1日働いた後に見たくなるドラマ
働く女性に、エールを送ってくれる作品
この作品が一番視聴者に送りたいメッセージは、「女性も強く変わらなければならない」ということなのかもしれません。
離婚、ストーカー、セクハラ…この作品が取り上げているテーマは、ドラマの放送時、まだ認知が進んでいなかったものだと思います。
女性の社会進出ともに、女性を取り巻く環境も変化しています。
そんな時代の流れの中で、労働環境や家庭のあり方もまた、変化の一途をたどっています。
そして、何よりも女性自身が戦う意思を持って、前に進む覚悟を持たなくてはならないのかもしれません。
そのように変化しないといけないのかもしれません。
最終回ではセクハラ問題を取り上げていますが、その中で鈴木紗理奈さん演じるセクハラの被害者が、貴子の奮闘に心を動かされ、当初嫌がっていた裁判を、起こす決意を固めるまでが描かれています。
この最終回では、貴子は何度も大会社に圧力をかけられ、根回しによって妨害され、色々な人に「何のためにそこまでするんだ?」、「勝つのは難しいんじゃないか」と問いかけられます。
しかし、貴子は「やってみなければ分からない。私は今までそうやって生きてきたの」と一歩も引きません。
そして大会社を相手取り、勝利を掴みます。
この貴子の絶対に諦めない、弱音を吐かない芯の強さは、見ていて「わたしも頑張ろう」と元気づけられました。
ドラマを見ていて元気づけられたり、「わたしもこうなりたい」と思わされるのは久しぶりで、いい作品だなと思います。
わたし自身も変化を求められる時代の中にいる女性の一人ですが、その渦中で背中を押してくれるような力強さを、作品から感じました。
女性が憧れる、女性の主人公
主人公の間宮貴子は、弱音を吐かず、諦めず、受けた依頼はやりとげるプロとして描かれています。
それまでの働く女性が主人公の作品といえば、ドジでまぬけな新入社員などが多かったと思いますが、間宮貴子はそれらのキャラクターとは真逆の設定となっています。
ある程度の実績のあるプロとして、仕事の矜持もあるし、プライドもあります。
そして、弁護士としてはプロの働きを見せると同時に、事務所所長として部下を持つ立場でもあります。
部下は決して一枚岩でなく、在籍するもう一人の弁護士の柳田、パラリーガルの本田は、どこか女性の上司という部分に、最初はいまひとつ懐疑的な様子です。
本田は貴子の仕事の取り組み方に、だんだん感化されていきますが、柳田は貴子が仕事に感情移入しすぎる事で、しばしば衝突します。
まさに「これだから女は嫌なんだよ」という嫌悪感も露に、最終回ではそれが原因となって柳田は一度退職までしてしまいます。
(しかし、結局は貴子の真摯な働きぶりに心を動かされ、戦利品を引っ提げて舞い戻って来るのでした。)
そんな貴子の生きざまはストレートで嘘がなく、格好いいと思います。
女性なのに少しも女々しい所がなく、かといってイライラギスギスすることもなく、誠実で一生懸命です。
見ていて気持ちのいい主人公ですし、演じる天海祐希さんにぴったりだと思います。
天海さんは、いつも背筋がぴんと伸びていて、スーツもぴしっと着こなしていて素敵でした。
セリフ回しはハキハキとしているのに、女性らしい品の良さもあり、時々見せるコミカルな表情もかわいいと思いました。
また、書類整理を担当している井上さんとの関係もいいですよね。
時に貴子にアドバイスを送ったり、道を誤りそうになった時に手を貸してくれる存在で、雇用主と労働者の垣根を越えて、親子のような関係に見えます。
井上さんをイケメンのキャラクターではなく、あえておじいさんにしている所も、変な雑音が入らなくてよかったと思います。
井上さんが、本当の娘さんに冷たくされた時も、貴子がそれに代わるかのように気遣う場面は心が暖まりました。
このように間宮貴子は、ありそうでなかった主人公像として新鮮でもあり、また同じように働く女性の目線から見て、非常に好感の持てるキャラクターだと思います。
特に貴子と同じ年代の女性では、同じように部下を持ってバリバリ働いている人も多いでしょうから、共感を持って見られるのではないでしょうか。
幸せについて考えさせられるドラマ
女性が主人公の作品として珍しいのは、恋愛の要素が全然出てこないことです。
貴子自身が「彼氏なんかいないわよ…」と作中で呟く場面もあるのですが、妙齢の女性がそんなことを言っても、全然悲愴感がないんですよね。
それは貴子が美人だから、弁護士だからということではなく、貴子が自分というものをしっかり持って、充実した生活を送っているからだと思います。
女性の一生を考えるのに、「結婚した方が幸せなのか、しない方が幸せなのか」といった議論がしばしば起こりますが、貴子を見ていると、結局自分自身だな、と思わされます。
その人がどういう生き方をしているかが大事なんだな、と考えさせられるドラマでもあると思いました。
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