女の子の時代 - 魔法少女ちゅうかなぱいぱい!の感想

時代の変化

「ウーラーナ、シャイオパラ、タイオパラ、カーサイターボゥ」の呪文と共に、華麗な中華衣装に変身して様々な問題を解決してくれるぱいぱいは、当時の女の子達の憧れの的でした。それまで放映していたのはロボットものが多かったし、他の作品でも女の子が一人で戦うストーリーはなかなかありませんでした。時は昭和から平成へと変わり、どちらかというと女性の立場が強くなった頃でした。歌番組でも、プリンセス.プリンセスが活躍したりと、何かと女性の活躍が目立った平成元年。それに合わせて作られたのが、この『ぱいぱい』ではなかったのでしょうか？彼女の存在が、この後の作品に多大なる影響を与えたのは言うまでもありません。『いぱねま』や『ポワトリン』も彼女がいなければ存在してはいなかったでしょう。ただ、かなり古い作品である『コメットさん』をかなり意識しているような気がするのです。人間の家に居候したり、ステッキで解決したり、ぱいぱいの場合はそこにバトルが生じるというだけで、設定的にはかなり似ています。中華魔界というのも、ちょっと『怪物くん』な感じがするし、敵なのに情にもろいヌルハチとタクラマカンは、ボヤッキーとトンズラ見たいで、昔はあれだけ新鮮に思えたのに、今見返して見ると様々な作品の要素が盛り込まれている気がするのは、私だけでしょうか?それでも今だにぱいぱいが面白いと感じるのは、やっぱり脚本と演出が素晴らしかったからだと思います。

かなり豪華

出演者の方を見ると、かなり豪華な顔ぶれだったんですね。ぱいぱい役の小沢なつきさんは、当時ではかなりの人気で、『花のあすか組！』も大好きでした。演技力も高かったし、子供向け作品に出た事自体驚きです。それに、斉木しげるさんが高山家の父親役で登場した時には驚きました。でも、かなりインパクトが大きかったのは柴田理恵さんですね。彼女が演じた三軒茶屋小百合はあまりにもハマり過ぎていて、しばらくは柴田さんがテレビに出る度に、「あつ。三軒茶屋小百合だっ」と思っていました。ぱいぱいの正体を暴こうと画策する姿は、ユーモラスで、決して憎めない存在です。そこには、三兄弟を心底心配している事が分かるからです。そして、そういったキャラクターを演じられるのは、やっぱり柴田さんしかいなかったのではないかと思います。単なる子供向け作品にはしたくないという、考えなのでしょう。新人の中にベテランの俳優さんが入る事で、ドラマ自体も盛り上がるし、全体的にまとまりが出ると思うんです。たまにありますよね？戦隊もので、ほぼ新人さんだけで始まる番組。ぎこちないセリフとたどたどしい演技で、何か見る気が失せてしまうんです。ただ変身して戦うだけじゃない。それぞれのキャラクター達のドラマを演じられるのは、やっぱりベテランと言われている俳優さん達なんだな。と、見返す度に思います。

えっ！もう終わっちゃうの？

それは、唐突な最終回でした。本来ならもう半年近くある筈の放映が急に終わってしまったのです。まだまだあった筈のエピソードは省かれ、ぱいぱいと五目殿下の決着はあっけなく終わってしまいました。思えば、ストーリー的に無理があったのでしょうか？大体、ラーメンに姿を変えられた恋人がいつまでもそのままで逃げられる訳はないのです。だってラーメンですよ？時間が経てば伸びてしまうし、賞味期限も来ます。誰かに見つかったら食べられてしまうという危険な状態でいつまでも逃げられる訳がないのです。シンデレラのように落としていったナルトだって、水につけて置けばふやけて原型がなくなってしまう。そんな設定上の理由で早めに終わらせる事になってしまったのでしょうか?できれば、もっとぱいぱいとレイモンドのシーンが見たかったな。せっかく元の姿に戻れたのに、もう中華魔界に帰らなきゃ。なんて、それはあまりにも急ぎすぎじゃないですか？それに、話の軸がどちらかというと高山家の三兄弟の方に向いていましたよね？もちろん、アキラ、トオル、シンゴの三兄弟は大切な存在です。彼らとの交流でぱいぱいの人間的な魅力が発揮されたとも思います。でも、本来はやっぱりぱいぱいとレイモンドの関係を軸にして欲しかったな。回想シーンも少なくて、どうしてぱいぱいがレイモンドを好きになったのか、どうしてレイモンドは、ラーメンに姿を変えられた時に迷わず人間界に来たのか、もう少し掘り下げても良かったんじゃないかな？あまりにも最後はあっさりし過ぎていて、ちょっと拍子抜けしてしまいました。視聴者には分からない、製作者サイドの事情もあったのだとは思いますが、せめて五目殿下との対決はもう少し長めでも良かったのではないでしょうか?視聴者が楽しみにしていたのは、やっぱりぱいぱいが何度も立ち向かい、跳ね除けられ、その度に立ち上がり五目殿下を倒す。そして、レイモンドと中華魔界で結婚式を挙げる。こういったシーンではないでしょうか?