どこから『帰って来たヨッパライ』なのか - 帰って来たヨッパライの感想

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帰って来たヨッパライ

2.902.90
映像
2.80
脚本
2.00
キャスト
2.90
音楽
4.00
演出
2.30
感想数
1
観た人
1

どこから『帰って来たヨッパライ』なのか

2.92.9
映像
2.8
脚本
2.0
キャスト
2.9
音楽
4.0
演出
2.3

2013年、大島渚監督が亡くなった際に追悼プログラムで観たのが本作『帰って来たヨッパライ』です。

タイトルからも分かる通りフォーク・クルセダーズの同名の曲からインスパイアされた作品で、主要キャストもそのフォーク・クルセダーズのお三方でした。このお三方、本業が役者じゃないことを差し引いてもなかなか演技に難があって見ている側の集中力を割くレベルの一歩手前でした。

あらすじは漂流してきた佐藤慶演じる「謎の人物」あるいは「工作員」に衣類を奪われたフォーク・クルセダーズの三名がその「工作員」に間違われてすったもんだがあるというものなのですが、いかんせんディティールが雑なのです。この間違われた男という1960年台にして既にありていとなったプロットを光らせるためには細かな部分の描き込みが必要なのに、それは半ば放棄された形になっています。インサートなどで幻惑的な映像を作ったり、朝鮮半島と日本との政治的な距離感や問題意識に切り込んでいてもひたすら冗長になってしまっています。同じ問題意識に切り込んだものなら『絞首刑』のほうが格段鮮やかで、緊張感があったのに、本作ではキャスティングから演出まで中途半端になっていて残念な仕上がりです。地上の楽園から『帰って来たヨッパライ』は結局どこへ向かったんでしょうか?

唯一、中途半端に幻惑的な映像のなかで救いだったのが音楽面で、むしろ同名曲のプロモーションビデオとしては及第点ではないでしょうか。問題意識としての成果『絞首刑』と音楽面と音楽家のキャスティングとしての『帰って来たヨッパライ』、この2つの延長線上にちょうど『戦場のメリークリスマス』ができたんでしょうね。

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