離婚弁護士は天海祐希だから面白い
ありがちな弁護士ドラマなのに熱いものが伝わる
毎回相談者ごとの完結になっていて、内容的にはよくある離婚とか相続とかの話しなのに、何か引き付けられるものがあります。弁護士にしたら日常的な家事事件だから、事務的に処理して感情なんてないのが通常なのに、これでもか!というくらい真剣に取り組むのがこのドラマ。営利を目的にせず、何とかクライアントの力になろうと、全力で弁護する姿に熱いものを感じてしまいます。もっと若かったら、このドラマを観て弁護士になりたいと思ったかもしれませんね。強い女、へこたれない女、負けない女。世の中の女性たちに、エールを送っているのかもしれません。また、このドラマは細かな描写がよく表現されています。カメラワークが面白くて、臨場感があります。他のドラマとは違ったアングルで、まるで映画でも観ているかのように俳優陣の表情がルアルに映るので、そこも引き付けられる理由でしょうか。1度見始めると、もっと観たくなるのがこのドラマです。ストーリー的にはどんでん返しがあるとか、思わぬ結末なんてことはありません。想像の範囲内の結末ですが、エピローグに至るまでの間宮貴子の奮闘が、何か共感できるからです。壁にぶつかったり、正当性を主張できなかったり、困難を乗り越えながらも事件の解決に導いていきます。この『離婚弁護士』は、人間としての在り方とか、忘れかけていた人情などを思い起こさせてくれます。主人公の弁護士間宮貴子を演じる天海祐希が、現代の希薄な世の中も捨てたものじゃないと伝えてくれます。
天海祐希だから面白いキャラ
天海祐希といったら元宝ジェンヌで知られていますが、彼女のドラマはどれも面白いですね。一見ツンとしていそうで知的な容姿なのに、どこかお茶目な部分があって憎めない。リーダー的なカッコイイ役が多い中、この弁護士役は特にはまり役です。『BOSS』などの刑事役もありましたが、少し硬い感じがしました。この『離婚弁護士』では、表情を変えずに真顔でキツイことを言っているのに、そこに愛が感じられます。クールなのにお茶目で、本来はとても明るい性格の天海祐希だから出せる持ち味でしょう。大手弁護士事務所でバリバリやってきたものの、弁護士間宮貴子は人情味溢れる女性。そんなキャラを作り出せるのも天海祐希だからです。このドラマでは、天海祐希の衣装にも注目して欲しいですね。弁護士という職業柄スーツは必須ですが、型にはまっていないお洒落感があります。スーツを着るとリクルート風になりがちですが、崩し過ぎずそれでいてキチンとしています。仕事をする女性には、是非真似して欲しいファッションです。毎回、弁護士間宮貴子のファッションを楽しみにして観ていた人も多いのではないでしょうか。バックも小物もシンプルなのに素敵です。天海祐希は171㎝の長身でスレンダーなので、さらに美しく着こなしています。弁護士で美しい才色兼備の誰もが憧れる女性でありながら、負けない強さのようなものを天海祐希が演じています。
弁護士間宮貴子を取り巻く個性的な面々
『離婚弁護士』に出演している俳優陣も、個性豊かな面々です。弁護士柳田俊文を演じる佐々木蔵之介もその1人です。佐々木蔵之介の高い演技力には好評がありますが、このドラマでは脇をしっかり固めています。民事の仕事なんてやってられないと、企業専門の仕事しかしませんが、間宮貴子の案件の都度何かしら気になる素振りを見せています。当初の企業専門の仕事しかしない姿勢は崩さないものの、間宮貴子に感化されて考え方も少しずつ変わっていきます。アドリブなのか、単なる台詞なのかは不明ですが、間宮貴子に「ハンサムなラクダ」とイジられているのが面白いですね。佐々木蔵之介にピッタリ過ぎて、初めて聞いた時に笑ってしまいました。もう1人、パラリーガル役の井上紀三郎役を演じる津川雅彦のキャラも面白ろくてなかなか。津川雅彦といえば、誰もが知るベテラン俳優ですが、老眼鏡のような眼鏡をかけて、腕カバーをしている地味なおじさんの役です。未だに司法試験を受けているので、知識が豊富で事件解決のちょっとしたヒントをくれるのが井上紀三郎。裁判所提出などの書類を一手に引き受ける頼もしい存在です。いわば縁の下の力持ちでしょうか。そんな井上紀三郎は、間宮貴子の元同僚の陣内孝則演じる山岡哲治からの、開業祝いのプレゼントと言いますから洒落ています。井上紀三郎は間宮貴子より年上のせいか、他の人のようにズケズケ言いません。一目置いているからでしょうか。その他にも玉山鉄二は本多大介役で出演しています。NHKの『マッサン』ですっかり有名になりましたが、このドラマでは間宮貴子のアシスタント役。本多大介も司法試験の合格を目指しているようですが、いつ勉強しているんだろうといった感じです。天海祐希以外にも、脇を固める俳優陣が面白い『離婚弁護士』です。
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