音楽家であり紙芝居屋であり自転車レーサーである男
ミステリアスで意外な側面がある主人公主人公の響木は不思議な人だ。自転車レースに精通しているかと思えば、アスリートという感じではなく、知的で冷静で、意外にも過去には、パリまでいってチェロの演奏家を目指したこともあり、そのくせ、なぜか、そこで自転車レースで賞金を稼いで、帰国したらしたで、経験を活かすにしろ選手になるでなく、紙芝居屋になってペダルを漕いでいる。演奏家を目指したのも、どうやら、小さいころから、習っていたとかではなく、結構大きくなって、出会った先生の影響らしく、経験がすくないにも関わらず、思いっきりパリにいくあたり、やはり、変わっているだろう。一見、挫折と妥協つづきで人生が思い通りにいっていないようで、人間、やろうと思えばなんでもできる、という強さが、響木の生き方からは窺える。それにしても、不思議なのは、パリで暴行を受けて、演奏家の道が絶たれたからといって、なぜ、自転車レースにで...この感想を読む
4.04.0
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