純血ヴァンパイアと後天的ヴァンパイアにみる人種差別 - ブレイドの感想

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純血ヴァンパイアと後天的ヴァンパイアにみる人種差別

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

混血種であるブレイド

混血種とは人間とヴァンパイアの血が混じっている種族で、ブレイドがそれにあたります。混血種といってもブレイドの場合、父親がヴァンパイアで母親が人間といった混血ではなく、母親が妊娠中にヴァンパイアに襲われて血が混じった混血種です。ヴァンパイアはウィルス感染による赤血球の変異によるもので、ブレイドの場合厳密にいえば混血種ではなく、母子感染といったほうが正しいのかもしれません。とはいってもヴァンパイアと人間の血が混ざっていることで、ここでは混血種という位置づけになっているのでしょう。

ブレイドはデイウォーカーともいわれ、ヴァンパイアの血が混じっているとはいえ昼間でも外を出あることができます。血を補給しないといけないのはヴァンパイアと同じですが、にんにくの血清をうつことで血の渇きは抑えられているようです。そのほか銀・にんにくにも平気で(血清をうっているくらいですから当然でしょうが)半ヴァンパイアといったところなのでしょうか。ウィルス感染でヴァンパイアになるので、感染して日にちが浅ければにんにくの血清で治ることもあるようです。しかし時間との勝負のようで、時間がたちすぎていることと、噛まれて感染しているわけではないブレイドは新しく血清ができたとしても、人間に戻るかどうかは定かではないようです。

ヴァンパイアになりたがる人間たち

なぜヴァンパイアになりたがる人間がいるのでしょうか?ヴァンパイアになりたいと思うきっかけはそれぞれ違うかもしれません。例えば牙がカッコよく見えたからとか、目の色が普通とは違いカッコよかったからとか、青白い肌がカッコよかったからとか、暗い影があるような雰囲気がカッコよかったからとか、知り合ったヴァンパイアが美男美女でカッコよかったからとか、いつまでも若くいられるとか、見た目から自分もヴァンパイアになったらあんな容姿になることができると思ったからとか、容姿にあこがれてヴァンパイアになりたいと思う人もいるかもしれません。そのほかには力が強くなりたいから、飛べるようになりたいから、不死身になりたいから、魔力が使えるようになりたいからとか、未知の力をてにいれたいなど、どこまでヴァンパイアができるかどうかは別として、パワーにあこがれをもってヴァンパイアになりたいと思う人もいるかもしれません。単に血を吸ってみたいからなどということがなりたいと思うきっかけになることもあるでしょう。

しかしどれをとっても結局心の底にある願いは、今の自分とは違った自分になりたいという願望ではないでしょうか?そしてヴァンパイアになりたいという思いはもう一つ踏み込んで、人とは違った自分になりたいという思いが強いのかもしれません。自分は特別だという確信を持ちたくて、モンスターと忌み嫌われるものに対しても偏見を持たずに理解を示すことのできる自分に酔っている場合もあるかもしれません。

ここでヴァンパイアになりたいと思っている人たちは、一種のカルト集団の様子を呈しています。カルト集団におぼれる理由としては自分を理解してくれるのは、ここにいる人たちだけだと思ってしまっていることです。ヴァンパイアになりたいと思う気持ちは所詮ヴァンパイアになった人たちでなければ理解できないというところなのでしょう。

純血ヴァンパイアによる差別?

どの世界でも人種差別があるようで、ここでも純血ヴァンパイアが生まれながらのヴァンパイアである自分たちと、噛まれてヴァンパイアになった雑種とで格が違うといっています。噛まれてヴァンパイアになったものたちを雑種と言っている時点で、すでに差別をしているようなもので、これはヴァンパイア界の人種差別といってもいいのかもしれません。しかし純血といってもここにでてくる純血ヴァンパイアは12人だけです。圧倒的に雑種と言われるヴァンパイアのほうが多いと思うのですが、ゆえに希少価値があるといったところなのでしょうか?純血ヴァンパイアは政治にも深くかかわっていて地位的にも上流階級であることから余計に純血至上主義になっているのでしょう。

純血ヴァンパイアは、噛まれてヴァンパイアになったフロストを雑種と差別しているにもかかわらず、あっさりと儀式のいけにえのためにつかまってしまい、中の一人は日の出の光で焼き殺されてしまいます。しかし、ここで一つ疑問が生まれます。ヴァンパイアは通常子どもを産むことができないとされています(妊婦のヴァンパイアなんて見たことないでしょう)。しかし日の出の光で焼き殺された純血ヴァンパイアは、生まれながらにしてヴァンパイアのため日光は見たことがないといっています。人間の女性が生んだのであればブレイドと同じ混血になるのでしょうが、それでは苦手なものもパワーも違いすぎます。ここでは素直にヴァンパイアが子どもを産むととったほうが、自然に理解できるのかもしれません。パワーの比率でいえば、黒人である混血のブレイドが一番強く、次に雑種と言われている噛まれてヴァンパイアになったもの、最後に純血ヴァンパイアといったところでしょう。そのことをふまえると人種差別に対するブラックユーモアともとれる設定です。


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