こんな戦隊は嫌だ!
「女子ーズ」を視聴した感想です。
「全力で下らないことをやっている感じ」がすごく面白かったです。何回も笑うところがありました。
私は、福田雄一監督の作品は、テレビドラマも映画もほとんど見ています。
「女子ーズ」は「勇者ヨシヒコ」に近い感じですね。戦隊物という枠組みの中で、王道をハズしたギャグを延々とやっていくという。
出てくる怪人も絶妙にダサいし、戦隊の仲間も、やる気があるんだか無いんだかよく分からない女の子達と、ちょっとづつズレている感じがします。
「こんな戦隊ヒーローは嫌だ」という大喜利を、ずっとやっている感じですかね。
もう、下らなくて最初から最後まで笑っている感じです。
怪人との掛け合いも面白いですし、佐藤二郎さん演じるチャールズのふざけた感じも笑えました。
また、全く戦隊とは別のシーンですが、安田顕さんの出ているシーンは全部爆笑でした。
あの劇団員に全力でナマコの動きをやらせているシーンとか、笑っちゃいました。
あとどこで出てくるのかな?と待っていたムロツヨシさん。
絡んでくるサラリーマン役という、あまりない役だったので、興味深く拝見しました。
こういう何も考えずに見られる作品、好きですね。
しかし、福田監督作品は、独特の癖があり、苦手という人もいると思います。
ただ、「女子ーズ」は癖がそこまでないのかな、と思いました。
他の福田監督作品ですと、結構同じギャグを何回もやったりと、クドイ演出もあるのですが、「女子ーズ」は全然そういうシーンがなかったですね。
あと、よくありがちなのが、佐藤二郎さんやムロツヨシさんにクドクド喋らせるギャグとか。
これも佐藤さんやムロさんが、元々好きな人でないと、どうなのかな?と私はいつも思っているのですが…。(私は佐藤さんもムロさんも好きなので、笑って見ていますが。)
しかし、この作品では佐藤さん、ムロさんが抑え目でしたね。
初めて観た人でも、素直に爆笑できるシーンがたくさんあったと思います。
見やすかったです。
恋に仕事に…女子らしいテーマも
また、この作品は、他の福田監督の作品よりも、若干ドラマがあると思いました。
ストーリー後半ではレッドに焦点を当てて、仕事や恋といった要素も描かれています。
レッドは真面目で正義感が強く、曲がった事が嫌いな性格です。
しかしその為に、仕事仲間や戦隊の仲間の気持ちを考えず、突っ走ってしまうところがあります。
「私は間違った事は言っていないのに、なんでうまくいかないんだろう?」と、レッドは仕事がうまくいかず、悩んだり落ち込んだりします。
このレッドの姿は、働く女性にとってはあるあるで、共感して見ることができると思います。
こうした、戦隊パロディのコメディ以外の要素があったので、この作品はただ笑って見るだけではなく、最後にはほっこりした気持ちにさせられました。
映画として見易い構成だったと思います。
以前、福田監督の「バラ色のブー子」という作品を観たのですが、こちらはストーリーの要素はまるで無く、コントに次ぐコントといった塩梅で、作品中盤には飽きが来てしまいました。
「女子ーズ」はその辺りが改善されていたと思います。やはりコメディだけでは厳しいですね。きちんとドラマがあって良かったです。
印象に残ったキャスト
この作品で一番印象に残った俳優さんは、高畑充希さんです。
高畑さんは、貧乏で現実主義者のイエローを演じています。
高畑さんはまず、声がいいなと思いました。
声量が安定しており、滑舌もいいので、セリフが聞き取りやすく、感情も伝わりやすかったと思います。
わりと、さしすせその苦手な俳優さんっていると思うのですが、高畑さんにはそういった違和感が全くありませんでした。
高畑さんはすごく歌がうまい方なのですが、その辺りも関係しているのでしょうか?
また、イエローの役理解も素晴らしいですね。
イエローはわりと突っ込み役で、女子だけど女子らしさがあまりない女子です。イエローの切って捨てるような突っ込みが、聞いていて気持ちが良かったです。
イエローは見ていて一番気持ちのいい役でないといけなかったと思うので、その辺りを絶妙に演じていたと思いました。
また、ネイビー役の山本美月さんも存在感があり、印象に残りました。
今でこそドラマや映画に多く出演し、女優として活躍している山本さんですが、この頃はまだ演技の経験は浅かったはずです。
しかし、ネイビーの世間知らずではかないお嬢様、といったキャラクターを、違和感無く演じていたと思います。
ルックスもキレイで、一番目立っていましたね。とにかくスタイルがいい。そして手も足も長い!そして細い!
これは参りました。
皆川猿時さんとの掛け合いも面白かったです。
ちょっと残念だったのは、グリーン役の有村架純さん。
グリーンは小劇団の劇団員で、普段の生活から女優カブレしているキャラクターなのですが、ほとんど伝わって来なかったですね。
終盤になって、やっと「あっ、こういうキャラクターか」と分かる感じです。ちょっと勿体なかったですね。
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