ダレン・シャンにみるヴァンパイアの特徴
ヴァンパイアを退治する方法
ヴァンパイア退治の道具としてよく聞くのが十字架・にんにく・杭・日光ですが、クレスプリーには杭と日光しか当てはまらないようです。かといってこれしか退治できないというわけではなく、十字架とにんにくは効かないというのが正しい答えのようです。ヴァンパイアを退治したければ、銃やナイフを持ってくればよいというのがクレスプリーの答えでした。
一般的なヴァンパイアのイメージとしては次のものがあげられます。「十字架をおそれる」のはヴァンパイアは反キリストとされていて悪魔と同じ扱いをされているからでしょう。神をおそれるモンスターだから「十字架をおそれる」というイメージがあるようです。「聖水をおそれる」「聖書をおそれる」といわれることもありますがこれも同じ理由からでしょう。「にんにくの匂いを嫌う」のはにんにくも悪に効果があるという伝承からのようです。ただヴァンパイアは五感に優れているので、にんにくだけでなく臭いにおいを嫌っただけという設定の場合もあります。杭は「木の杭」とも「銀の杭」ともいわれています。銀は魔除けの力があると考えられておりそのため効果があると言われているのでしょう。クレルプリーが銃やナイフで死ぬのであれば、木だろうと銀だろうと杭を心臓にうたれればヴァンパイアでなくても死ぬでしょうっていうことですね。火で焼くというのも杭と同じく、焼かれれば死ぬでしょうということです。「日光にあたれば死ぬ」というのはほかの説と同じようです。「杭」「火」「日光」は二度と蘇らないようにするための方法ともいわれています。「狼男に噛まれる」というのもありますが、これはどちらが生き残っても人間にとってはあまりうれしくない状況ですね。大体はドラキュラ伯爵のイメージが強いようです。物語によって苦手な物・退治方法が変わっていて不死身という場合もありますが、クレスプリーの場合人間が死んでしまう方法で十分死んでしまうといえるでしょう。ただ回復力が人間の倍ぐらい早く、年を取るのが10年くらい遅いので不死身とみられるというだけのようです。
ダレン・シャンとスティーブ・レパード
スティーブはシルク・ド・フリークで目撃したヴァンパイアであるクレスプリーに、自分をヴァンパイアにしてほしいと頼みますが、血が悪いといって拒否されてしまいます。ヴァンパイアに悪に満ちた血と言われるなんて、どんなに悪い血なんだろうと思いますが、人殺しを何とも思わない悪に満ちた血だから、ヴァンパイアの仲間にするわけにはいかないということでした。ダレン・シャンはそんな二人のやり取りを一部始終見ていましたが、クレスプリーの蜘蛛「マダム・オクタ」を盗んだことでスティーブが命を落としそうになり、スティーブを助けるためにダレンが半ヴァンパイアとなります。
ダレンがヴァンパイアになったのは、スティーブを助けるためにしかたなくだったのですがスティーブは納得しません。自分とクレスプリーのやりとりを見られていたので余計です。ヴァンパイアになりたかったダレンが、自分をヴァンパイアにさせまいとクレスプリーと共謀したのだろうと思ってしまうほどです。結局スティーブはヴァンパイアハンターになって二人を倒しに行くと言って、誤解したまま別れることになります。
ヴァンパイアになるということ
ヴァンパイアになる儀式はダレンが思っていたより単純な物でした。そのためかダレンは自分が半ヴァンパイアになったという実感がなくスティーブを助けた後クレスプリーのところから逃げ出します。しかし生活の変化はものすごいスピードで変わっていきました。体力と運動神経が格段に上がり、手を抜いてやらなければスピードとパワーは、オリンピック選手並みになるようです。もしかしたらそれ以上なのかもしれません。その他には聴覚・視覚にも変化があり、隣の教室でやっている授業内容が聞こえたり、夜明かりがなくても周りが見えるようになったりしています。これだけだったら、気を付けて生活していれば特に問題がなく過ごしていられたのかもしれません。でも一番変わってしまったのは嗜好で血を見ると自分の意思とは関係なく、気づくとみんながいるにもかかわらず傷口から血を飲んでしてしまっていたことです。
ヴァンパイアは血を飲むさい、相手に飲んだことを悟られないよう・抵抗をされないように催眠術をかけると言われることがあります。この物語でもヴァンパイアは催眠術を使うようで、血を想像したときダレンは妹のアニーに催眠術をかけもう少しで首筋にかみつこうとしてしまいます。首筋にかみつこうとしている自分の姿を鏡越しで目にし、あまりの形相に自分でもぞっとしてしまいました。このことをきっかけに自分はもう普通の人間に戻れないことを確信し、家族や友人を捨てなくてはいけないとスティーブに言ったクレスプリーの言葉の本当の意味がわかったのでしょう。
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