自分の心の持ちようで変化が訪れる - ないしょのラッキードールの感想

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ないしょのラッキードール

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画力
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キャラクター
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演出
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自分の心の持ちようで変化が訪れる

3.53.5
画力
3.5
ストーリー
3.5
キャラクター
3.0
設定
3.5
演出
3.5

目次

お城での生活とは、ヨーロッパ家具付き4万円!

朝倉立花がうらやましい。都内の一角のお城に間借りすることになった。しかもヨーロッパ調の家具付き、4万円。幽霊が出ても何が出てもお借りします!と言いたくなるような物件です。彼女は人形師、ちゃんと手に職をつけています。ただ買っていってくれることがうれしくて、手を動かしていた。でも、彼女が作る人形は幸運を呼ぶということで、雑誌、テレビに取り上げられて少しずつ有名になっていった。失恋したという理由で返品されてしまった人形がひとつ。それで彼女はスランプになり、思うように人形を作れなくなっていった。「本当に人形を作るのが好きなんだね。羨ましいよ。オレには、そこまで自分をかけるものが無いから。君は自分の選んだ道を信じたいから、悩んだり自己嫌悪したりするんだよ。それだけやっても諦めきれないなら、きっとまた作れる様になるさ」三島くんの言葉はずっしりと心に響きます。大学生である三島くんは、まだ将来が決まっていないことがわかります。立花さんの作る人形は、ラッキードールと言われて有名になりすぎて、スランプになる気持ち、プレッシャーに押しつぶされてしまう気持ち。こんなお城が舞台じゃなくてもよかったのではないか?と思いがちですが、天原先生は言いたかったのかもしれません。プレッシャーに押しつぶされようとしたときは、気分転換が必要ですよと。立花さんもこのお城に住むようになって、ローズというお城の妖精のようなもの?に触れ合うようになってから、少しずつスランプを脱していきます。私達も家にいるだけでは何も変わりません。情報はインターネット、本から手に入れることはできても、気分転換にはなりません。外に出る。一歩踏み出して、家族と違う人と会話をする。それが大事なんじゃないかなと思います。図書館にいって、カウンターの人と二言、三言、会話を交わす。レファレンスカウンターに思い切って行って、自分の調べたい内容をどの辺の本に載っているのか教えてもらう。それだけでも少し変化が加わります。レファレンスに行ったけど、わからないかもしれない。後日行ってみると、時間が流れてわかりましたという返事に変わっているかもしれません。立花さんも家にいても両親、姉妹を心配させるだけだった。だけど、思い切って家を出ます。その一歩を踏み出すだけで何かが変わるということを言いたかったのかもしれません。

将来設計はばっちりの立花さん

17歳のときに将来は?と聞かれて、しっかりしたビジョンを言える人はなかなかいないのでは?と思います。あの頃どうだったかなと思い返してみると、はっきり決まっている子もいれば、大学行ってから決めるという子もいて、就職してから合っているのか決めるという子まで幅広くいました。主人公の立花さんは、高校を辞めています。人形師としての立場も不安定な職だとわかっています。だから、「服飾の勉強をちゃんと、し直してお人形以外の仕事もできる様にしようかと思っているんだ。お人形関係の仕事にも生かせるし、一石二鳥でしょ」とお友達に話しています。確かに一石二鳥。高校中退したと前回描いてあったので、不安になっていました。今は、人形師として成功しているからいいけど、この間みたいにスランプになったらどうするの?作れないんじゃないの?将来設計どうなっているんだろう?と心配していたら、取り越し苦労でした。17歳で職を決めるというのは、並大抵ではできないと思います。将来を早く決めるというのは、私は賛成です。大きくなったときに時間の過ごし方が他の人と少し違ってくるからです。その時間の過ごし方をどうしようと自分の勝手なのですが、それを将来のためにと使う人と、遊びまくっている人とを比べると、将来に差がでるのは歴然です。漠然とした夢でもいいのです。小説家になりたいとか漫画家になりたいと思っているけど、それは夢でしかないと思っているうちは、夢に終わります。それに向かって1日1ページを埋めていくことのできる人とできない人とでは差がでるのです。是非、将来に向かって1ページでいいので自分の夢を叶えるために必要なことをやってほしいなと思います。立花さんはつまずいてしまったけど、それは貴重なつまずきだったと思います。失敗を恐れないで、一回の失敗も何回の失敗も自分を成長させてくれるものだと思って、一歩一歩足を前に進めていきたいなと思う毎日です。立花さんに力をもらった今日でした。

立花の心の変化に注目

「あなたの作る人形は、本当にラッキードールね」「もしそうだとしたら、最初からじゃないんです。きっとお城の思い出とその子の事を大切にしているあなたの心がその子をラッキードールにしたんです」立花さんは、前は否定していたことをラストでは肯定できるようになっています。心に訪れる変化とは、こんなにも人を成長させるものなのだなと思いました。物語の最初の頃は、笑顔にもなれない、不安ばかりが膨らんでいるのがわかります。それに加えて幽霊騒ぎです。「不幸を呼ぶ呪いの人形って騒がれるかもしれないじゃない?」将来起きるかもしれない。だけど、起きてもいないことで不安になっていた立花さん。誰の心のなかにもこういう不安はあります。でも、起きてもいないことで悩むのは、起きてから悩めばいいことであって今ではない気がするのです。だから、ラッキードールだと言われても素直に喜べない自分がいた。それがラストでは、そのラッキードールだという賞賛の声も素直に受け止めている。それでこうであったらいいなという自分の意見もはっきりと伝えている。立花さんの心の大きな成長というのが物語の根底にある気がします。

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