さすがに男の要素が強すぎる糸さん - Wジュリエットの感想

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Wジュリエット

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画力
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ストーリー
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キャラクター
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設定
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演出
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さすがに男の要素が強すぎる糸さん

4.04.0
画力
3.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
3.5
演出
4.0

目次

それはほぼ男だろう

演劇部に所属する糸さん。そのボーイッシュな見た目からは想像できない、細い腰とまな板じゃないバスト…がほしかった!なのにすべてがボーイッシュに…!髪も刈り上げちゃっているし、どう見たって真琴のほうが女らしい。言葉遣いも一人称が「俺」になっているので、もはやどこをどう女ととればいいのか…

絵夢羅さんの作風的にも、ラブは控えめになるから、糸さんの女らしいところは全然みれなかったな…。どっちかというと真(真琴)のほうが糸さんラブだし、繊細で、大事な時にちゃんと男らしく、優しく。自由でガサツな糸さんとは大違いだった。でもいいんだ、真琴がそれでいいって言うんだから。

たとえ女同士だと思っていても、目の前でぱっぱと服を脱げるのは困ったもの。そこで手を出さない真琴は本当に紳士…。そりゃ初対面で相手の人となりも知らない相手にがっつけるような人だったら引いちゃうけれども、そんな初心さが糸さんにも欲しいところだった。

ただ、「WジュリエットⅡ」のほうでは、糸さんは髪を伸ばして女らしい体つきにもなっているから、相当に真琴に愛されちゃったんだろうなって勝手に想像してニヤニヤしている。ラブがないならないで、ちょっとのドキドキから妄想力が働くね。恋もしたことないような状態だった糸さんが、真琴と知り合って急速に女になっていく。それが楽しい漫画でもある。初体験も早々に…だったので、意外とやること早いんだよね。

役者になるための試練は早々にバレる

真琴は、父親の反対にも負けずに、役者になりたい!と主張し続け、「それなら違う学校で女として生活し、バレずに卒業してみせろ!」と条件を出された。…なんじゃそりゃ、女装して演じ切って見せろなんて、プロでもやるかい。無理難題を押し付けて、やめさせようって魂胆だったんだろうが、そこでやめないくらいの覚悟が真にはあり…。家族の中にも、真に協力的な姉さんもいたし、真の見た目ならなんとかできそうだった。

しかし、糸さんと仲良くなって一緒に過ごすうちに、割とあっさり秘密はばれてしまう。この時には、糸さんにとっても真琴はなくてはならない存在になっていたし、秘密を守るから、一緒に頑張ろうってことになる。少しは驚くかと思っていたんだけどね、糸さんの受け入れ方がすごくあっさりだった。そこまでガサツ…?いや、情に熱いからか…?校内のイベント、演劇部でのイベント、とにかくイベントだらけで描きたいことがたくさんあったんだろう。そんな細かいところで止まっている暇はないのだ。

真琴がオトコであると分かってから、糸さんはドキドキすることが増え、惹かれていき、真琴もまた糸の生き方・考え方、自分と真剣に向き合ってくれるところに惹かれてどんどん好きになっていく。真琴の夢は明確に役者であったけれど、糸さんのほうはさほど定まっておらず、それが明確になったのも真琴の存在のおかげ。人としても異性としても大好きになってしまった2人は、妨害にも負けずにがんばり、アクシデントのたびに絆を深めていく。

付き合うとか好きだとか

本当は、もう少し明確に言葉がほしかったけどね。どっちも男前すぎた。好きだから付き合おうとか、愛してるよとか、なんでもいいが、言葉より手が早いのが真琴であったし、糸さんもそれを自然と受け入れてしまっていて、区切りははっきりしなかったなーという印象がある。出会ってすぐにぴったりハマりすぎちゃったんだろうね。

真琴の場合、常に余裕があって、糸さんのことを考えてニヤついたり、ぽけーっとしたりはしないタイプだ。糸さんも、真琴に惚れているっていうよりかは、すでに安定が取れていて、安心しきっているような感じ。恋の面においては、どんな妨害があろうと揺るぎがなくて、もう少し爆発が起きてもいいのになーって思った。真琴の許嫁とか、糸さんに興味を持った同級生とか、いろいろいたけど、結局糸さんがそのまんまで過ごしている間に真琴が解決しちゃうからね。スマートで、したたかで、賢い真琴に転がされている気もする。

でもまぁ真琴ががんばるのは糸さんのためであり、結局は自由に生きている糸さんに振り回されている真琴なのだ。それすらもきっと楽しんでいるのだろう。溺愛っぷりがすごい。「いいんだよ、糸さんはそのままでいて。」って守って守り抜くスタイル。…いいなーそんなふうに想ってくれる相手が欲しい!女子はそう思うこと間違いなし。

付き合って順調に仲は深まり、家族の問題もお互いが真摯に向き合って解消し、卒業からカミングアウト、そして劇団入り…と安定感そのままに展開していく漫画だ。

家族に愛されて

真琴も糸さんも、結局は家族にかなーり愛されていた。認めてもらうまで、いろいろあったね。糸さんのことを、男女だと言いながらもやっぱり女として大事に育てていたんだなーと思うし、唯一の娘がどこぞの女装した男に持って行かれるなんていうのは、道場の一族として譲れないところだったことだろう。中途半端な強さ・覚悟の男に糸はやれない。この時ばかりはお兄ちゃんたちもカッコよかった。真琴も中国拳法の道場の息子で、強さは申し分なかったから、お父さん・お兄ちゃんはかわいそうなことになったけれどね。

真琴の家も、曲者ぞろいだったが、それもまた家族の愛なわけで、自分のやりたいことをがんばりたいっていう真琴のことを応援しないわけじゃない。無様な姿をさらすなら連れ戻そうって言うけど、なんだかんだ優しいお父さんだったと思う。

家族だからこそ当人たちのことをわかっているつもりになっていて、実はちゃんと見てあげていなかったりするんだと思う。自分の子どもだからこそ、どう育てていったらいいのか、道を外さないようにどうしたらいいか、親は親で考えていて、でも子は子でちゃんと将来を見つめている。親には親にしかわからない気持ち、子には子なりの気持ちがある。それは普段から、話し合って、理解しあって、深め合うもの。真琴の家族はそれが極端に少なかったから、苦労することになったんだろうね。

物語は全体として家族愛というよりも学校行事に絡めて巻き起こるドタバタ劇がメインだから、別にそのへんは詳細に考えてはいないだろうけど。

果たしてⅡが必要か

卒業してから、劇団に入って、結婚して。いい感じに終了したのに、なぜかⅡが始まった。最初は、これ以上何をどう続けるの?という気分だったけれど、Ⅱのほうがラブラブが多くて、女らしい糸さんとイケメンな真がいるからすごく楽しいことになっていた。序盤は本編で詳しく描けなかった、脇役たちの恋の話になっているんだけどね。これは普通に「Wジュリエット」の第二部であり、大人になった真琴と糸さんたちの変化や成長も感じさせてくれる。

全体として、しっかり者の真琴が、糸さんに激甘なのを楽しむ、そんな漫画に仕上がっていた。糸さんはガサツだけれど、ルックスや意志をしっかりもって生きているところに、男女ともに惹かれてしまう。無自覚な糸さんを守って自分のもとにおいて置くため、真琴は大変だったことだろう。時々Sな真琴もまた胸キュン要素。ちょっとずつ髪を伸ばしている糸さんもキュンとするけど、パンツスタイルは譲れないらしくて違和感満載。スカート履いてくれればいいのに、かわいいトラウマが邪魔して履けないっていう糸さん…そこもまた真琴をキュンキュンさせてしまうんだ。

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