたストーリー
アベンティア王国の国民の義務
アベンティア王国の国民の義務は困っている人には手を貸すことです｡それがいくら自分たちにひどいことをした人でも例外ではありません｡土砂崩れが起こったとき､町にはいって泥棒をした男たちが生き埋めになってしまいました｡町の人たちは､当然の報いだと助けようとしませんでしたが､トムがアベンティア王国の国民の義務だとみんなにいい､協力して助け出しました｡「目には目を･･･」という言葉もありますが､それがすべてではないと感じます。ひどいことをされたからひどいことをし返すのでは、いつまでたっても助け合いの気持ちは生まれません。それでは国が苦しい時に国民同士が助け合うのではなく、いがみ合ったり奪い合ったりすることになってしまいます。「困っている人には手を貸す」ということを義務にしたのは、その手助けが最初は義務的なものだったとしても、助けられた時のうれしさを経験することで、今度は困っている人に自然と手をかす人が増えてくれればという思いがあったのかもしれません。
土砂崩れのため商品がだめになり､収入がなくなったために､家族に給料を持って帰ることができず､泥棒をしたようです｡どういう理由があろうと､他人のものに手をつけるのは決していいことではありません｡しかし泥棒をして迷惑をかけても､最後には助けてくれた町の人たちであれば､助けてほしいと正直に言えば､満足がいくまでとは言えなくても､助けてくれたのではないでしょうか｡
正直に言葉に出すこと
隊商の一行は土砂崩れに襲われて､荷も食料も流されてしまい、トムたちに水を分けてほしいと頼みます｡トムたちは快く承諾し水を分けると､ロープをもらいました｡そのお礼としてトムは食料と水を分けます｡本当に困っていることがわかるときには、困っていることを素直に口にするだけで､人は助け合うことができると思います｡この場合も､トムたちだけが助けたのではなく､トムたちもロープをもらうことでビーストたちの呪いを解く戦いに役立っています｡お互いが助け合うことで､ギブアンドテイクの関係ができるのでしょう｡
しかし､いくら本当に困っていたとしても､本人が困っていることを言葉にしなければ､相手には伝わりません｡人間とは複雑な感情をもった生き物だと思います｡自分は良いと思ってしたことでも､相手にとっては迷惑になってしまうことも少なくありません｡そしてそういった経験が積み重なり､手助けすることに躊躇してしまうこともあります｡だから､言葉というものが発達したのだと思います｡この物語では、自分が困っていることを言葉に出せずに泥棒になった大人と、言葉に出してわけてもらった大人の両方が描かれています。その両方が出てきていることで、子どもたちも最初から助けを求めたら、泥棒として追っかけられることも土砂崩れで生き埋めになることもなかっただろうと思うことが簡単にできます。困っていることを素直に困っていると口に出すことは恥ずかしいことではなく、人と人との関係において大切なことなのだと､子どもにも分かりやすく描かれていると思いました｡
ビーストへの呪いのアイテムが目隠し？
ビーストである「山男アークタ」は一つ目の巨人でした。アークタは隊商の一行が安全に行き来できるように、山を守っているビーストのようです。しかしここにきてアークタの呪いのアイテムが､目隠しをしている布というのには驚きました｡そのまえのビースト「火龍フェルノ」「海龍セブロン」では､首輪が呪いのアイテムで､自分ではもちろんはずすことはできないものでしたが､目隠しだったら自分ではずせるのではないかと･･･｡はずしかたも結び目をほどくだけだったので､余計にそう思ってしまったのですが､ここでは呪いがかかっていたので､強引な結びつけのように思えますが、自分でははずせないようになっていたと考えるのが妥当でしょう｡それとも本当の勇者でなければほどけないようになっている物なのかもしれません。そう考えるとトムは本当の勇者ということになります。
トムはもみ合いながらも､一人でアークタの呪いを解きます｡エレナとシルバーが洞窟に閉じ込められていたためです。トムはエレナとシルバーを助けるためにも洞窟の空気がなくなるまでにアークタを呪いから解き放たなくてはなりません。アークタとの戦いは時間との戦いでもありました。アークタの住んでいるとされているところは、泥棒を生き埋めから一緒に助けたランドールという大きな男の人が教えてくれました。アークタが住んでいたのが､「鷲領」ということもあってか､新しいアイテムは「金茶の鷲の羽」でした｡このアイテムの効果は「高いところから落ちてもゆっくり落ちる」というものでした｡雪男なので､なにか力に対抗できるアイテムがくるのかと思っていましたが､アークタとの戦いで高いところから何度も落ちていたので､このアイテムになったのかなと思われます｡
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