博士の異常な愛情の感想一覧
映画「博士の異常な愛情」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
ピーターセラーズのブラックコメディ
ピンクパンサーシリーズでピーターセラーズが大好きになり、友人の勧めで観てみました。冷戦時代の核爆弾を中心としたハチャメチャな内容のモノクロ映画です。ピーターセラーズが一人三役を見事に演じていてとても笑えます。特にDrストレンジラブの役は最高です。ナチスの科学者時代の癖が抜けず、勝手に上がる右手を左手で抑えるシーンは爆笑です。キューブリック作品だけあって哲学的で難しそうな雰囲気もありますが、深く考えずにコメディ映画としても楽しめると思います。15年程前にVHSで観た作品なので久しぶりに観たいと思ってますがレンタル店ではお目にかかれないみたいで残念です。
あまりにも滑稽な世界の終わり
キューブリックの厭世的な皮肉がもっとも鋭い辛辣さを見せた作品と言えるだろう。東西冷戦の核兵器製造合戦の異常さを、「Doomsday Machine」という相手の攻撃を受けると、すべての大都市に核弾頭が発射される最終兵器を仮定することで見事に描き出している。作品が一貫して皮肉であるが、意味に満ちたイロニーに終わるのではなく、強烈なイメージに満ちている。酔ったソ連の総書記に子供をたしなめるような口調で話す米大統領、ロデオでもやってるカーボーイみたいな格好で核弾頭ともに落ちていく兵士、そして何よりもラストのストレンジラブ博士が立ち上がり『Mein Führer, I can walk!!』と叫ぶシーンは強烈に印象に残っている。
ブラックコメディとはこれのこと
スタンリー・キューブリック監督の初期の作品です。その奇抜な作品名と作品の雰囲気がとても気を引きます。スタンリー・キューブリックの映画監督の地位を確立したヒット作ではあるのですが、すでにこの頃からスタンリー・キューブリックらしいシニカルで、奇抜で、テーマ性をもった作品になっています。話は冷戦下の狂気的に人間を次々に描いていきますが、まず空軍基地の知れが狂ってソ連に独断で核攻撃を仕掛けます。そんな事をする人間はいないとおもいますが、たしかに一部の狂った人間が各をもってしまったらあり得ないことでもありません。最後はストレンジラブ博士の発案で核汚染された地上を見捨てて権力者だけが地下の核シェルターに逃げ込むという話で終わります。なんともシニカルです。
冷戦期に完成したブラック・コメディ
当時米ソの両大国が存在しており、人類が核戦争のリスクにさらされていたという事を理解しないと、この映画の真価はわからないかもしれません。ストーリーは米軍の基地の司令官が精神に異常をきたし、対ソビエトへの核攻撃を命令を下してしまい、周りがそれを止めようとするのですが、手違いや機械の故障もあってパイロットたちはソ連への核攻撃を行い、報復により核戦争が起きるという筋書きです。それぞれのキャラが立っており、深刻な話題なのに米ソのやりとりもコミカルです。そして結末もここまでの事を起こしながらなおも国の威信などにこだわる両首脳やさらなる軍拡の話まででており、当時の人間としてはブラックジョークとして楽しめたのだと思います。アメリカ側の軍事責任者として元ナチスの科学者が雇用されており、このキャラクターが独特で面白みのある存在感を発揮しています。