ギリギリ歯ぎしりレッツゴー~ - 地獄でなぜ悪いの感想

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地獄でなぜ悪い

4.174.17
映像
4.33
脚本
4.00
キャスト
4.17
音楽
4.00
演出
4.17
感想数
3
観た人
4

ギリギリ歯ぎしりレッツゴー~

4.04.0
映像
5.0
脚本
3.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

単純明快に面白かったです

「地獄でなぜ悪い」を視聴した感想です。
とにかく最初から最後まで訳が分からない、整合性なんてない映画です。
ジェットコースターのような衝撃のシーンの連続に、「何だか分からないけど、すごい物を観てしまった」という興奮が、映画の終わった後にずっと続いていました。
脳がわーっと活性化されるような感じですね。
訳は分からないけれど、とにかく感情を揺さぶられるという感じです。
「ハチャメチャ」という言葉を、体現するとこうなるのかな、と思いました。
ストーリーはあって無いようなもので、作品全体を覆う暴力的な衝動が、全てのような作品です。

とにかくラストの、ヤクザの抗争のシーンに目が引き付けられます。
実は作品にヤクザが出てきた時から、最後はこのような流血シーンになるのではないか、と予想はしていたんですよね。
SABU監督の「弾丸ランナー」や、北野武監督の映画でも、ヤクザが絡んだ作品は、最後は登場人物が大体死んでしまうので、この映画もそうかなと思いました。
「敵も味方も全滅するんだろうな」と思っていましたが、予想的中でやはりそうなりました。

しかし予想していても、やっぱり鮮烈な流血のシーンはびっくりさせられますし、残虐なのに観ずにはいられない勢いがあって良かったと思います。
血で血を洗うという表現が、まさにぴったりです。
國村隼さんや堤真一さん、二階堂ふみさんも、体がキレキレで、見応えのある殺陣でした。

二階堂さんは、これまで普通の女子高生役などで拝見していましたが、ミツコのような狂暴な役もぴったりでした。
スレっからしというか、女マフィアという感じで、冷たい目なのに色っぽかったです。
ビール瓶の破片を口に含んで、キスで相手を殺すシーンは、痛々しいのにセクシーでした。
かわいらしい外見なのに、絶対にもう逃げられないような殺気を放っているように見えました。

暴力とコメディの緩急がすごい


また、暴力と暴力の間に挟まれる、ゆるいコメディも面白いです。
園子温監督が担当した、ドラマ「時効警察」を思わせるような、ゆるい笑いが時々あります。

少年時代の平田たちの絶妙なダサさや、少女時代のミツコのCMソング。
すっかりミツコのファンになってしまった池上が、ミツコの前ではデレデレになってしまう所などが面白かったです。
堤真一さんの、ヤクザの親分としての厳しい顔と、ミツコにデレデレの時の表情の変わり方が激しいです。表現の緩急がすごいと思いました。

また、個人的には芸人の友近さんがヤクザの女房役というだけで、コントの設定のようで笑ってしまいました。
もう友近さんがいるだけで、ちょっと面白かったです。

あとすごく細かいのですが、作家の岩井志麻子さんが、バーのママ役で少しだけ出演していて嬉しかったです。
何で岩井さんだったんだろう。似合っていましたけれども。

また、最後にものすごい流血シーンの最中、大量のコカインを吸ってしまって、一人で楽しくなってしまったコウジには笑ってしまいました。
「コカイン、効いたー!!」って。このシーンが一番笑えましたね。
最近はドラマでクールな役の多い星野源さんですが、こういう面白い役ももっと見たいです。

また、最後はもう完全に狂気の人になってしまった平田が、疾走するシーンにカットの声がかかって、物語は幕を閉じます。
そこからテーマソングの、星野源さんの「地獄でなぜ悪い」の明るいイントロが流れ出します。

流血シーンからテーマソングへのギャップに、しばしドキドキが止まりませんでした。
また、狂気じみた内容なのに、テーマソングの効果なのか、明るい映画を観たような気持ちにもなってしまうのも、不思議な感じでした。
園子温監督にも、星野源さんにも一本取られているような気持ちになりました。

テーマソングの「地獄でなぜ悪い」に、「生まれたら地獄。でもそれがなぜ悪い」というような歌詞があって、「タイトルはこういう意味だったのかな」と妙に納得してしまいました。

「はい、カット」で終わる映画

それにしても、最後にカットの声が入っているのはどういう意味なんでしょうね。
「これは映画だよ」とフィクションを強調しているのでしょうか。
それとも、平田たちの映画には、誰もカットの声を入れなかったので、最後に入れたのでしょうか。
いかようにも解釈のできる感じですね。
いずれにしても、お洒落な幕引きだと思いました。

最後、平田があんまり楽しそうに笑いながら走っているので、横から不意討ちでトラックに轢かれるのかと思って観ていたのですが、そんなことはなかったです。

平田役の長谷川博巳さんは、ヤクザの中にいる一般人なのに、一番存在感があるように思えました。
長谷川さんが画面に出ると、途端に安心感が生まれます。
國村隼さんや堤真一さんのような、ベテランのコワモテ俳優と対峙しても、全く引けをとらない感じでした。存在感が負けていなかったです。
観ていて気持ちが良かったです。

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真っ直ぐな男たち

園子温監督最高傑作まず鬼才・園子温監督をご紹介します。この監督はスプラッター・バイオレンス・ブラックユーモアを取り入れた作品が豊富で、映画を視聴している観客に疑問を投げかけるような映画を作成しています。『地獄でなぜ悪い』は2013年公開され、その後の反響が素晴らしく、世界に衝撃を与えた作品です。ちなみにタイトルの地獄なのになぜ悪いの?っという旨は関係ありません。一般人から見れば、これは地獄のような光景なのか?っと疑問が湧きましたが、一回見れば一日中その映画のことを考えてしまうほどインパクトが強かったです。配役にピッタリな人選ウィキの説明だとヤクザの抗争・映画製作・恋心(恋愛系)を思い浮かべると思いますが、まさにその通りです。まず武藤組、組長の娘ミツコは二階堂ふみさんが演じており、普段テレビでお見かけする清楚系キャラとは全く違うのでインパクトがかなり大きいです。口が悪い・思考回路が暴力的・自...この感想を読む

5.05.0
  • メバチコメバチコ
  • 237view
  • 5206文字
PICKUP

映画とは

好きなもののためにこの物語の主人公であるヤクザの組長武藤(國村隼)、その武藤と敵対関係にある池上(堤真一)、武藤の娘で一度は女優の夢を閉ざされたミツコ(二階堂ふみ)、ミツコの母であり、組長の妻のしずえ(友近)、ただそこにいただけで次々と事件に巻き込まれてしまう橋本(星野源)、いちいちうっとうしさを感じるほどのロマンチストで映画馬鹿の平田(長谷川博己)。脚本の肝となるのはこの6人です。最初はそれぞれの事情を抱えていた点と点のような存在でしたが、物語が進むにつれて次々と巻き込まれ、一つの線になるように複雑に関わっていきます。その関わり様が面白く、とてもバカバカしくもあり、この映画の一番の見どころでした。その6人に振り回される脇役たちもいい味を出しています。その登場人物を繋ぐものが『映画』。つまり、「地獄でなぜ悪い」は『映画』のための映画なのです。その『映画』に繋がっていく理由も各々ですが、大...この感想を読む

3.53.5
  • はるはる
  • 229view
  • 2879文字

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