明るくスマートなアラン・ドロンが堪能できる作品
マッカレーの怪傑ゾロは有名ですし、ゾロを演じた俳優も多い中、アラン・ドロンのゾロは実に見ていて気持ちが良く軽快でかっこいい。この作品はアラン・ドロン主演50作品を記念して作られたもので、公開時彼は40歳という節目を迎え、息子を喜ばせるために作られたとも言われています。ドロンは今までの作品を振り返ってみるとダークなイメージが強く、「太陽がいっぱい」のトム・リプリーや「サムライ」のジェフ・コステロ等悪事を働いたり、殺し屋だったりと悪漢、どちらかというと静寂、陰のイメージがありましたし、当時はボディガード殺害疑惑で世間を騒がせてもいましたが、そんなブラックな印象を払いのけてしまうほど、この作品のドロンは今までのイメージを覆しており、まさに陽のドロンです。この作品を見ると、彼は娯楽作品でも違和感のない俳優であると分かるでしょう。彼は明るい役でも似合う俳優なんだと証明されたも同然です。
かつて美男子の代名詞だった若きドロン。女性はもちろん、同性からも支持を得ている彼の演じるゾロは、ヒーローと呼ぶにふさわしい。敵の目を欺くためにナヨナヨした情けない提督、黒いマスクと黒い衣装を身に包みスマートかつ見事な剣戟で敵を倒し、民衆の支持を得るゾロを演じ分ける姿はお見事としか言いようがない。提督の時の情けない姿も思わず笑えて、こういう部分もまた良いところです。吹き替え版で見るとその面白さがより感じられます。ドロンの吹き替えを担当していた故野沢那智氏の演技がポイントです。個性的な登場人物達も魅力的で、よりストーリーを面白くさせています。音楽も軽快でノリが良く、耳に残るBGMが多いです。
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