鍵の評価
鍵についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に映画を観たレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
鍵の感想
谷崎文学のエロスを市川崑監督風に!
老いた古美術商と美しい後妻、その娘と恋人でもある医師の4人の関係をブラック・コメディ風に描いた市川崑監督作品です。谷崎潤一郎原作のエロティシズム溢れた作品ですが、脚本の和田夏十、市川崑、長谷部慶治が大胆に改変して見事な映像に仕上げています。谷崎潤一郎独特の頽廃美を描くのではなく、人間の奥底に潜む懐疑精神を巧みに描いています。特に死人のように顔色が青ざめていて、一種異様な雰囲気を表しているメークアップなどがその見どころの一つになっています。京マチ子、叶順子、仲代達矢、中村鴈治郎などの俳優陣の共演も見事ですが、とぼけた味わいを持つ北林谷栄のおばあさん役と、4人の共演者との人物比較が際立っているところも注目です。