セバスチャン・サルガド/地球へのラブレターの評価
セバスチャン・サルガド/地球へのラブレターの感想
神の目を持つ孤高の写真家の人生を紐解く
孤高の美に見せられたヴェンダースならではの映像表現2014年作品。世界で最も優れた報道写真家のひとりと言われる、セバスチャン・サルガドの膨大な写真資料と共に、彼の人生の軌跡を描くドキュメンタリー作品です。監督はヴィム・ヴェンダースと、サルガドの長男であり、映像ディレクターのジュリアーノ・リベイロ・サルガド。そのため、サルガドの写真と同様、映像作品として非常に美しく、少しも説明的でなく、詩的で完成度の高いものになっており、また、家族が関わっているので、畏れ多い巨匠サルガド、という側面だけでなく、息子が尊敬する父親を知りたいと思い、父親の内面を旅していくといった内省的な視点も持っています。そもそも作品があまりに圧倒的で、見ながら思わず何度も呼吸を止めて見入る、というようなことが何度も起こるのですが、そうしたサルガドの作品の世界観を壊さず、静かに寄り添うような丁寧で注意深い作りが素晴らしいと思い...この感想を読む