知識の宝庫でございます
川原泉、あえてカーラ教授と呼ばせていただく。
私は彼女の作品のおかげで知識量が格段に増えた。記述の真偽を確かめることはしなかったが、家族友人に知識としてひけらかすには十分であり、また正確であった。
本書に出会ったのはかなり大人になってからで、これまでのカーラ作品を読破していれば難なく読める知識の宝庫だし非常に面白かった。大人になった私が思ったのは「これを学生時代に読んでいれば」の後悔であった。
カーラ教授の手にかかれば、不得意分野もなんのその。本書に挙げられていた12哲人などはまるっきり覚えることのできなかった分野で、大きく赤でバッテンがついていた項目だ。きっとそれがマルになったに違いない・・・。
しかしそれは誤りで、学生時代の私はカーラ教授の深淵なる知識の泉に飛び込む勇気はなく、さらっと、ごくごくさらっと文字を舐めるがごとくスルーしてしまったために『Intorlerance... あるいは暮林助教授の逆説』の独白部分が全く理解できなかった。今は読むことができるので私も大人になったということであろう。
カーラ教授の作品をほぼ読破している(ほぼの時点で読破ではないが)と自負している私にとって、作品にちらりと出てきた知識のもとが垣間見えたのは大変うれしいことだ。
『悪魔を知る者』での「シラノを演じるのは~」のくだりの「シラノ」がシラノ・ド・ベルジュラックのことであったなんて、注釈もなかったし知る由もなかったけども、数年経過してその意味を知るという貴重な体験もさせてもらった。
本書もまださらっと舐める部分があったが、もうちょっと大人になったらまた読める日が来るだろう。
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