歴史もの&ヒップホップ&アクションの融合モノ - サムライチャンプルーの感想

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サムライチャンプルー

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映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
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音楽
4.00
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1
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1

歴史もの&ヒップホップ&アクションの融合モノ

3.53.5
映像
3.5
ストーリー
3.0
キャラクター
3.5
声優
3.0
音楽
4.0

目次

『サムライチャンプルー』はなぜ評価が高いのか

アニメファンの間で、『サムライチャンプルー』の名はかなり知名度が高い。10年以上前の作品にも関わらず、好きなアニメとして『サムライチャンプルー』の名を挙げる人も多いという。その理由はなぜか。

現在では『銀魂』の影響で珍しくもなんともなくなったが、『サムライチャンプルー』の放映当時、江戸モドキのデタラメな世界観とアクションの融合は新鮮味があった。着物を来たサムライのような男たちが、金髪で若者言葉を使い絡んでくる。時代劇風の設定でありながら、時代考証クソくらえ、という姿勢は、当時のアニメとしてはかなり画期的であった。

また『サムライチャンプルー』が支持されたのは、監督が『カウボーイビバップ』を手掛けた渡辺信一郎ということで、『カウボーイビバップ』のファンから注目を浴びていたことも理由の一つだろう。『ビバップ』から流れて『サムライチャンプルー』にハマった、という人も多いはずだ。

ちなみにタイアップしたパチンコ・パチスロから流れてきたというファンも多いようだ。インパクトと派手さが求められるパチンコの演出に、『サムライチャンプルー』の世界観はよくマッチしていた。

余談ではあるが、『サムライチャンプルー』のアニメ制作会社マングローブが倒産し、今度版権がどうなるかはわからない。もしかしたら現行の機種でタイアップ終了という可能性もあるのかもしれない…。

無茶苦茶な世界観になれると面白さは半減か

『サムライチャンプルー』は時代考証を無視した世界観が人気だと先に述べた。リーゼントのサムライが堂々と登場したり、派手なピンクの羽織を着ていたりと、ツッコミどころがかなり多い。

ただ、それに慣れてしまうと特に新鮮味がなくなる、というのが正直なところだ。最初のころはぶっとんだキャラたちを物珍しく見れたが、話が進むと完全に”当たり前”の光景になってしまって感動がなくなる。無茶苦茶な展開も定番になってしまって、面白いとさえ思えなくなってしまうのだ。

やはり、当時の2クール放映、26話は構成上長すぎたのだろう。『サムライチャンプルー』は基本的に一話区切りの話が多いため、同じような展開が続くと飽きてしまう。『銀魂』のようにギャグを交えているならまだしも、中途半端なコメディとアクションものの繰り返しでは視聴者は食傷ぎみになってしまうだろう。

『サムライチャンプルー』はアクションやキャラクターといった地の素材がいいだけに、もう少し話を絞って展開した方が、支持する人も増えたように思う。

メインのストーリーにもう少し厚みが欲しかった

『サムライチャンプルー』のメインのストーリーは、フウがムゲンとジンという二人の用心棒と共に、”ひまわりの匂いのするお侍さん”を探す旅である。その道中で様々な事件が起こり、一行は金策に走ったり騒動を巻き起こしたり珍道中を繰り広げるという流れで、本編中8割以上はその騒動がメインになっている。

しかし、やはり肝心なのはメインのストーリーであるべきだが、残念なことに『サムライチャンプルー』はそこが弱かった。

”ひまわりの匂いのするお侍さん”とはフウの父親のことだったが、なぜ彼を殺そうとしているのか、目的や葛藤が旅の間にいまいち見えてこない。また、これだけ一緒に旅をしているのにも関わらず、ムゲンやジンとの絆が育まれないのもさっぱりしすぎていて寂しい。エンディングで、フウがムゲンとジンとあっさり分かれてしまうのも、物足りなさを感じた。

むろん、それでいいと思う人もいるのだろうが、三人で旅をした結果、何を得たのか、最低限のカタルシスがないと、アニメの印象も薄れてしまう。ジンとムゲンが殺し合う約束をしていたのに、それについて全く語られず、あとは視聴者の想像に任せる…というのも、好みが分かれるところだろう。

このように、『サムライチャンプルー』のメインのストーリーは全体的に説明不足であるといえる。それがこのアニメの芸術性だとするならば、サウンドや作画にもう少し力を入れて欲しかった。

しかし、サブストーリーを含めたコメディの数々や、独特のアクションシーンは流石の人気作品といえる。特にムゲンのブレイクダンスを基にした剣技はよくわからないがなんだかカッコいいと思えてしまう。常に貧乏な三人のみじめな旅は『カウボーイビバップ』に通じるところがあり、”普段はカッコ悪いのにいざというときはやる”という作品が好きな人は楽しんで視聴できることだろう。

作中に挿入される音楽も良い出来で、ヒップホップ調の音楽がアクションに華を添えている。さすがに後半のしんみりとしたシーンになると出番が少なくなるのは仕方のない点だが、終盤さえしっかりとサウンドで盛り上げれていればもっといい出来になったのではないだろうか。

特にエンディング曲の『四季の唄』は何度聞いても飽きない名曲だ。『サムライチャンプルー』らしいレゲエの曲調と、日本の四季を表現した歌詞との融合が、実に見事な一曲である。

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