他の宇宙系SFと一緒にするなかれ
隙のないSFそもそも私がクリストファーノーランを好きになったのは、「インセプション」や「ダークナイト」がきっかけだった。それらを見たときに、それまでのSFに対する考え方が変わった。そこに共通するのは、SFでありながら合理性が高いという事ではないだろうか。「インセプション」ではこれまでにない程複雑で難解な設定のSFに挑戦していた。そもそもSFとはその名の通り、サイエンスというこの宇宙の基本原理自体をフィクションで作り変えてしまうということであって、「なぜ」とか「どうしてこうなるのか」ということをしっかり説明したりすることなど最早愚かで矛盾した行為だ。「どうしてこうなるのか」など無視して想像を超えたことが起こるということがSFのある種の”暗黙の了解”であると思われていたからだ。しかしノーランはその点で他のSF映画と一線を画す。ノーランの場合、ある一つの小さなルールをフィクションで作る。そしてその原理に忠...この感想を読む
5.05.0
PICKUP