こうゆうのもあるのか
本当にいい年したおっさんが飯を食べるだけの起承転結も事件もロマンスもないドラマのどこが楽しいんだ、と大ファンの自分ですら毎回思ってしまいます。でも毎回楽しみにしてしまうんですよね。おそらく松重豊演じるゴローのどこか悟ったようなクールで成熟された大人が、我も忘れて生き物の原点である「食」に情念を燃やす所に意外性や可愛らしさを感じさせる点が最大のミソなのだと思います。あとは初めては自分一人で入りづらいような雰囲気だが、でも地元の住人に長く愛されているであろうリアルなお食事処を、そのままドラマのセットとして使っているところが、なんだか他人の家に招かれて家人の昔のアルバムを見せてもらったような、ほっとした気持ちになり何度見ても飽きる事がありません。毎回出てくる美味しそうな料理のチョイスは昭和生まれには堪えられないものばかりですし。殺伐とした気分の時に見るととても癒しの効果があります。
唯一の難点は夜中に観ると、夜食を食べたくならざるを得ないところですかね。
原作者のクスミンこと久住昌之の世渡り上手さと博識っぷり、そしていかに多芸か、とマニアックな喜びを堪能できるドラマですよね。原作はもちろんBGMや挿入かまで手がけるとは、製作陣の作品に対する愛情がすごい。一番の見せ場は実は本編終了後のふらっとクスミだと私は思っています。彼のきれいな飲み方は見習いたい部分が多い。やはり美味しいご飯と美味しいお酒は人生で最上の喜びですね。
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