奥が深いドラマだと思います。
仕事に対する意欲ってなんだろう。
自分は何のために仕事をするんだろう・・・こういうことを考える人は
少なくないと思う。大学や専門学校、高校を卒業したから働くというのが
今の世の中の流れだと思うが、主人公の誠司もきっと同じように思い悩んだんだと思う。
実家暮らしなら職を失ってもいつかきっと何とかなると思うのは自然な流れだし
中年の職探しじゃないんだから、簡単に次の仕事だって見つかると思ったと思う。
実際私も就職先でどんなことがあるかわからないけど「いやだったら転職すればいいや」
くらいに思っていた。だから、何のために働くのか、そういう迷いに直面した若い世代は
「なんだってできるだろう」と思って会社を辞めていくんだと思う。
誠司がだらしないように映ってしまうが、今の世の中の若者たちの考え方がリアルに描写
されていると思う。
誰にでも可能性のある病気
うつ病は誰にだって起こりうる病気。このドラマはお母さんが重度のうつ病になってしまった。
うつ病の原因は人それぞれあると思うが、お母さんのうつ病の原因が普段の生活の中のストレス
それがご近所付き合いのストレスというのがとてもリアルだと思う。
ご近所付き合いが薄れている現代だとは思うが、1日中家を守っている主婦は、ゴミ出し、家の外の掃除
回覧板などの絡みでご近所付き合いをすることになる。少ないとは言ってもご近所付き合いはゼロではない。
他人同士が集まっている住宅地ではいい人ばかりではない。苦手な人もいる。でもずっと住み続けていくにはそういう人とも上手に付き合っていかなければならない。誠司のお母さんはものすごく真面目できちんとしている人。
きっとご近所のどんな人にも嫌な顔をしたことがないいい人なはず。積極的に外に出てお付き合いをするようなタイプでもないだろう。こういうタイプの人はきっと何か嫌なことがあっても内に秘めてしまうだろう。
それがどんどん蓄積されていくと、うつ病という形であらわれてきてしまったんだと思う。
どうしてそこまでため込んでしまったのか・・・誠司のお母さんはきっと家族に心配をかけたくない
自分に怒っていることは外で働いている人にくらべたら、たいしたことではない。
家族が毎日笑顔でいられるようにしたいという気持ちから、自分の感情は二の次になってしまったんだと思う。
目標を持つってことがものすごく大切
とりあえず給料のいいところという理由で働きだした誠司。それは皆そう考えると思う。
自分のやりたい仕事がわからない、でも働かなきゃというなら、ポイントになるのは「給料」だから。
やりたい仕事が決まってない状態なら、自分ができそうな仕事でお給料がいいなら、都合がいいと思うのは当たり前だと思う。やりがいのある仕事、夢のある仕事というものに、誰だって憧れはあるが、そういう仕事をしている人たちはほんの一握りだと思う。みんな自分の生活のために仕事をしているのだから。
だが、誠司を見ていると、その何気なく働いているうちに目標ができるというのはとても理想的な流れだと思う。
このドラマではお母さんの病気をきっかけに、新しい家を求めたいという目標ができた。
家族のために何かをしてあげたいというのがものすごく素敵な情景だと思う。
誠司は一緒に働く同僚からいろいろ刺激をもらえて、自分も成長できたのでものすごくラッキーだったと思う。
今回はお母さんのためという理由だが、もしかしたら、自分に対する何かが目標になったのかもしれない。
一緒に働く仲間の意欲っていうのが伝染するもんなんだろうと感じた。
誠司が同僚の意欲に伝染して自分自身を考えられたというのが重要で、実際の世の中には自分の周りに
たくさんのヒントがあるのに気が使いない人がたくさんいる。人の意欲を煙たがる人だっている。
お母さんの病気のために家を買おうということだけでなく、それはあくまでも形なだけで、その中には
たくさんのヒントが隠されていると感じた。
自分の仕事に一生懸命取り組む思い、ぐーたらな誠司に対してその状況がもったいないと教えることができるのは真奈美にしかできなかったはず。
そして誠司もただただ毎日の仕事をこなしているだけではなく、心のどこかでは今の状況を何とかしたいという強い思いがあったからこそ、真奈美の思いが届いたんだと思う。
ただのフリーターが家を買うまでの単純はドラマではない。
今の若者、今現在働いている人、これから社会人になろうとしている人すべてに対して問いかけをしているドラマだと思う。
目標を持つことが大切、でもその目標はひょんなところから降ってくることがある、自分の近くにちょっと自分とタイプが違う人がいたら、その人がどうしているのか観察してみると何かヒントがあるかもしれないよということを教えてくれているんだと思う。
目標というとなんだか敷居が高くて積極的になれない感じがするが、自分の周りに興味を持ってみることは誰だって簡単にできるはず。やる気がないのは仕方ない、やっつけで仕事をしているのかもしれない、でも今いる自分の近くにはたくさんのヒントや可能性があるんだよということを教えられた気がする。
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