高校野球にそんな世界があったのか - スタンダップダブル! 甲子園ステージの感想

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スタンダップダブル! 甲子園ステージ

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高校野球にそんな世界があったのか

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文章力
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ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
5.0

目次

八百長、賭博

高校野球にそんなに世界があるのですが。野球賭博に八百長。なるほど考えてみればなくもない話ですね。賭けはもちろんあるでしょう(賭博とか呼ばれるものももちろん裏の世界ではあるでしょう)。八百長は?普段テレビで高校野球を見ていて、選手たちからそんな感じは少しも感じられません(地方大会の、そこまで野球に熱心でない選手ならあるのでしょうか?ただそのレベルの試合では賭博の対象にならないので、賭博の対象にもならないのでしょうが)。では監督は?意図的に負けるための采配をしたりするのでしょうか?少なくともテレビを見ている限りでは、攻撃面ではわざとチャンスを潰すような采配はみうけらません。ピッチャーの継投は?たまにしっかり抑えているピッチャーを、あえて他のピッチャーにかえる継投もみられます。もちろんその後抑えることもあるし、打たれることもあります。打たれた時に、わざと負けるための継投をしたのか意地悪に考えられなくもないのでしょうが、それはやはり考えすぎでしょうか?とまあ、この小説を読んではじめて上記のようにな観点から高校野球を見ました。

野球の戦略

小説上のチームの野球の戦略については、作者も野球が好きなんだろうな、野球オタクなんだろうなという感じでした(実際にプレーをしていたかどうかはわかりませんが)。もし野球が好きでもなくてこれを書くために研究したというのなら、それはそれで驚きです(でもそうだからあまり思い付かないような作戦が思いつくというのもありますが)。自分が昔読んでいた野球漫画等は、やはり時代を反映しているもので、今のようにデータをコンピューターで分析してとかそういう内容のものはありませんでした。この小説ではデータを分析してというのが前提になっていて、それが現代の野球小説なのだなと思いました。ただそのうえで、2人で1点をとる野球という作者のアイデアは斬新に感じられました。

児童施設出身の選手と大人社会

まず児童施設(親のいない子供たちの施設)出身の野球部員という設定に驚きました。考えてみればそういう環境の選手はあたりまえにいるのでしょうが、自分自身今までそういう考えに至らなかったことも驚きでもあり、恥ずかしくもありました。また同時にそういう選手たちのまわりの大人が、もと暴力団員であったり、服役経験のあったりという設定も驚きました。(ただ皆悪い方でなく、やむを得ない事情があったのですが)ただこれもない話ではないので今までそういう考えに至らなかったことは驚きでもあり、恥ずかしくもありました。ちなみにこの小説では、最後の問題解決に、そのもと暴力団員と、その方が昔世話になった親分的暴力団員のきずな、人情、野球への愛が関わってきます。野球のプレーでは、データ解析など、デジタル的な要素が取り込まれているなかで、こうした昔ながらのアナログ的な要素が最後はキーになっていくという内容もまた面白く感じられた点でありました。

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