「狙いが今一つ分からない」という見どころが満載のドラマ - 聖なる怪物たちの感想

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聖なる怪物たち

4.004.00
映像
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脚本
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キャスト
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音楽
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演出
4.00
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「狙いが今一つ分からない」という見どころが満載のドラマ

4.04.0
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
3.0
演出
4.0

目次

そこはかとない「レトロ感」も楽しんで

2012年放映のドラマ、ということは

比較的最近のドラマなのだけど、一瞬、

あれ?これ2000年以前のドラマだったっけ? 

と思ってしまうような、

どこか「レトロ感」が漂う作品だった。

というのは・・・

テーマの重いシリアスなストーリーの場合特に、

一昔前のドラマの脚本・演出って

良くも悪くも「抑揚がある」というか、

現実のリアリティよりも、

若干誇張した表現でインパクトを誘うものが多い、

という印象なんだけど、

この作品も、そういう演出に近いものを感じた。

キャラクターの態度の変化も

強引とも思えるほどコマ切れで、

少々の違和感もなんのその。

まるでコントみたい(笑)

舞台劇を観ているようなおおざっぱさと

テーマに即したシリアスさが

絶妙に絡み合って、

なんとも不思議な感覚が最後まで続いた、かな。

昼ドラの延長として見ると

しっくりくるかも、しれない。

「レトロ感」の中身

私なりに印象に残った「レトロ感」を

挙げていくとすると・・・

加藤あいさん演じる「圭子」

子供への執念からくる言動がまずコント。

圭子は日向財閥という資産家の嫁なんだけど、

とにかく夫の「敏雄」との子供が欲しいんだよね。

けど、一度流産してしまったことが原因で

子宮を摘出してしまったので

代理母を使ってでも自分と夫の遺伝子による

後継者を得ようと執念を燃やすんだけど・・・

んーーー、なんだろなーーー、

例えば、妊娠してるフリをするために

クッションをおなかに入れて誤魔化そうとするようなシーンも、

演出次第では、

「そのナンセンスな行動の

ナンセンスさが見えなくなってしまうほどの狂気」

ってのも、表現できる気がするんだけど、

本編ではそういう印象ではなくて

加藤あいさんの人形的な雰囲気がそうさせるのか

生々しい「心情」よりも、

執念による「行動」の方が全面に現れていて

どこか滑稽、なんだよなー。

それから、前妻と姑。

これが一番の「レトロ感」!

離婚した前妻が役員として今も会社に存続していて

元姑とも元夫とも関係は良好、

圭子にも好意的に登場(最初は)してる、

この違和感。

いやね、現実の日常の中では、

そういう健全な人間関係ってちゃんとあるから

もちろんいいんだけど、

それでもそれって、結構稀なケースだと思うんだよね。

いや、すごく喜ばしいこと、なんだけど。

そこがサラッと当たり前に描かれているんだけど

明らかにその健全さと

ストーリーの不健全さとが マッチしてないから、

すごい違和感なんだよ。 

でも案の定、

話が進むにつれて、前妻は圭子に嫉妬し出して

あれこれ画策するんだよね。

その姿は違和感ないんだけど、

最初の良好な人間関係が成立している状況の説明が

すっとばされているから

その落差も強引な感じがして、

それが「コント臭」にも繋がってる気がする。

何その急展開???って。

そして山本陽子さん演じる姑。

この役どころも、いかにも家柄を重んじるタイプ、に見えるのに、

最初のうちは前妻とも圭子とも至極良好な関係、っていう

すごく健全で精神性の高い人物像・・・

なのに、 話が進むと、

状況によって理不尽に前妻に辛くあたったり、 

圭子に辛くあたったり、

最終的には家柄重視のよくある人物像で終わってたり・・・

ど、どないやねーーーーん!!!

で、そういう変化の説明は一切ナシ。

まさしく「コント」。

え、これ、お笑い番組、でしたっけ。

まあこの辺が、一昔前の「レトロ感」を

感じずにはいられないんだ。

昔って、シリアス系のドラマ、

ツッコミまくりながら見てたもの(笑)

それによく似てるなーと。

今一つ不透明な登場人物たち

製作者の狙いが今一つ分からない作品、

という印象で疑問もたくさん。

特に、登場人物たちの性格が今一つ不透明なんだよね。

前述の前妻や姑もそうだけど

準主役といっていい役どころの圭子ですら、そう。

資産家の嫁という立場に怖気づいている風にも見えるし

かと思えば、

副社長としての仕事の腕も姑に買われてる、ようなくだりもあるけど

演技や演出からはとてもそうは見えない。

敏夫との子供を代理母を使ってでも欲しがる根拠となる心情が

今一つ中途半端で見えない。

夫を愛してるから?

自分の地位の保全のため?

んーーーー。。。

夫の「敏雄」にしても

看護婦の「瑶子」にしても

登場人物たちの人物像が

今一つ見えにくかったなー・・。

唯一シリアスな中谷美紀さん

主役である中谷美紀さんの演技がなかったら

多分、シリアス要素は限りなくゼロで

「昼ドラ系シリアスコントドラマ」

落ち着いたのかもしれない。

このドラマの中で

唯一「シリアス担当」、といってもいいのでは。

施設で一緒に育った妹を

親代わりのようにして支えてきたため

「妹が生きがい」のようになっていて

妹の要望のためなら何でもしてしまう

人間の怖さを、実に見事に演じている。

中谷さんが醸し出す雰囲気と役どころが

ぴったりと一致してたから

比較的役柄が違和感なく伝わってきたし

役柄にブレもなかったように思う。

でも、いかんせん、

このドラマ全体で見た時に

そのシリアスさとその他のコント要素のバランスが

なんとも・・・(笑)

というわけで、

一体このドラマ。

シリアスでいきたかったのか

コメディ要素も盛り込みたかったのか

果たしてどういう狙いだったのか・・・

未だにわからん・・・

という、その視点で見たら

なかなか楽しめるドラマだと思います。 

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