主題歌 cut に耳レイプされた私が映画「ハイダウェイ」を宗教的に解釈してみた 。 - ハイダウェイの感想

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ハイダウェイ

4.004.00
映像
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脚本
4.00
キャスト
4.60
音楽
5.00
演出
4.00
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主題歌 cut に耳レイプされた私が映画「ハイダウェイ」を宗教的に解釈してみた 。

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.6
音楽
5.0
演出
4.0

以下は2ちゃんねるのテンプレからとった映画の紹介になりますが。

>「HIDEAWAY」

>◇1995年、アメリカ

>スティーヴン・キングと肩を並べるモダン・ホラーの新帝王ディーン・R・クーンツ原作。  「スピード」「トータルリコール」のSFXスタッフが贈るサイコスリラー。


>死の淵から奇跡的生還を遂げた男を次々と襲う謎のイメージ・・・やがて彼は自分が別の人間と精神的にリンクしていることを知る。

>しかもその相手は、若い娘たちの命を狙う、恐るべき悪魔崇拝者だった。

http://www.logsoku.com/r/2ch.net/liveanb/1259941148/


この作品はホラーサスペンスですが「フラットライナー」や「ブレインストーム」など臨死体験ものに興味のある方にはさらに面白いかも。善悪がはっきり分かれていて分かりやすいと言ったら分かりやすいかな。

映画冒頭から響く、美しくスピリチュアルなスキャットの曲は「Miranda Sex Garden」の「peep show」

仕事から帰って来た父親が屋敷に帰ってくると…

https://www.youtube.com/watch?v=9oSAcyBUgeM (注・ポルトガル語です)

いきなり地獄に落ちる悪人と善人の様子がCGで描かれています。

キリスト教徒でなくともトラウマになるような光景が広がっていたのですが、この背後に流れる曲がすごく印象的で、20年たった今でも耳にこびりついている。最近急にこの曲の事を思い出して曲名とアーチスト名を探して早速ブログにUPしたら動画の方が消されてしまった。

クーンツの原作の方も絶版になっていますが興味深そうです。


さて、お話は天上の清らかな宗教画とこのスキャットから始まります。暁の荘厳な雰囲気の中一人立ち尽くす少年。

のちに登場するの主人公一家の過程と対比させているのだろうと思うけど、父親が帰ってくると広く豪華な屋敷は妙に明るく、シンとしている。

朝もやのように清らかなオラトリオの歌声が立ち込める中、一階から父親は家族の名を呼びながら家の中に入っていく。

1階の広間には壮麗な宗教画が掛かっていて、家族たちはその前で祈っている。

しかし、よく見ると妻や娘は針金で縛られ、ナイフが心臓を貫いている…捧げもののように…悪魔への生贄だ。

衝撃を受けながらも父親は息子(以下ジェレミー)の名前を呼びながら息子の部屋に入ると息子は屹立したナイフの上に身を投げ出し自らの命を捧げものにして悪魔を呼び出していた…!

というすごくおどろおどろしいシーンから始まります。


優秀な外科医である父親のジョナスは彼の命を救うが、結局呼び出されたブァッサーゴという悪魔はこの少年の肉体に宿り、次々と生贄にするために美少女たちを捕まえに行く。

主人公(ハッチ)の娘がたまたま美少女(以下、レジーナ)だったのでブァッサーゴの毒牙にかかりそうになるのを、お父さんのハッチが必死に守ろうとするのですが、この攻防戦が本当にスリリングでワクワクドキドキ!

敵の悪魔ブァッサーゴがまたやばい感じの美少年で、夜のクラブをサングラスかけてうろついている姿をレジーナの友達の女の子が「カワイイ!」というのですが、グラスを取ると目が逝っちゃっていて、レジーナは思わずドン引きしてしまう。

夜のカーチェイスや遊園地の地下の迷宮を主人公たちがさ迷い歩くときに切り込むように流れてくるギターソロがまた雰囲気を盛り上げてくれるのですが、BGMが秀逸です。

私が特に興味深いなと思ったのは宗教色とユダヤ色。魔術といえばソロモンの書でしょ。悪魔ブァッサーゴの名前もグリモワールに出ています。綴りはVassago だけど劇中ではブァッサーゴって呼んでいた。

悪魔に乗っ取られた美少年の名前ジェレミーも彼に殺された奥さんの名前もサラ(奇しくも主人公の娘のレジーナと同じ「女王」の意味。)でともに旧約聖書に出てくるユダヤ系の名前。お父さんの名前ジョナスも預言者ヨナがルーツですが、彼は主人公を蘇生させた優秀な外科医でその一家は裕福で道徳的に正しい人、米国社会のアッパークラスに属する典型的なアシュケナジーの一家と分かります。

物語の序盤で主人公の一家はタンクローリーとすれ違いざまにスリップして川に落っこちてしまうのですが、(ドラマ版では悪魔崇拝者の儀式を見たことで邪信徒から追われて)この車から奥さんが夫を引き出して助けたシーンは、何を意味しているか?主人公のハッチを生き返らせたのはブァッサーゴ・ジェレミーの父親のジョナスですが、ノアの箱舟やモーセの水から救い出されるイメージはそのまま罪の世界=地獄からの「救い」を意味してるんですね。

そして主人公を一旦水に沈めて死なせた後、新しく生き返らせるストーリーはキリスト教のバプティスマを象徴的に語っています。

ですから主人公は神、あるいはキリストの手でそのように運命づけられた、といえるのかもしれません。(ここが米国ならでは、の宗教的価値観ですね)

<新しく生き返った主人公に与えられた使命=悪と戦うこと>

なぜ主人公は悪魔と視点を共有してしまうのか?

それは「見る」こと、「人の目に晒されること」が審判だからです。

主人公はブァッサーゴの悪行をその目を通して知りますが、ブァッサーゴの方も主人公の目を通して知るのです。

悪魔の視点を共有する主人公の視点を共有する悪魔の視点が錯綜しててそれがスリリングで面白かったです。

最後はブァッサーゴともども主人公も地獄に落ちていきそうになりますが、主人公はかつて失った次女の祈りにより、地獄落ちを逃れ、この世に生還を果たすのです。

かつて清廉潔白な一家を地獄に落としたブァッサーゴは「天使をも審判することのできる」力に目覚めた主人公ハッチに地獄に戻されてしまうのです。


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