脱!マンネリ化
路線変更?
前作の『ジェイデッカー』から数えて6作目となる『勇者シリーズ』ですが、あまりの路線変更にかなりガッカリしました。『ジェイデッカー』は、コメディ要素とシリアス要素のバランスがものすごく良くて、次の番組もこの路線なんだろうと思っていました。ですが、始まってみると「何、これ?」という感じです。確か、『勇者シリーズ』って勧善懲悪の作品が多かったですよね?なのに『ゴルドラン』は冒険がテーマ?それも8つのパワーストーンを集めるって、ドラゴンボールじゃないんだから、と。正直、予告だけでは見る気も起きませんでした。でも、ずっと見てきたシリーズです。私はとりあえず第1話だけでも見てみようとチャンネルを回しました。そして、やっぱり期待はずれだな。と、思いました。やっぱり、ロボットアニメの醍醐味というのは、正義と悪があり、友情があり、やがて巨大ロボに合体するというのが最大の魅力です。冒険ものだったら、何もロボットを出す必要はないのです。おそらく、マンネリ化を避けようとして作られた作品なんでしょうが、その割にはあまりにも路線変更しすぎではないでしょうか?
キャラクターや主題歌は作品の顔
はっきり言って、キャラクターには全く魅力を感じません。主役のタクヤ、カズキ、ダイのキャラクターはよく見るキャラクターです。ただ、タクヤの外見だけは王道のヒーローなのに、古いギャグを連発したり、嘘泣きをして大人を騙す所は意外でした。でも、横にいるカズキとダイのキャラクターは想像通りです。クールな外見のカズキは、やっぱり性格もクールだし、ちょっと太っちょのダイも大人しいのに頑固というこれまたよく見るキャラクターです。悪役であるワルターと、彼につきまとうシャランラにしても、どうしてあそこまで目がクリクリなのでしょう?これでは本当にワルターが「悪」なのか分かりづらいです。年齢設定を考えると、ワルターの外見はもう少し大人びている必要があった筈ですし、シャランラの外見だって『魔女っ子シリーズ』を意識しているようなピンクの髪で、あまりメリハリを感じられません。せめて外見だけでももう少し違ったら良かったのにな。そして、最大のガッカリは主題歌です。これまでの『勇者シリーズ』でも女性が歌っていたのでそれは別に良いのですが、どれもロック調で、激しいものでした。なのに、『ゴルドラン』ではアイドル歌手が起用されたのです。もちろん、アイドルがいけないわけではないし、明るい歌声も聞きやすかったです。でも、でもっ。ロボットの名前が一度も使われないなんてっ。主題歌というのは、キャラクターと同時にその作品にてとっては「顔」です。主題歌の善し悪しでその作品の魅力も変わってきます。なぜアイドルに歌わせたのかは分かりませんが、せめてロボットの名前が一度ぐらいは出て来ても良かったんじゃないのかな。
それでも見ちゃう
キャラクターや主題歌がイマイチでも、やっぱり見てしまったのは、ワルターの存在です。彼は、紳士でした。部下に全て任せれば良いものを、自ら戦いに赴き、一般人を決して巻き込みませんでした。敵であるタクヤ達を「お子たち」と呼び、闇討ちなどの卑怯な手を使いませんでした。シャランラにつきまとわれて困惑していた筈なのに、彼女を傷付ける事はしませんでした。ただドジなだけじゃないという彼の一面を知ってしまったから、毎週見ていたんだと思います。そして、スタッフの方達がかなりノリノリである事も分かりました。テンポの良い会話と、時々垣間見えるパロディ要素は楽しかったです。ワルターがタクヤ達に負けて去っていく姿は『タイムボカンシリーズ』のようだったし、改心したワルターが仮の姿になった時には、あきらかにキャプテンハーロックを真似してましたよね?こういうクスッと笑えるのが楽しかったです。それに、この作品って敵も味方もメインキャラの誰も死んでないんですよ。これって凄い事ですよね。大体、どの作品でもラストシーンを盛り上げる為に、必ず悲劇的な要素を取り入れるんです。その後蘇るとしても、必ずそういうシーンがあるのが当たり前でした。その中で、誰も死なないというのはかなりの驚きです。私はてっきりワルターの弟であるシリアスがそうなるんじゃないのかなと、思っていました。だって外見からしてそういうキャラに見えますよね?でも、そんな予想を裏切り、シリアスは生き残りました。悲劇的な要素はもちろんありましたが、シリアスは明るくなるという、違う形で蘇りました。最終的には、兄であるワルターと同じようなハーロックのコスプレまでしたのです。でも、私はここにスタッフの想いが隠れていたのではないでしょうか?誰も死ななくても悲劇は表現出来るし、そこから立ち直る事も出来るのだと。あれだけつまらないと思っていた『ゴルドラン』ですが、最終回の時には不思議な淋しさを感じました。
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