半落ちの感想一覧
映画「半落ち」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
奥が深く、考えさせられた作品
すばらしい映画の展開と、随所にあるテーマに考えさせられました。アルツハイマー病の妻を殺してしまった警察官の物語です。殺害3日後に自首をするのですが、その2日間のことを語ろうとしない。空白の2日間に秘められた真相が明かされたとき、全てが1つに結ばれる結末。「あなたは誰のために生きていますか?」この台詞が印象に残った人が多いと思いますが、本当に深く深く色んな事を考えることができるセリフが他にもたくさんあります。殺して、と言われ殺せるのが本当の愛なのでしょうか。理解できない私は、まだまだなのかな。そして、出演者の演技が素晴らしい。特に、寺尾聰。この役にピッタリです。セリフ、セリフが本当の彼の言葉のようです。でももう1度観る勇気はないかもしれません。
やはり演技派の方々の共演はストーリーがしまる
主演の寺尾聰さんを始め、柴田恭兵さん、吉岡秀隆さん、西田敏行さんを始め、日本を代表するような演技派の俳優さんの共演で、正直ストーリーは地味ながらどんどん物語の世界に入り込んでいく感じがします。気づいたら完全に物語の世界に入り込んでいて、寺尾聰さん演じる梶の気分に感情移入してしまって手に汗を握ってしまい、あっという間の2時間になると思います。やはり多くの賞を受賞もされている横山秀夫さんの作り上げた重厚な世界は本当に秀逸で、正直法律を守ることだけが正義なのか、縦割りで機械的な世界で生きる事だけが正しいのかと考えさせられてしまう映画だと思います。じっくりと日本酒などを片手にじっくり腰を据えて観たい映画です。
救いはあるような、ないような
子供が死に、その所為で徐徐に訳がわからなくなっていく妻に懇願され殺してしまう、所謂、嘱託殺人をした現役警部の話です。自主するまでの空白の二日間何をしていたのか、それを軸に物語は動いていきます。警部は空白の二日間、自分の亡くなった息子の臓器を移植した青年を探していました。樹木希林さんの演技の凄さに圧倒され、映画館で号泣してしまった作品です。一緒に観ていた友達にとても驚かれました。切ない映画です。涙が止まりませんでした。青年に最後生きてって言われても、奥さん殺したことに変わりはないし、辛い人生しかないよなぁと切ない気持ちになって映画を観終わりました。
難しい
それなりに面白かったと思いますが、感動を期待してみましたが現実的な問題や、各役における人としてのシチュエーション、そしてセリフとして見る者に投げかけられる人としてのあり方の問題。見る人それぞれがどこかに引っ掛かかり、そして忘れていた傷をもう一度思い出させる物語です。重いテーマを2時間で結論付けることができないため、この映画に対する評価は分かれるのかもしれない。現実の世界で、人は、それぞれの宿命を背負って生きています。この作品は、それぞれを、鮮やかに、描いています決して押し付けがましくはなく、どちらかというと淡々と表現されている。他の脇を固めている人も、よい俳優さんばかりでよかったと思います。