ずっと笑って見てました
結婚してください、さもなくば、あなたを逮捕します。
この作品は、好きになる女性がみんな犯罪者という「うぬぼれ刑事」を主人公とした、刑事ドラマと恋愛のコラボレーション…のようなコメディドラマです。
刑事物ということで、ヒントを視聴者に投げかけて先の予想をさせるなど、王道の面白さもありますが、最終的にうぬぼれ刑事が犯人に、結婚か逮捕かを迫るなど、コメディ色の方が勝った作品です。
頭を空っぽにして笑えますし、一話完結ということもあり、見やすい作品だと思いました。
宮藤官九郎さんの脚本史上、最も笑える
とにかくギャグの数がすごく多いと思います。
笑わせるセリフや掛け合いがかなり多く、それが始めから終わりまで、ぎっしり詰まっている印象です。
おそらく、宮藤官九郎脚本の作品の中でも一二を争う、笑いの量が入っていると思います。
掛け合いもスピード感があり、見ていて飽きません。
コメディシーンも、高校生に扮した登場人物達がみんなキス顔をしていたり、頭の許容範囲を超えた事態に、おかしくなったうぬぼれ刑事や冴木が、奇声を発しながら全力で公園で遊ぶなど、常人には考え付かないような内容となっています。
ですのでこの作品は、内容よりも、何も考えずに笑って見られるのが魅力と言っていいと思います。
キャストのコメディセンスに脱帽!
うぬぼれ刑事を見て思ったのは、うまい役者さんばかり使っていて見易いということです。
主人公のうぬぼれ刑事を演じる長瀬智也さんは、それまで「池袋ウエストゲートパーク」のマコトのような男っぽい役が多く、ワイルドなイメージがありました。
しかし、うぬぼれ刑事は公務員らしい冷静さや、常識的な考え方が基本的にあるキャラクターで、これまでのイメージとは真逆の役柄だと思いました。
また、真面目なうぬぼれのキャラクターに反して、コミカルなシーンが相当あり、すごく笑わせてもらいました。
おかしな言動はもとより、時々福島弁になったり、ダンスシーンもあって、一話に対してやることが盛りだくさんな役だったのではないかと思います。
しかし、長瀬さんはどこからどうみても、うぬぼれ刑事にしか見えないという感じで、高い演技力を見せつけられた次第です。
また、本城サダメを演じた生田斗真さんは、ジャニーズタレントとは思えないような、体を張った演技をしていました。
本城サダメは駆け出しの俳優で、「とにかくバカ」というキャラクターです。
イケメンなのに喋ると残念な感じがすごく出ていてよかったです。
話し方もバカ、話してる顔もバカ、「あ、ハイ!」という返事もバカ…もう画面からサダメのバカが溢れ出るようです。
こんなにこのサダメというキャラクターを理解して、再現している生田さんはすごいと思いました。
他のキャストの方もそうですが、正に脚本家が望んだ人物像を、そのまま演じているように見えます。
また、最終回のダンスシーンではジャニーズタレントらしいキレも見せていて、かっこよかったです。
要潤さん、矢作兼さん、坂東三津五郎さんも、うぬぼれ5の一員として、チャラチャラした演技が光っていました。
矢作さんは、ドラマにあまり出演している印象はないですが、すごく自然にチャラい業界人を演じていたと思います。
要潤さんも、イケメン風でありながらコミカルな掛け合いが面白く、モテそうでモテていないパティシエをうまく演じていました。
坂東さんは、他のメンバーとは父親ほど年齢が違うにも関わらず、何度もバーでお酒を顔面にかけられたり、ダンスシーンをこなしたりと、大御所らしからぬ体当たりの演技をしていて好感が持てました。
歌舞伎役者の方なのに、何でもやってくれるんだな、と好きになりました。
うぬぼれ刑事の父、葉造を演じた西田敏行さんは、完璧な福島弁を使っていて、上手いと思いました。
田舎のおじさん風の呑気な風貌とは裏腹に、ワインをたしなんだり、パソコンを使いこなしたり、うぬぼれが連れてくる女性を犯罪者だと見抜くなど、ギャップのある現役感を、見事に表現していると思いました。
うぬぼれ刑事や、その周りのうぬぼれ5が現実離れしたプラス思考であるのに対し、一番現実的にビシビシ正論をぶつけてくるのが、この父だったりします。
最終回直前には、冴木に理恵がうぬぼれと過去に交際していたことを、酒に酔って暴露してしまいますが、実際は事故ではなくわざとだったのかな、と思ってしまいます。
結婚直前でマンションまで買った息子の前から、突然姿をくらました元恋人への意趣返しのように見えました。
真相は分かりませんが、この父ならやりそうです。
また、当時はそんなに知名度のなかったムロツヨシさんも登戸刑事役で出演しています。
宮藤官九郎脚本作品で、そんなにムロさんの出ているイメージがないので意外でした。
当時の演技の感じは、そんなに今と変わらないように見えました。
ムロさんは妻帯者ですが、職場で不倫している設定で、ムロさんには珍しい恋をしている表情が見られて新鮮でした。
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