だいぶハードな高校生たちのお話
絵はそんなにうまくないんだけど
イラスト的には、あまりうまさを感じない。確かに時々佐々本と水野がイケメンだなーと思ったり、琴音が美人だなーと思うときはある。しかし、何しろ日和が普通顔で、すっげーかわいいなとか、すっげーいい事言ってる…!とは思えないキャラクターだった。もう少しこう…色気か何かがあればいいなと思うのだが、高校生になった日和もそんなに発育いい感じには描かれていないと思う。佐々本が好きだって言うんだからいいんだけれども、佐々本が琴音のことを全然はっきりさせてくれないからって、毎日好きだと言えとか、琴音に絶対に会うなとか、毎日会いにこいとか、ちょっとあんたも十分怖いじゃんって思ってしまう。
スタートはとてもよかったんだよね。日和のまったく知らないところで、佐々本は確実に恋する気持ちを膨らませていて、きっかけが水野だったとしても、隣の席になりたいって思う…かわいいじゃないか。そして、運命は決まっているのではなくて、自分で作り出すものだと信じていると断言する佐々本。…いいじゃないか、イケメンじゃないか!そういうときの佐々本は本当にイケメンだよ!そして何気に筋肉あるのがとっても魅力的だよ!
でもさ、結局佐々本も男の子で、琴音にいいようにされて、それでも日和が好きだか言っているのはどうなのかね。好きなら手放さなければいいのに、中学校の時のことだって、隠しているからめんどくさいことになったのであって、イケメンだからといって熟した思考ができるわけじゃないんだよなと再確認する。しょせん、高校1年生。何もわかっとらん。
琴音の異様な執着が怖い
琴音がね…もう嫌すぎる。様々な悪女がいて、それなりに後ろ暗い過去があるのもわかる。だけど、自分の黒いもの全部を利用して佐々本を側において、楽しいの?って思う。自分が幸せならそれでいいのかって。
水野のこと、好きで付き合ったのに、信じられなくなる行動をとられたのはわかるよ?約束すっぽかして友だちと遊びに行ってしまうような男だったわけだし。家庭内環境が悪いことも、佐々本じゃなくて水野に相談して、カレカノで乗り越えていけばいいのに、佐々本を誘っちゃうっていう…そりゃー水野も信じられなくなるよ。関係を持ったことを隠されて、自分をキープにされて、それでいて両方を自分の手元に置いているわけだから…こいつはどうしようもない。
他人の物を平気で捨てたり、間に割り込んで知られたくないことをエサに脅して別れるように仕向けたり、ぜーんぶ自分のため。親が自分の事しか考えられないような人間だったとするなら、なおさら自分はそうじゃない方向へ行けたらよかったのにね。同じ方向走っちゃってどうしようもない。それくらい、中学生・高校生なんて、まだまだ子どもなんだよ。どうしようもないくらい、自分の欲望を優先させてしまう。
そんな彼女が、日和が妊娠しちゃったときに助ける行動に出てくれたのは嬉しかったね。そりゃ日和が佐々本とは関係なくなったことが大きかったんだけどさ。ぐちゃぐちゃだけど、どんなにひどい人間でも、筋の通ってることを1つくらいは言えるもんだね。
当道くんと出会って、初めて、琴音の事だけを考えてくれる人がいたんだと知る。…よかったね。やっと報われた。佐々本しかいないなんてそんなことない。自分を好きになって、そして誰かが好きになってくれるものなんだよ。悪女といえど、最後には執着することをやめた彼女には、おめでとうと伝えたい。
水野は二度も寝取られたと思い込んで
水野は確かにワガママだったかもね。でもそれって、相手をちゃんと好きだったってことだと思うんだよ。大事にしたかったはず。だけど、人気者だし、自分の行動が正しくないときもあるなんて気づけなくて、知らないうちに人を傷つけてしまっていた。友だちだと思っていた人に琴音を取られて、次に好きになった日和も佐々本のことを忘れられずにずっと過ごしている。なんで自分を見てくれないんだろう?って思うよね。
カラダを何度重ねても、跡を残しても、心はどこを向いているかなんてわからない。言葉にして、確かめ合うこと以外に、つなぎ止めておく方法はない。日和のことは、きっとちゃんと好きだったはず。でも日和がそれに応えられなかった。一生懸命好きになってもらえるように努力することが、こんなに辛いこともある。
そして日和の妊娠・流産。全部の責任は自分にあるのに、こういうときに佐々本に守られて、琴音に守られて、本当に水野は情けない人間だった。自分の欲望を日和に押し付けて、必死に束縛して。大事なときには守ってやれない。できた子どものことだって、佐々本との間にできた子なんじゃないのって言い放って…いくらイケメンでも、やはりここまでクソ野郎だと、かける言葉も見つからないわ。
大人になって、年上の女性と結婚を決めたことは、本当に水野らしいと思う。彼のワガママなところも、一途なところも、全部受け止めてくれる女性に出会えたこと、本当に幸福だったと思うよ。日和との失敗が、大人になってからの彼を奮い立たせてくれている。
本当に好きなら突き放せ
この物語、4人の誰もがいいところと悪いところを持っていて、それが絶妙に絡んで簡単にはほどけなくなってしまっていたね。佐々本の場合は、日和が好きだという気持ちに偽りがないのに、琴音に優しくしてやっていることが罪。そりゃー日和は自信がなくなってしまう。佐々本が守りたかったのは、琴音の気持ち?それとも琴音と自分が関係を持ってしまったという過去に対する罪悪感?日和を好きなら、琴音を突き放さなくてはならなかったはず。琴音が寂しくて、どうしようもなくて、佐々本に執着していることはよくわかるし、脅しにかかってくる琴音のほうがどうかしているのもわかる。でも、それならなおさら、大好きな人へ、後ろ暗いことを持っていてはいつか終わってしまうんだよ。
そして、相手が悲しくなるなら別れようって…おい!!好きなら琴音を突き放して日和をつかまえるくらいの気持ちでいかないとだめだろ?いったい何を難しく考えているの?両方を幸せにはできないなら、どっちをとるのか決めろよ!当道くん、相当イラついただろうね…体の関係を持つ気もない・愛情を与えるつもりもない、なのに優しくはしてあげるって…どういうこと?なんでこんなにいびつな関係なのやら…日和を助けに来てくれるのは、いつも佐々本だけれど、傷つけるのもまた佐々本だったね。
終始重苦しく続く
7巻まで続き、あとから加筆されたものを加えて8巻まで出版されたこの作品。この四角関係はとにかく重くて、まさかの妊娠もからむストーリーには驚いた。絵がそういうタイプじゃないって思っていたし、「彼はトモダチ」っていったいどういうこと?って思ってしまった。好きなら付き合え。
好きになるのって、けっこうくだらない理由だったりするじゃん。うん、そうだね、だけどここまでこじらせるのは、ちょっと困るわ…早い段階で当道くんのような人に出会えていたら、もっとシンプルに、ただ好きな気持ちだけで行動できただろうにね。1巻の時点で付き合うことができたから、順風満帆に進むと思っていたこの物語。まさか別れた後にシャッフルして付き合うような状態になるなんてさ。もう絶対嫌。こんなごちゃごちゃで近場の相手と付き合うとか本当に嫌。適当に付き合うとか、自分の気持ちだけで行動するとか、絶対にやめようって思える漫画だ。
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