猫の世界を体現する
猫を中心とした世界観
この物語は一言でまとめると「ねこストーリー」だ。猫を中心に始まり、ねこから旅だって終わる。猫を見て、猫からの人間世界を想像させてくれる世界観になっている。人間が猫になるという夢ででてきそうなシチュエーションとコメディなところもストーリはジブリ作品の中では独特なものになっている。また、ストーリ展開は早くも遅くもなくちょうどいい感じになっている。主人公が猫に近づいてから、さらわれるところまでが実にスムーズだ。猫の世界を想像しやすいように途中に猫王も登場させているところもストーリに説得力を持たせてくれている。子供、大人でも楽しんで観れる作品であることは間違いない。「耳をすませば」を見ている人なら繋がりも想像しやすい。この作品を見てしずくを思い出した人もいるだろう。王子様が捕らえられた王女を救う展開は昔からの伝説でもよく語れている。しずくが思い描いたストーリの王子がせいじ君だったのだろうか。そんなことも想像させられる。自分ならどのような作品構成にするだろうか、どのように世界を創るか作家になったつもりで見てもおもしろいのかもしれない。見た後でも自分なりに思いを膨らませてみて、いろいろな世界の成り立ちを自分で創ってもいいだろう。
他の作品と比べて
比べてみると分かるが、この作品のストーリは理解しやすいが後の展開の推理が容易である。ジブリにある、ストーリの奥にある監督のメッセージがなく、自分の独自の解釈ができない。もちろん、ストーリ時代はおもしろいのだが、現代社会の抱える問題のところまで想像させ、考えさせられるような題が見えてこない。だた、作品には個々の題があるので作品の題名までの自分の理解が追いついていないだけなのかもしれない。他の作品では映画を観る受けて側への社会問題を投げかけたものになっている。例えば「もののけ姫」。作者の自然に対する思いとそれでも苦悩していく若者の姿は今のテクノロジーが進化した世界への疑問を突きつけている。若者の時代背景を悟った深いストーリー構成なっており、考えられる作品だ。しかしながら、この作品ではそのようなものが見えてこないのだ。現代の問題を考えさせるようなことを目標として映画を作れというわけではないが、ストーリーの内容の深さと疑問の投げかけは映画を観る大人への魅力に繋がると私は考えているからだ。ただ、女性をターゲットとした場合は話が別だ。ストーリー構成としては実にかっこいい王子さまを出し、救って英雄になるところは好感が持てたひともいたのではないかと思う。それはしっかりとしたユートピア世界の実現と登場人物がユートピア世界へフィットするように考えられているからだろう。そのような世界を細かく書かれ、映像としてできあがっているところはまことにすばらしい。映像は当時のもののなかでは群を抜いて繊細でレベルが高い。
キャラを細かく
ハルはいかにもいまどき女子高生といった感じだ。優しく、ただめんどくさがり屋でどこかにいそうな人物だ。ただ、動物に優しいところは、作者の性格が反映さえれているのではと考えてしまう。バロンはいかにもヒーローといった感じだ。悪を倒してヒーローになるところは典型的な王子様だ。ただ、むたのキャラはすごくいい。ヒーローのようにただ敵をやっつけるのではなく、ちゃんと性格の残念なところも描写されており、脇役の味を出している。脇役の存在はとても大切でストーリーにコメディ的なところも彼の存在がなくては成り立たないといってよいと思う。ただ、敵の王様もいかにも悪といった感じで、最後にやっつけられるんだろうなとすぐに理解できるだろう。ルーンの存在もまた重要だ。ゆきちゃんはとてもかわいいし、見ていて癒されることは間違いない。たしかにキャラは性格の理解がしやすく、簡単な設定というふうに思うのだ。だがいい主人公というのはどのような行動をするのか、どんな表情をして言葉を発するのかで性格が位置づけられる。約1時間30分から2時間30分の長編映画作品では時間が限られているため、限られた時間内でのこれらの要素でキャラクターが決定してしまうからだ。ゆえにこれらの要素をどのようにストーリの中に入れていくかで作品に深みが決まると私は考えている。作者らスタッフのキャラクターの発言を考えて、描写しなければどんなキャラクターか分からなくなってしまうからだ。その点は細かく整合性のとれた内容になっており、見ていて不思議な点がない。
音楽性
音楽はジブリ作品のなかでも私は個人的に好きだ。柔らかい音楽でこの作品のイメージを膨らませてくれている。この作品といえばこの音楽だというテーマソングがしっかりとしている。そこはすばらしいと思う。ストーリーになじんだテーマ曲は作品に深みをもたらせている。エンディング、オープニングとともにそれにフィットした曲になっており、聴いていて疑問を感じない。
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