無銭優雅の評価
無銭優雅についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
無銭優雅の感想
もう一度、山田詠美。
中年の恋人同士のゆるゆるとした日常の記録。こどもみたいな二人が、まるで小動物の赤ちゃんみたいにじゃれあって、満たされなかったもののすべてをふたりでコロコロと埋めていく・・。さすがは山田詠美だと思えるような巧みな言葉遣いの数々。多くの心が醒めるような真実の言葉達に、「彼女の小説を読むと、必ず何か新しく美しく、ハッとするような言葉を得ることができる」と再確認してしまう。十代の頃に貪るように読んだ、彼女の作品は、とても刺激的で格好よいものだったけれど、自分自身が三十を過ぎて再び読んだ彼女の作品は、あたたかく、柔らかく、純粋だった。月日は巡り、もう一度、彼女の作品にはまる時がきたみたいだ。